ぼくらのへんたい 5 (リュウコミックス)/徳間書店

¥651
Amazon.co.jp



【ふみふみこ『ぼくらのへんたい』5巻が出ました。(1)今日はまず亮介の「彼女」の「はっち」のこと。】

ふみふみこさんの『ぼくらのへんたい』第5巻が2月13日に出ました。このマンガの感想を書こうとずっと思っていたのですが、なかなか書けないでいました。というのは、あまりに書きたいことが多すぎるからでした。(笑)

そこで、このマンガについて何回かに分けて書いていきたいと思います。今日はまず冒頭の18話『青い果実』の主役、「はっち」=蜂谷美紀のこと。

この物語の三人の主役の一人、死んだ姉=ユイの服装をし続ける亮介は、まりかやパロウへの反発から、仲のいい女子の一人だったはっちと付き合い始めました。

しかし、その後亮介は三人の関係、特にまりか=裕太との子供らしい関係で一緒に過ごす時間が多くなり、次第に恋愛感情が芽生え、はっちとの関係はおざなりになっていました。

しかし、そんな関係に業を煮やしたはっちはある日亮介を家につれて行きます。ちょうどそのとき、亮介は裕太がみなの前で「自分はおかまだ」とカミングアウトしたことにショックを受けていて、何となくずるずると最後まで行ってしまうのです。裕太への思いと、肉体が反応してしまったはっちとの関係。いったい自分はどうしたらいいのか、亮介は深い自己嫌悪に陥ります。

5巻の冒頭は、この日、帰る亮介を送るはっちの回想から始まります。

このはっちが、5巻の陰の主役、あるいは物語の引っ掻き回し役=トリックスターだと言っていいでしょう。

見るからに健康そうな、女の子らしい女の子。しっかり発育もして、その大きな胸は男子にも女子にも話題の的。でも本人は、戸惑わずにはいられません。小学生の頃のはっちは人一倍男の子っぽく、友達も男の子ばかりだったのに、「胸が大きくなった」ために男の子たちのグループから外されてしまったからです。

自分の気持ちは男っぽいはずなのに、でも自分の身体は誰よりも女らしい。その違和感に戸惑わずにはいられないのは、多かれ少なかれ多くの女の子が感じることだろうなと思いました。

それははっちの言動にも現れます。自分としては落ち込んでいる亮介の背中をばしっとたたいたり笑わせたりして励ますつもりなのに、亮介に見とれ、好きになり、亮介がほかの女子と普通に戯れる様子に焼きもちを焼き、亮介の女装に気づくと裕太に近づき、女装仲間に入れないでくれと余計なお世話を言ったりします。

しかしそこで知ったのは、自分の知らない亮介の深い闇。それを打ち明けてくれず、女装仲間たちと深いところでつながっていたことにはっちは傷ついてしまうのです。

各話の間に挟まれているカットは、5巻ははっちでした。胸の強調された衣装、スクール水着など、作者の「好きな」女の子が描かれている気がします。小柄でちょっと独特の雰囲気を持ったあかねちゃんとはまた違う、作者の「趣味の広さ」(笑)が魅力的だなあと思いました!

なんか、語りだしたらきりがないですね。(笑)

また、続きを書きたいと思います。