Dモーニング20号で、田島列島さんの「子供はわかってあげない」第7話「セメント・モリ」を読みました!

まあもう今更ですが、盛大にネタバレなので、連載で読んでおられる方は気をつけてくださいね!

門司くんのお兄さんの明ちゃん(探偵さん)が見つけた実のお父さんに会いに出かけた朔田さん。車の中で明ちゃんから衝撃の事実が告げられます。

朔田さんのお父さん(藁谷友充さん)は朔田さんが持っていたお札の教団の教祖さまで、どうやら教団のお金を持ち逃げしたらしいということ。朔田さんは焦ります。そりゃそうだよなあ。でも明ちゃんは、お父さんが本当にそんなことをしたのかわからないし、先に朔田さんに会わせないと「セメント&東京湾」の可能性もある、とさらっといいます。

朔田さんの頭の中では「魔法少女バッファローKOTEKO」が出てきて、セメントの説明を始めていたのですが、明ちゃんはまたサラッと「美波ちゃん(朔田さん)に本当に犯人なのか探ってほしい」と言うのです。それをやったら調査費を負けてあげると。(バイトかよ!ってバイトなんですが)

美波ちゃんは(これからはこう呼ばれそうなのでそうしておきます)「本当の父」の「罪」を知って打ち拉がれ、「そんなこと知って私、普通にワーイってあってじゃーバイバーイって出来ません…」と言います。

「江虫浜」にやって来た二人は、指圧師をやっていたお父さんの師匠で、その離れに住まわせてもらっているのだそうです。がらっとあけて出てきたのはお師匠の阿堀さんの娘の仁子ちゃん。(アボリジンとかけてあるか?)そこにしれっとお父さんが出てきて親子の名乗りを上げます。未だに緊張が解けない美波ちゃんですが、明ちゃんはふざけてお父さんに「犯人はお前だ!」とか言ってます。

明ちゃんは帰ってしまったし、美波ちゃんは「ああ…なんか…いつの間にかとんでもないことになっちゃったなあ…どーしよう…」と思っています。そりゃそうだよなあ。

物語の謎的なところはどんどんしれっしれっと進んで行くのが可笑しいのですが、明ちゃん案外ハードボイルドなんですよね。女性になる手術済みなんですが。「合宿期間中」にお父さんの謎を探り当てられるかどうか、ほんわかしながらハードボイルドな展開が続いています。

田島列島さんの短編を読んでいるとわりとハードボイルドな展開はあるのですけど、今回のこの作品がここまでハードボイルドになるとは思いませんでした。

まあ、生き別れになったお父さんを探しに行く、と言う設定は「日常的」とは言えませんが、そこになんだかよくわからない新興宗教のお金の問題が絡んでくると十分非日常ではあります。でもまあ、日常の中のハードボイルドと言う感じがしてしまうのはなぜかなと思いますが、やはりゆったりした話の進み方と、緊張感を高めすぎない絵柄のせいだな、と思います。

深刻な話を聞いてるのに頭の中でアニメ話が展開してしまうところとか、そう言うのって昔はけっこうあったなあと思って面白かったですし、ロードサイドの風景に「パチンコ・スロット火の車」だとか、高圧線の鉄塔の下に「ホテルかがひ 全日フリータイム」とか言う看板があったりするのが可笑しいです。(ヂャスコと言うスーパーがあったりチャーシューメンカントリークラブと言う看板があったり、やる気があるのかないのかわからないところも可笑しいです)

何て言うか、高校生の頃って、そう言う半分脱力してるのか真剣なのかわからないところがあって、それって大人みたいに緊張感が持続しなくて、本人大まじめなんだけど頭の中はふざけてるみたいな感じなところがあって、そう言う感じが田島列島さんの作品にはあふれていて、そこが面白いなと思うんですよね。

多分そう言うのって大人になったら消えてしまう感性で、でもそれがちゃんと冷凍保存されてるみたいに残っている。それを大人の技術で描いてしまうのだから、もう面白いに決まってます。

もう既に早く単行本を読みたくて仕方ないです!(笑)