TVアニメーション 進撃の巨人 原画集 第3巻 #8~#11収録/ポニーキャニオン
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おはようございます。『個人的な感想です』、略して「こじかん」です!


『TVアニメーション進撃の巨人 原画集』第3巻を読みました!


この巻にはアニメの第8話から第11話まで、BD・DVDで言うと4巻全部と5巻の最初の1話が収められています。展開から言えば、トロスト区攻防戦の最中。謎の巨人の出現で命拾いしたミカサたちと、訓練兵たちが本部に突っ込んで、アルミンの知略と7人の技で建物内の巨人たちを倒してガスの補給に成功し、謎の巨人の中からエレンが現れる、という8話から駐屯兵団に敵意を向けられながら巨人化によって砲弾を防ぐ9話、アルミンの必死の説得によってピクシス司令を動かす10話、ピクシスが兵士たちを説得し、エレンの巨人化の力を信じて奪還作戦を始める11話、というところになります。


冒頭には「Pash!」や「オトメディア」などアニメ雑誌の表紙になったり特集で掲載されたカットがカラーで収録されていて、このあたりは特典としてついてくるサイズに比べてかなり大きいので(A4サイズ)お得感があります。


コニーがアルミンを抱っこして本部に突入するカットは、その回から参加したWITスタジオ外部のメンバーが描いた立体機動だそうで、確かにこの回あたりからそれまでの立体機動の動きと違うものが出てきたなあという印象を思い出しました。


本部内の巨人を討伐するため7人のメンバーが階段を下っていく場面、あそこが止め絵になっていたのは当時から視聴者の間で議論がありましたが、荒木監督がいくつか理由を挙げていて、「動きにメリハリをつけるため」が最大の理由だ、と書いてました。あの場面は数少ないギャグの場面なので動かしてほしかったという気はするのですけれども、手間のかかる割には評価されにくい場面だということも書いていて、それはそれで納得できるとは思いました。まあ何しろほかの場面が凄すぎるわけですから。


この時の巨人に切りかかる5人のカット(なぜかミカサとジャンがない)とか、エレンが巨人の中から出てくるところを見て表情を変えて行くミカサの顔の変化とかが、原画で丹念に見られるのは、これは原画集の醍醐味だなあと思いました。


それからアニメを見たときには気がつかなかった指摘もあって、エレンが巨人化して最初にやっつける巨人は、エレンの足を食いちぎった巨人だったということに指摘されて初めて気がつきました。


またエレンが初めて手のひらを食いちぎって巨人化する場面で、途中まで無意識にやっていて途中で気がついて意志を持って食いちぎる、という細かい芝居があったということも初めて気がつきました。


アルミンが初めて自分の力を自覚して駐屯兵団説得のために命懸けでエレンの力の活用を説く場面の、一枚一枚のカットの迫力は、もちろん出来上がったアニメでも凄いのですが、原画の力の入り方もまた尋常ではないなあと思いました。


奪還作戦が決まり、配置につくとき、その場まで走りながらリコがエレンに説教する場面がありますが、あれはなんだか変な感じだなと思っていたのですけれど、監督は「どんな人になら説教されても許せるか」を考え、「正しいフォームで走っている人」という結論に至ったそうです。(笑)確かにリコは異様にいいフォームで走ってるんですよね。そこがなんかそこだけ現実感がすごく出ていて、それで違和感があったんだということに気がつきました。でも本当にいろいろなことを考えて作っているんだなと思って印象に残りました。


それからこの間の圧巻の一つは、24ページにわたるワンシーンの立体機動場面の原画です。これはピクシス司令の演説の背後で、エレンとミカサが飛んでいくところですが、アニメは1秒間に24コマあるわけですから、18×24=432枚のコマの原画だということになります。こうした超人的な構成の部分があるからこのアニメは凄かったんだなあとまた改めて思いました。


巻末には作画監督の長谷川ひとみさん、山田歩さんのインタビューも収録され、彼女ら自身も場面によっては感情移入をし過ぎて泣きながら書いていた場面もあった、という話をしていました。


本当に熱量のあるアニメだということが、原画集を読むことで改めて感じることができました!