服部時計店製の羊歯デザインの高級帯留めです。デザインおよびWGが使われていることから、昭和10年前後くらいのものと思われます。長さ8.6センチ。金色の部分はピンクゴールドで、これはおそらくK18でしょう。このピンク色とブルーの高品質オパールの色合いがなんともいえずおしゃれな雰囲気を出しています。

 

 

 

共箱付きです。

 

なんと言っても彫金が見事です。地金を薄くして立体的に溶接し、なだらかな曲線を描いています。

 

刻印です。「WG14」とツバメマークがあります。

 

服部時計店は銀器もそうですが、仕事が大変細やかです。そのせいかデザイン的にどこかしな〜っと艶かしい感じがします。その点、地金を厚く使い、デザインが優雅で確固としているオールドミキモトとは雰囲気が異なります。私はどちらも好きですが、服部時計店の製品は、ミキモトに比べるとあまり人気がないようです。

それにしても昭和十年前後の日本は戦前日本の国力の頂点に達していたのでしょうね、今ではとても造れそうにない技術です。海外への輸出のためでもなく、西洋の真似でもなく、日本人が日本人のためにデザインし、造り上げたこれらのジュエリーは、しっかりと後世に伝えられるべきだと思います。

昭和7年の服部時計店のカタログと合わせてみました。この帯留めはカタログと同レベルの高級品です。

 

御木本の高級帯留め(このブログではもう常連さん、笑)と並べてみますと、同じ芥子玉真珠を使っているにもかかわらず、全く違う雰囲気であることがよくわかります。

 

[追記]

どうも写真だと平坦に見えてしまいます。ちょっと角度を変えて写し直してみましたがどうでしょうか。実物は前後に立体的です。