面白いカタログを見つけましたので紹介します。昭和13年頃に森永製菓株式会社がお得意様や販売店用に配布した、当時の進物用の菓子類の写真および価格表です。支那事変勃発直後のものですので、銃後の守り等の文章が書かれていますが、掲載されている高級菓子類はなんともきらびやかな箱に詰められていて、戦争などどこ吹く風と言わんばかりの(笑)華やかさです。日本社会が総力戦というものにまだ実感がなかったのでしょう。縦22センチ×横15センチ。16ページあります。この冊子には発行年が入っていないのですが、私が直接森永製菓に問い合わせて、掲載されている写真等から昭和13年のものと確認していただきました。

 

表表紙

 

裏表紙

 

当時の森永製菓のエンゼルマーク

 

時代を感じる文章ですが、冊子の中を見るとあまり説得力がないかも?

 

見開き

 

モノクロページとカラーページとがあります。カラーページばかり写してみました。特にクッキーが美味しそうです。箱はビビッドな配色でとても華やかです。

 

 

こういうドロップスありましたね〜今でも売られているのでしょうか?

 

詰め合わせの中身に応じて名前が付けられています。

「ファンシーボックス」「ホリデー」「兵隊」「チョコレートバー」「ロビー」「ニューファンシー二号」「エヤウェイ」「ネーション」等々。

 

キャンディー、チョコレート、ビスケット等の質や量に応じて価格は一円二十銭から十円まであります。当時の十円は今の価格にしておよそ20,000円くらいでしょうか。進物用としてはかなり高価です。

 

このカタログには、進物用の他に、一般向けに売られているものも掲載されています。

 

 

「森永マンナ」は今も売られているようです。「マリービスケット」も子供の頃よく食べましたし、その下の「チョイス」はバターがたっぷりでとても美味しかったです。(今でも売られているのでしょうか?)左上の缶には「ミルクコーヒー」とありますが、粉末ミルク入りのインスタントコーヒーのように見えます。モノクロの写真の方には「ミルクココア」がありますが、これもインスタントココアでしょうか。商品のデザインが今の箱入りココアと同じようです。缶に入った「森永クリーム」「森永ミルク」(液体)「森永ドライミルク」もあります。

 

これらはもちろん当時の高級菓子ですが、昭和の華やかさがよく伝わってきます。それに比べて裏表紙の兵士の食糧が「乾パン」というのは、なんとも気の毒で本当に申し訳ないくらいです。