「進撃の巨人」実写版後編「エンド・オブ・ザ・ワールド」を観ました!

小説 映画 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』 (KCデラックス)
講談社


9月19日に封切られた実写版「進撃の巨人」後編。前編に関し、ネットではいろいろ言われていましたが、私は後編を見るまでは評価を避けよう、と思っていました。そして今日ようやく見に行けたのですが、私は面白かったです!まずそこははっきりさせておきたいと思います。

前編を見て多くの人はもやもやが溜まっていたみたいだなあと思ってましたが、私自身も「なんなんだろうこの映画は」、という部分がかなりありました。でも、今日見に行ってすっきりした。前半だけ観てもう後半は観ない、という人も多いかもしれませんので、それははっきり言っておきたいのですが、私は面白かったです。

前編はあまりアクションシーンがなくて、ドラマパートが多く、そこの部分に不満が集中していたように思います。しかし、後編は前半でこの実写版映画の「世界」の提示、簡単に言えばネタバラシみたいなものがあり、後半は息つく暇のないアクションシーンの連続。しかも大部分が特撮で、役者もすごく大変だっただろうと思います。

何というんでしょう、王道の怪獣映画と言うか、巨人プロレスのような場面もありますし、原作の最近の場面を彷彿とするシーンもあり、またトロスト区攻防戦のような場面もあり。「ネタバラシ」の場面は賛否両論だと思いますが、私はここまでやるならいいと思った。私は作り手の意図がはっきりと分かるものは、もともとそんなに嫌いじゃないんですね。全体に、こういうことをやりたいんだな、ということはとてもよくわかる映画で、その辺りはとてもわくわくして観ていました。多分、演技の質とかの問題で、もっとよくすることは可能だとは思いましたが、この際はそういうことよりもこれが映画になっているということ自体が楽しい、というふうに思えました。

絵面としても、ミケランジェロか何かかと思わせるような場面もありましたし、エンドロールの最後の演出もすごくよかった。ただ一番最後の短い部分は蛇足のような気もしましたが、ま、いいでしょうという感じです。

それから、エンドロールで「草彅剛」の名があったのですが、どこに出てたんでしょうか。まさか巨人?かどうかはわかりませんが、どこで出ていたのか気がつきませんでした。・・・ってもしかして(以下ry わかっちゃったけど伏せておきます。(ちなみに前編ではAKBの高橋みなみさんが出演していたみたいです。わかりませんでしたけど。)

シキシマ、クバルの役回りについてはこれも賛否分かれるところでしょうね。私はまあ、よかったと思います。クバルは意外でしたけど。ただ、最後の方まで来るともうストーリーとかそういうことよりも、純粋に特撮のアクションが楽しいと言うか、「ここまでやるなら全部許す」、と言う感じも強くなっていて、変に辻褄を合わせなくてもいいんじゃないか、とすら思えて来ていました。実際、ミカサに関してもちょっとご都合主義的な感じもしたのですけれども、もうそこはいいや、と思ってました。(笑)

サシャ、ジャン、ソウダ、サンナギの脇役陣もそれぞれしどころがあり、(そういえば前編でもヒアナとエレンとのからみがありましたね。アレも今となってはよかったなあと思います。前後編通して見たい)ミカサのモドリとかアルミンの立ち位置のよさ、ハンジの狂言回しぶりも面白くて、全体に演劇的だったなと思います。80年代の小劇場の演出家が演出してるんじゃないかと思ったくらい。(笑)

なんか全体的に、「人間臭い」映画だったんですよね。原作やアニメはやはり少年マンガですので、ある種の理想化された枠みたいなのがどうしてもあるんですが、この実写版はその枠がかなり外されていた。そこが賛否分かれる理由なんだと思いますが、この映画を「原作と違う!」と言って怒るだけではもったいないと思います。

そういえばネタバラしの場面では、「セーラー服と機関銃」を思い出しましたね。そのほか、これは引用じゃないかな、と思う場面もいくつかあり、拾い集めるといろいろあるんじゃないかという気がします。ただそういうメタな楽しみ方を、「進撃の巨人」の原作・アニメファンの人がするだろうか、いや、したいだろうかと言うと、まあちょっと難しいかなとも思うんですよね。

ですから、私は面白かったと断言出来るんですが、誰が観ても面白いかと言えば、ちょっとそれはどうかな、という気はします。大体私は人が面白がらなかった映画やドラマを面白がる人ではあるので。森田芳光監督の「ときめきに死す」とか、アンジェイ・ズラウスキ監督の「狂気の愛」、近くで言えば大河ドラマワースト視聴率を更新した「平清盛」など、私はどれも面白かったのですが、評判は散々でした。

この映画は「玄人ウケ」というのとも違うでしょう。脚本は町山智弘さんですが、多分この映画、町山さんが評論の立場だったら酷評したんじゃないかという気がします。ジブリの広報誌「熱風」で町山さんはこの脚本を担当した経験について語っていて、実際に作り手の立場でやってみると批評の立場でバッサリ切ったようなことにどうしてならざるを得ないのかよくわかった、みたいなことを言ってますし。

繰り返しになりますが、私は「制作者の意図」みたいなもの、「何がやりたいのか」がよく見える部分は、評価するところがあるので、それはすごく面白かったです。単純に、映画に酔いたい、ドラマに酔いたいという人にとっては興醒めだ、というところはきっとあったとは思いますけどね。

というわけで、この映画、今日もあまり入っていませんでしたし、出来ればなるべく多くの人に観てもらって、こういう野心的な試みへのトライをまたやってもらいたいと思いますので、このレビューを読んで面白そうだと思った方は見に行っていただけたらなあと思います。私は機会があったらもう一度観てもいいと思ってますし、値段にもよりますがBDになったら買おうかなとも思っています。

まあ無条件にとは言えませんが、原作のテイストにこだわらず、映画というもの、というか人が暴れ回る生の、というか意図しない部分でむき出しになる何かを観たいと思う人には、面白いと思ってもらえるのではないかな・・・とは思います。

皆さんのご意見を伺ってみたい気もしますね。

というわけで、私はとても面白かったです!

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追加情報です。木曜日の午後9時からBSプレミアムでこの実写版のメイキングをやるそうです。こちらも楽しみです!