久々の更新です。
今日は現在CSの日本映画専門チャンネルで放映中の「雷撃隊出動」(昭和19年)をご紹介します。
以前ご紹介しました「加藤隼戦闘隊」も昭和19年公開の映画でしたが、あれは内容が昭和17年のものだったので、まだ明るい雰囲気がありましたが、「雷撃隊出動」には戦争末期の追いつめられた状況がよく現れています。


内容は、「雷撃の神様」として知られている同期の三人の少佐(三上、川上、村上、あわせてサンカミ)が南洋の基地で久々に出会い、再会を喜びつつも次々と出撃して結果二人が戦死するというものです。
このストーリーを軸に、下士官らの基地での会話等が挿入されているのですが、戦争末期を反映していて、「アメリカの畜生どもを二人でも三人でもたたっ斬ってから死にますたい」と息巻く食堂のおばさんや、ある下士官の「なあに、物資が不足しようともこちらがひとり死んで相手を10人殺せばそれで済む事じゃないか」というさらっとした話しぶりや、風鈴代わりのビールの空き瓶に「見敵必殺」とぶら下がってあったりとか、今見るとこれはちょっとイタイと思われるエピソードがあちこちに見られます。ですが、三人の少佐の描き方はしっかりしていて、俳優さんたちもきっちり演技していてなかなか見応えがあります。
それから、やはり当時の戦闘機が実際に映像で残っているのは貴重でしょう。私は戦闘機には詳しくないのですが、雷撃機から海に叩き込まれる魚雷のリアルさには驚きました。


向かって左から三上(藤田進)、川上(森雅之)、村上(河野秋武)の三人の談笑


母艦航空隊隊長の村上は三人の中では一番直情的で、クラス会で「飛行機が足りないばかりに、優秀な連中をたくさん殺してしまった・・・今さら飛行機を補充されても、もう死んだものは生き返っては来ん」とつぶやきます。
川上は参謀で、内地に飛行機の調達に出向きますがあまりいい結果を持って帰りませんでした。それを聞いた村上は「一機でも三機でも俺は立派に戦ってみせる!」と憤慨して部屋を出て行きます。
そんな村上も出撃する時がきました。村上は川上に愛用の日の丸のシガレットケースを渡します。三上は「貴様、早まるなよ」と心配しますが、村上はにっこり笑って出発します。川上は「三上、よく言ってくれた、俺は言い出せなかったんだ。」

軍人役はあまり似合わないがとにかく色っぽい森雅之


心配する三上と川上


笑って答える村上


その後、続いて、基地航空隊隊長の三上も出発します。結果として、先に出た村上は機上戦死、「早まるなよ」と言った当の三上は敵の戦艦に体当たりして自爆して果てます。

出撃を見送る部隊。「八播大菩薩」の神頼みがつらいです・・・。真ん中は大河内伝次郎


当時の日本の航空母艦の貴重な映像


機上の三上。軍人役がぴたりとはまる藤田進。


二人の戦死を聞き、形見のシガレットケースを静かに見つめる川上


映画としては今見ると若干苦しいものがありますが、当時を知る上ではなかなか貴重な映像が目白押しで、戦前日本に興味のある方ならば一見の価値はあると思います。是非一度ご覧になってみてください。


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