コレクション整理の目的もあり、これまで収集してきた主なアンティークジュエリーの画像を分類して小冊子に纏めたいと考えています。ただレイアウトなどをいろいろ考えているとなかなか実行できず、そのためブログの更新も途切れがちになっておりますが、無事上梓できましたらこちらで詳細をお知らせしますのでどうかゆるりとお待ちいただけましたら幸いです。

 

ということでちょっと気晴らしにネットでいろいろ検索して遊んでいたところ、最近youtubeでこんな動画を見つけました。私の昭和の特撮ドラマの知識はほんの少ししかないのですが、観ていてこれは行きがかり上少し書いておいた方が日本のテレビ特撮史の理解に資することもあるかもしれないと思いましたので、内容的にはちょっとマイナスムードではありますがもしよろしければご一読ください。ちなみに今までこちらで書いた特撮系の記事は今だにアクセスが絶えないのでまだ暫く置いておくことにしました笑。

 

『仮面ライダーV3監督プロデューサー座談会』→

 

2002年に発売されたDVDBOXの特典映像とのことで、制作側の話は珍しいと思い観てみたところ、あの時の撮影は大変だったとか落ちたら即死確実の異常に高い煙突にスーツアクターを登らせたとか正直つまらない話ばかりだったのですが、話がライダーマン編に移ったので「おっ」と思いじっくり聞いてみたところ、

 

折田至という監督のコメントはまあまともだったのですが、

 

宮内洋「最初に山口くんから君とは普段から目を合わせないと変なことを言われたので自分は避けたし向こうからも寄って来なかった」

平山亨P「急に家に来てV3の主役にお願いしますと言われたが過去にあんなに有名だった人でもそこまでしてV3がやりたかったのかねえ」

阿部征司P「そうそう山口くんはいつも自分には丁寧だったが彼は真面目の前に何かが付くんだよな」

 

役者同士の確執はよくあることなので宮内の話はまあいいとして、故人に対し、しかもドラマとしての評価の最大の功労者ともいえる俳優の功績を一言も讃えることもなく、こんな半分公の場で「あいつはただのクソ真面目だった」と陰口まがいのことしか言えないプロデューサーってなんだこれ?と思った瞬間、

 

これは制作側と山口暁との間で何かトラブルがあったのかな

 

と思いつき、以前私がオンエア映像を観て感じた疑問がここですっと解決しました。あまり言いたくはありませんが、他ではありえないような明らかにおかしい映像要するにPの黙認済みだったということだと思います。現場での役者叩きは芸能界あるあるでしょうが、視聴者がちょっと注意すればすぐに気づくほど画面に露呈しているケースはかなり稀ではないでしょうか。うわ〜これは本当に酷い。

 

ただしライダーマン編の後半では山口の方もしっかりやり返しているような気もします。頼むからふたりともやめてください、マジで全国の子どもが見ていますよ大汗。

 

ドラマの中では山口が「ヒーローとして本当に必要なのは力ではなく心の強さである」というメッセージを繰り返し出している(と私は感じます)のですが、現場の演出では

 

常人なのに改造人間である主役に飛びかかりその挙句徹底的に殴られ続ける

戦闘時には見苦しい程V3の足をもたもた引っ張り邪魔をする

怪人にはほとんど歯が立たずにやられっぱなし


本来ならさらっと流すべきこれらのシーンが本編では異常なほど延々と強調されるので、確かに観ている子どもは山口のメッセージどころか「なんだコイツは邪魔なだけで弱くて役立たずで頑固でバカじゃん」と受け取ってしまうのも当然だと思います。ただ、主役が役を忘れて本気で押さえ込んでいるように見えるこんなシーンを観ても「風見志郎カッコいい」なんて思う子どもはいたのでしょうか?

 

ところでこれほどドラマが歪んでしまった理由ですが、私の推測では山口の演じた結城丈二キャラがどうやら制作側の意図するものとは全く違っていたからではないかと思っています。P側としては、ラストにテコ入れとして主役を引き立たせるために追加したのですから、おそらくシリアスでも東映らしいあっさりしたキャラが欲しかったのだと思いますが、山口が60年代のヒーローの雰囲気をそっくりそのまま持ってきた結果、結城キャラは大して演技力のない主役よりもはるかに重厚で格上のものになってしまいました。ネット上でも「ライダーマン編は今でも別ドラマのように感じる」という人は結構見かけますし、またこれは想像ですが、60年代の特撮ヒーロー俳優の山口はPがたしなめても自分が求めるヒーロー像を決して譲ろうとしなかったのかもしれません。おかげで視聴者は頭が混乱するばかりで、真ん中でへたり込んでいる目つきの悪い不良青年が右側の風格ある年上の人物の「愛の救世主」だなんてどう考えてもあり得ません。

 

私は「両者はキャラ設定の打ち合わせをしていなかったのだろうか」と疑問に思っていたのですが、打ち合わせをした結果がこれだったとすればもうどうしようもないですね、汗。

 

それにしてもこれほど壮絶な撮影現場で自分の信じるヒーローを最後まで演じ切った山口はさすがにすごいと思います。確かに製作側からみれば「やっかいなクソ真面目野郎」だったでしょうし、また演技力では絶対に勝てないこんな役者をいきなり放り込まれた宮内洋も実は相当大変な思いをしていたのかもしれません。


もう50年も前のドラマのことですし今更私ごときが気にするのも何なのですが、本来ならかっこよく仕上げなければならない筈のヒーローを制作側自らが大人の事情で辱めることによって、子どもたちに「弱い者」を助けるどころか揶揄い嘲笑する心を植え付けてしまったこのドラマはテレビ特撮史上稀有の事例だと思います。ただ70年代は社会全体が大変荒れた時代でもあったので、当時の風潮に乗っていただけかもしれないこのドラマだけを責めるわけにはいかないでしょう。

 

ちなみに、宮内があちこちで言っている「山口から自分たちは反目しあうライダーだから普段から目を合わせないと言われた」云々は、おそらく宮内の方からこんなふうに思いっきりガンを飛ばしてきたので大人の山口は婉曲にそう躱しただけのような気がするのですが真相はどうでしょうか?
 
「俺ならここにいるぜ。俺に何の用だ?」

しかも演出上また何かの上に乗って見下ろしているし汗
 
 
やっぱり予定以上に長くなってしまいましたので(汗)続きは次回に。