聲の形(2) (少年マガジンコミックス)/講談社
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昨日書店でマンガの棚を見ていたら、大今良時さんの『聲の形』第2巻が出ていたので、速攻で買いました。今朝になって読み終えたので、感想を書こうと思います。


小学生時代、石田将也は西宮硝子に凄まじいいじめをします。それが原因となって将也は孤立してしまい、今度は自分がいじめられる立場になって、孤独な状態が高3まで続き、ついには死のうと決意します。そして、硝子がいる場所を知った将也は硝子を訪ねていく。そこまでが第1巻でした。


第2巻では、将也が硝子に会いに行ったのは「死ぬ資格」を得るためだった、ということが明らかにされます。それなのに硝子と手話で話しているうちに思いがけず、「友達になれるか」と言ってしまいます。硝子はその返事として将也の手を握るのです。


普段の言葉なら言えなくても、手話なら言える、そういう言葉もあるのかもしれないな、というふうにも思いました。でもそれが、将也を新しい世界に導きます。


そこに現れたのが、なんだかマメで、物知りで、大人なんだけど妙に熱い永束というキャラクター。つまり簡単に言えば、「ダサい」。1巻に出てきた子どもたちの妙に醒めた感覚から言えばすごくダサい。それが分かるのは、私にもそういう感覚があるからだなあと思います。でも本当はすごくいいやつなんですね。たかられても殴られても筋を通すし、将也のためには本気で怒る。「友情っていうのは言葉や理屈…それらを超えたところにあると思うんだ。」


そう、そんな当たり前のことをいうために、とてもたくさんの紙数と設定を費やさないといけないのが現代という時代なんだなあと思いました。昔ならもっと簡単に言えたんじゃないか、と思ったのですが、でも多分そうではないですね。たとえば旧制高校の時代だって、その結論に達するには、すごく大変なことをたくさん乗り越えて行ったのだと思います。


また、将也を硝子に近づけないようにしようとする少年が現れます。彼氏なのか、弟なのか、将也も永束も戸惑うのですが、なんと実は妹でした。結弦は硝子を守るためには何でもします。ネットに投稿して将也を停学に追い込みさえするのです。


この2巻のテーマを一言で言えば、「本気」だと思います。本気で謝る。友達を、姉を本気で守る。子どものために本気で怒る。そして許す。


なんだかここまで書いてきて、ちょっと胸が熱くなってきました。


どうしたら人は本気になれるのでしょう。いい加減な、人に流される生き方でなく、心の底から思ったことを、自分のためにも人のためにも、行動するということがどうしたら可能なのか。


大今さんは、その答えを書こうとしているのだと思います。


2巻は1巻で注ぎ込まれた不条理が回収され、大きなテーマが打ち立てられていきますが、3巻ではさらに困難にぶつかっていくことになりそうです。


少年誌(週刊少年マガジン)でこれだけの作品が描かれるなんて、すごいなあと思います。