観心略要集3 | 光明の生活

光明の生活

実相無漏の大海に、五塵六欲の風は吹かねども、隨縁真如の波の立たぬ日は無し。まあそんな感じです。

【訓読】

第一に娑婆界の過失を挙げるとは、夫れ娑婆世界とは、行住坐臥威儀、皆これ解脱を遠離する基なり。

見聞触知の境界、生死に沈淪の源にあらざる無し。

経に曰く、一人一日中、八億四千の念あり。念々の中の所作、皆これ三途の業なりと云々。

凡夫の世間に住して世間相をだも知らず。八億四千の念を起こすに、我らの所知にあらずと雖も、仏眼に照らすところなれば仰いで信ずべし。


【私釈】

第一に娑婆世界、つまりこの現実の地上(および六道輪廻の)世界の過失を述べようと思う。

まことにこの現実の地上世界は、行住坐臥何をするにも、すべてそれらから解き放たれた自由を得ること、つまり解脱することを遠ざけるようになっている。

あるお経に、「人間は一日中に八億四千の思いや思考や反応を起こすが、それらすべての思いや思考や反応は、結局自分を苦しめることになる。地獄に落ちる原因となる。」と書いてある。

そういわれても、普通の人間は全世界の事まで全部わからないように、お前は一日に八億四千の念を起こしているのだと言われても自覚はない。

しかしお経に書いてあることは仏の目から見てそうだということであるから、そうなんだろうなと仰いで信じるべきである。

 

【科門】

ー総じて第一大門の大意を述ぶ

ー経証を引く

ー経証より信を勧める