【Amazon.co.jp限定】進撃の巨人 Blu-ray 全9巻セット(初回限定仕様)(B全サイズ劇場公開告知ポスター付)
荒木哲郎監督作品
ポニーキャニオン


「進撃の巨人 劇場版・前編「紅蓮の弓矢」」を見ました!

今年、劇場で映画を見るのは確かこれが3本目だと思います。一つ目は「ゼロ・グラビティ」、ハリウッドのSF映画でした。2つ目は「思い出のマーニー」、スタジオジブリの新作ですね。そして三本目がこの「進撃の巨人・劇場版」。最近めっきり映画を見なくなっていたのですが、今年の3本はどれもアタリでした。

この作品は、本質的にはアニメ「進撃の巨人」の前半、第1話から第13話まで、BDでは5巻までの総集編ということになります。1話実質20分と考えても13話分なら260分あるわけで、これがほぼ120分に短縮されているので半分以上のカットがあることになります。

一番大きなカットはBD2巻、3~4話の訓練兵団時代の入団式から解散式までの間がまるまるカットされていることですね。ですから「蒸かした芋です!」もありませんし、エレンが立体機動装置で苦労するところもなく、つまりは訓練兵団時代の104期たちの人間関係が全部カットされているので、かなりTVアニメとは違った印象になりました。

1話はほとんどまるまる残っていましたが2話はほとんどカット。ですから、ハンネスが「お前が母さんを助けられなかったのは、お前に力がなかったからだ。俺が巨人に立ち向かわなかったのは、俺に勇気がなかったからだ!」というセリフもないのですね。またエレンとミカサの出会いの場面も、必要最低限だけ断片的に描かれていますがひとつのまとまった場面にはなっていません。やはりそういう意味では、かなり刈り込まれている印象は受けます。

エレンが巨人化して岩で壁の穴を塞ぐという計画に向かう途中、走りながらリコがエレンに説教する場面(アニメオリジナルですが)もないですし、そういう意味で、原作でもTVアニメでも多くのキャラクターが掘り下げられているところが思い切って省略されている感じです。

で、その分存在が凄くクローズアップされたのが、ミカサでした。

この映画は、正直言ってミカサが主人公なんじゃないかと言う印象を受けました。とにかくミカサがかっこいい、かわいい。美しい。もともと、13話までの間ではエレンは途中で食われてしまって、巨人の背中から生還するわけですがその期間と、再び巨人化して自我を失って座り込んでいる場面など、エレン自体が出ていない話が結構続きますよね。

二人以外ではアルミンがもちろん出ている場面が長いですし見せ場もありますが、基本的に知的な活躍なのでこの短い間では縦横無尽の活躍をするミカサに比べると印象は強くありません。また、先に述べたように104期たちや訓練兵以外のキャラは描き込みが省かれているので、必然的にミカサがクローズアップされることになったのだと思います。

ミカサに関しては、私の記憶に間違いがなければかなり新しい絵もあるように思います。TVアニメ・BDに比べてもより美しくなっている気がします。まあ私はミカサのファンなので嬉しいですし、それだけでも劇場版もすでにBDが欲しいと思っているのですが、そのへんが大きな特徴ではないかと思います。

映像として、テレビ画面で見るより全体が凄く立体的に感じられたということと、アルミンをいじめている子供たちのところにミカサが駆けつけるところの迫力とかも凄かったです。

もう一つは、音楽の使い方がかなりTV版とは変わっていたと言うこと。一番はっきりした違いは、劇場版では「歌もの」がほとんど使われてなかったということですね。TVアニメでは歌ものがかなり使われていることが印象的でしたから、かなり違う感じがしました。特に、ミカサの「私は強い」の場面のあと、活を入れられた訓練兵たちが本部へ突っ込む場面で流れていた「DOA」が歌のない曲になっていたのは、わたしはTV版のそこの部分の演出が好きなので、ちょっと残念だったかなと思いました。

しかし、そういう曲の使い方はこの作品が「映画」としての場面構成の緊密性とか、作品全体の重厚性みたいなものが出るように考えて作られているんだなという印象を受けました。

TVアニメというのは15分ごとにCMが入る、その時間内での鑑賞を前提として作られている、その前後にCMが流れているということを前提とするためにある意味キッチュでチープな作りになるわけで、そのへんは「進撃の巨人」でさえ例外ではないと思います。しかし今回映画館で見る作品として、つまり大迫力の音響と大画面で見る作品としてふさわしいように、重厚な印象の作りを心がけたのだなと強く感じました。

主題歌がなかなか入らないから変だなと思っていたのですが、結局ラストに持ってきてありました。Linked Horizonさんの「紅蓮の座標」ですが、例によってあまりよく聞き取れなかったので(笑)iTunesでダウンロードして聞いたのですが、歌詞的には「紅蓮の弓矢」っぽく、サウンド的には「自由への進撃」っぽい作品でした。何という過去の2曲を意識し過ぎているのではないかと思いました(途中から「紅蓮の弓矢」になってますしね)が、これはパンフレットに掲載された音楽担当の澤野さんのインタビューによるとRevoさんが打ち合わせ前にもう作ってきた作品だそうで、それだけこの二曲にRevoさんは思い入れがあるのだなあと思いました。

紅蓮の座標 [劇場版Size]
Linked Horizon
ポニーキャニオン


これで終わりかと思ったらさらにエンディングテーマが続きます。「YAMANAIAME」という澤野さんの曲で、ボーカルはYouTube等で「Reluctant Heroes」(TVアニメのサウンドトラックに収録されています)をカヴァーしたことから澤野さんに見いだされたと言うMica Calditoさん。Reluctant Heroesのノリに似ています。

劇場版「進撃の巨人」前編~紅蓮の弓矢~エンディングテーマ YAMANAIAME produced by 澤野弘之
ポニーキャニオン


これもパンフレットに載っている原作の諫山創さん担当の編集者・川窪さんのインタビューによれば、この映画ははじめて「進撃の巨人」に触れる人に見てほしい、ということでしたが、知らない人が見ると物語の大枠とエレン、ミカサ、アルミンの3人は凄く印象に残ると思います。そしてさらに原作やBD版を見ればキャラクターが掘り下げられて、さらに物語が深く分かる、という感じになるのではないかと思いました。

私のように何度もいろいろな形で見ているものに取っては、やはり劇場ならではの大画面とサウンドが大きな魅力だったと思います。

いろいろ堪能させてもらった映画でした!