月輪観の事2 | 光明の生活

光明の生活

実相無漏の大海に、五塵六欲の風は吹かねども、隨縁真如の波の立たぬ日は無し。まあそんな感じです。

【訓読】
興教大師の『心月輪秘釋』に曰く。

「夫れ此の觀とは。萬行の尊主、諸度の帝王、出凡の正門、入佛の直道なり。
能説の人を言えば則ち智佛理身の遍照、所乘の法を語れば則ち祕密神通の寶輅なり。
所以に豎には七宗の外を超えて獨り一乘の頂に歩み、橫には六大の中に遍じて普く十住の心を貫く。
茲に因て三世の渤駄は之を心藏に秘し、十方の索唾は之を髻珠に尊ぶ。
疑謗の逆縁、猶ほ權教の戒行に優れり。信歸の順因、誰か顯乗の智觀に比せん。何に況や信修をや。況や復た深行をや。
三毒十惡は變じて曼荼の功德となり。四重五逆は轉じて瑜伽の業行に帰す。
一百六十の妄執は斷道を仮らず自を絶ち。八萬四千の邪惑は對治を待たず忽に消す。
三祇の長劫之を半念に縮め。六度の廣行之を一觀に摂す。
煩惱生死の睡暗今永く斷え。菩提涅槃の覺月斯に始めて彰る。
淺觀少行は現生に初地に登り。深解上勤は即身に極位を證す。
昜修易證の道、既に斯の行に如かざるなし。難値難聞の法豈に此の門に過ぎたること有らんや。
巳に真言教王の直語と定む。應に知る、方便の跡を削ることを。
亦た大日法帝の嚴敕と印す。察すべし、圓海の源を窮むることを。」