これはだいぶ以前に入手していたものですが、何故かご紹介していなかったようなので今回アップします。18金PGの男性用懐中時計の提物(フォブ)です。鎖に付けた状態でご覧いただきたかったのですが、男性用懐中時計チェーンは刻印があっても偽物が多く、また現在の金価格の高騰により本物の18金無垢のチェーンは非常に高価であるため、入手するのがなかなか難しい状況です。表側の中央の銀色の部分は厚みのあるプラチナです。本体のみの縦の長さ約2.7センチ。全体的にすっきりしていて洒落た雰囲気なので、時代は昭和初期のものでしょう。

 

和柄は多いのですが、このような和製アールデコ調の細かい彫りがあるものはなかなか珍しいです。

 

彫りのデザインがよくわかるように影にして写してみました。

 

小さいものですが、戦前だけあって隙がなく引き締まった細工です。

 

 

内側です。蓋がパチンとしっかり閉まる精巧な造りです。中には方位磁石が入っているのですが、小さいので実用向きではないようです。

 

刻印です。「K18」と

 

東京に店を構えていた老舗宝飾店「村松万次郎商店」のメーカー印があります。

 

手持ちの提げ物を並べてみました。下段の小さなふたつは女性用の片方針です。提げ物は小さく可愛らしいアイテムなので、懐中時計コレクターの間でも人気があるようですね。

 

いつも服部時計店のカタログばかり引用していますので、今回は大正11年12月発行『天賞堂マンスリー』からの抜粋です。当時の男性向けの洋装用ジュエリーです。中流階級以上の男性はこのようにとてもおしゃれだったのですね。カフスもなかなかかっこいいです。