進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)/講談社
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『進撃の巨人』は、もう月刊誌での連載が54回。ということはすでに4年半、単行本にして(1年3巻出ているので)13巻目まで来たということになります。


私が初めて読んだのは、2011年の1月11日だったのですが、この本を手に取るきっかけになったのは『このマンガがすごい!2011』で第1位になっていたことでした。


販促用の小冊子を読んでみたのですが、どうもどこが面白いのかわかりません。だから丸善で買ったときにも、念のため、面白くないといけないと思って1巻しか買いませんでした。


もちろん、完全な失敗でした!(笑)


面白い面白い。泣きたくなるほど。この面白さは何なんだろうといろいろ考えました。郷里に行く特急の中で読んでいたのですが、その面白さについてツイートし続けました。ぞくぞくするような面白さ。押し寄せる不安と恐怖。この面白さの根源を知りたい、と強く思いました。


巨人に丸ごと生きたまま喰われるという場面に、人間の生物としての生存本能を強く刺激されるところがあると思いましたし、また設定がとにかく斬新であるようにも感じました。特にあの超大型巨人が人体模型みたいなのは凄いなと思いましたし、壁の存在感がシンプルで画面に現れた印象が直接読者にひしひしと伝わってきて、何かゲームのような臨場感というかリアリティみたいなものを感じる面もありました。


郷里に戻ってから仕事を済ませた後で車を走らせて続きを買いに行ったのですが、2巻だけしか買えませんでした。


読んでいるうちに何か不思議な感じがしてきます。どこか古風な感じがするのです。その理由がよくわからず、考えした。それは巨人たちの描写なのだろうか。巨人たちの風体は、私が思い出すのはヒエロニムス・ボッシュの『快楽の園』に出て来る異様な人々です。でもそれはその絵を連想するということで、そのものずばりというわけではないのです。


また、絵や構成のルーツをたどると永井豪さんに行きつくのではないかという気がしました。『バイオレンス・ジャック』とかの。一番近いのはダンテの『神曲』をもとにしたギュスターブ・ドレの版画を漫画化した『神曲』の「地獄編」でしょうか。ただ諫山さんが新しいのは鬼や巨人たちは伝説などでもたいがい頭が悪いとされている(「神曲」でもそうだし、ナルニアの『銀のいす』に出て来る巨人たちもそうだ)のだけど本当に頭が悪そうには描かれてないことが多いのだけど、そこに工夫がされて、本当に頭が悪そうに描かれているところだと思いました。


本当の怖さは理解できる恐怖ではなく、理解できない恐怖にある、と思います。巨人が理性的・知性的な存在であれば理解できるかもしれないという点において希望が持てますが、『進撃の巨人』の巨人たちは見事なまでに交流不能であるところがとてつもなく怖いのです。だから超巨人が知性がありそうだということになったりすると、またエレンの変化した巨人に対しては、わけのわからない怖さはないのです。だから、巻が進むにつれて恐怖感だけでなくドライブ感も衰えてくる感じがしたように、その時は感じました。


(その2)に続きます!