戦前の御木本真珠店のデザインですが、WGが主流になってからは、従来のノーブルなデザインに加えて明らかに雰囲気の異なるデザインのものが造られるようになりました。このクリップ式ブローチ(もしくはヘアピンの可能性あり)もその一つで、素材はアール・デコ調なのですが、それにしては曲線が滑らかなデザインで、ちょっとシュールで不思議な佇まいがあります。重さは13.1グラム、長さ6センチ程度。少し使用感はありますが芥子玉の剥落もなく大変よい状態で出てきました。当時の日本人は本当に芥子玉細工を好んでいたようです。渦のようにぎゅっと巻かれたフォルム、緩い膨らみのある曲線、いつもながら彫金は大変素晴らしいです。黒い部分はオニキスを細く削ってはめ込まれています。

 

 

これが裏側です。当時のクリップブローチはこのように出来ています。知識がなければこれが何に使われるものかわからないと思います。ただどう着けられていたのか、向きがよくわかりません。

 

かなりパチっとバネが効いています。

 

 

しっかり留まるようにいくつかの針状の突起があります。

 

刻印です。本体と金具の両方に「貝にM」「K18」「WG」の刻印があります。

 

 

それにしても手持ちのミキモト製品はかなりの数をWGが占めるようになりました。想像するに昭和一桁後半以降のミキモトではK15YGよりもWGが主流になっていたのでしょうか。そういえば服部時計店製の宝飾品もWGが多く使われていますが、芥子玉はYGの方が映えると思うのですがいかがでしょうか。