昭和に入ってしばらく経ってからのものと思われる、服部時計店製の彫金細工の帯留めです。彫金ものは既にひとつ持っているのですが、それはおそらく煙草入れの前金具を帯留めに仕立てたものですので、帯留め用の彫金細工を入手したのは今回が初めてです。こちらは色金を使わずすっきりした細工の品ですが、それでも本当にどうやって造ったのか驚くほど素晴らしい出来栄えです。まさに日本が世界に誇れる宝飾技術の賜物といえると思いますが、現在ではすっかり廃れてしまったのが残念です。

同じ彫金の帯留めでも、さらに細工が細かく立派なものとなりますと、名だたる帯留めコレクターさん達の争奪戦の対象になっており、価格的にまず私の手には入りませんので、ご参考までに、いつもお世話になっております『伝統装身具ネット図鑑』の服部時計店のカタログに掲載されている、戦前の高級彫金帯留めの数々をご覧ください。こちらです→⭐️

長さ横約4.8センチ、重さ30グラム。デザインはアールデコ調にデフォルメされたシャープでモダンな菊の花です。金色のところは鍍金と思われます。

実は、ほぼ同時にもうひとつ別の作家の彫金の帯留めを入手していますので、後日アップします。彫金に目覚めてしまいますと本当にお金がいくらあっても足りませんので、まあこのあたりでやめておこうと思っていますが、いいものを見つけてしまうとやっぱり追いかけてしまうかもしれません、笑。

 

 

 

少し斜め横から写してみました。

 

これ本当にどうやって造るのでしょうね?透かしの上立体的な構造になっているのが驚きです。基本的には裏から銀の板を叩いているのでしょうが、見れば見るほど感心することしきりです。

 

裏側です。

 

ツバメマークです。

 

このような箱に入っていました。おかげで状態が良好です。

 

本来は真っ白な銀色なのでしょうが、綺麗に古色が着いていますので、あえてそのままにしています。

 

 

表には「菊 帯〆」とあります。

 

蓋の裏側です。「美尚刻 東京銀座 服部時計店製」とあります。

 

帯留めの銘です。

 

手のひらに乗せてみました。ころっとした感触です。

 

手持ちの昭和7年のカタログに彫金の帯留めが掲載されていましたので一緒に写してみました。少しデザインが似ているような気がします。