編集「今日は受講生の方からの質問の中で、多いモノについて、先生のお考えを伺いたいと思います。」

島村「宜しくお願いします。」

編集「まず、非常に多いのが過去問の使い方です。先生の必勝合格パックをご利用になっている受講生の方は数百人になるということですが、大半の方は過去問の使い方については模試的に使っていらっしゃるというお話を前に伺いました(記事にはしていませんが)。その模試的というのはどのような使い方なのでしょうか?」

島村「模試的というのはわかりにくい表現ですね。私が昔から動画などでお話ししているように、受験勉強で大切なのは全体像を把握することです。その全体像と言うのは、例えば平成9年位からの過去問を全部やって、どういう問題が出るかを体験するということが一例として挙げられます。模試的というのは、弊社の教材として配布している過去問を、全部『目を通す」という意味です。やり方としては、その過去問の本番での実施時間通りにやってみるということです。」

編集「本番の時間通りにやるということが模試に似ているから『模試的』と言う表現をしたのですね。」

島村「そうです。」

編集「でも、勉強を始めたばかりの人には本番通りの時間、例えば90分とか2時間とかで解くことは難しいのではないでしょうか?」

島村「そうですね。でも、模試的にやることの意味は、問題の出題傾向や問題の形式を知ることにありますから、出来の良し悪しは二の次なのです。それと、公務員試験の問題は、大学受験までに勉強した内容から出題される教養科目と、大学での勉強で習得したであろう知識から出題される専門科目ですから、受験勉強をしていなくても正解できる問題があります。それがどの程度かを把握することで、合格までに何をどの程度やらなければならないかを把握できるというメリットがあります。」

編集「でも、得点は低いのではないでしょうか?」

島村「それでも0点と言う人はいません。予備校で教え始めてから、現在までの経験ですが、最低でも8~9点は取れます。勿論、1時間半と位の試験時間で10問位を解こうという目標を最初から持てば、10~15点くらい取れるかもしれませんね。」

編集「受験勉強をしなくてもそのくらいは取れるのですか?」

島村「勿論、本人の能力次第ですが、いい加減にやれば取れませんが、トライする気持ちがあれば取れるはずです。」

編集「ということは、合格点と最初の得点の間を埋めれば良いということになりますね。」

島村「その通りです。最初に9点取れれば、合格点を40問中の23点とすれば、残り14点で済みます。それが受験勉強で埋める範囲ということになります。そして、1.2回やっただけでは判定できませんが、それを10~20回分の問題で確認すれば自分が何をどのように勉強すべきかと言う方針が立ちます。そしてその方針に基づいて動画授業やレジメを反復学習して行けば、最も効率よく、そして、その受講生にとって最適な学習方針と学習計画が『体感』できるということになるのです。」

編集「ということは、過去問を最初にどんどんやることが、先生の合格法の基本となるのですね。」

島村「そうです。受験勉強に失敗した人はほとんどが、何か参考書をマスターしようという方針で学習をしますが、それは、言ってみれば、参考書の編集者の頭を借りて勉強方針を立て、実践することに他なりません。しかし、参考書の編集者は受験の失敗者であることがほとんどです。つまり、東大の卒業生が書いた参考書はほとんどありません。有名な東大出身の弁護士が監修したという法律系参考書もありますが、監修と言ってもほとんど形式的なもので、その弁護士の実体験や悩み、苦労などが読み取れるものではありません。実際に執筆しているのは彼ではないのは『監修』と言うイイワケからも明らかでしょう。学校教育と受験勉強は全く違います。学校教育のように教科書をマスターすると成績が良くなる、という成功体験をした編集者からは、私のように学校の勉強は完全否定して、東大に受かった人間の学習法を知ることはできません。基本的に、国公立の学校の試験は、あるべき正解が決まっていて、それは教育指導要領のコアのようなものですが、学校の教科書は民間編集ですので、そうしたコアが「ボケている」し、欠落している教科書もあります。そうした民間編集の教科書の「二番煎じ」のような学習参考書は、その読者の大半が国公立の学校に進むために必要なコアの知識よりも、私立に進むための「周辺知識」の方が必要です。そこに重点を置いた民間編集の教科書と参考書で勉強してきた人たちは、国公立の試験問題には馴染がありません。その馴染がないために、本番の試験で受けるのが「初めて見た」「問題に何が書いてあるかわからない」「勉強したことが無い問題が出た」という印象です。教科書や参考書が排除した情報こそが、国公立では重要で、教科書で面白おかしく読者を増やしたような情報は「売らんが為」「授業を面白くする為」の特集記事のようなもので、他の教科書や参考書と差別化するためのものですが、それは国公立の試験では「私的見解」「確証の無い情報」になるので出題されません。その差が、合否につながるのです。つまり、教科書や参考書に頼って勉強している限り、日本においては良い学校、大学に入学する道は遠のくと中学の時に思ったのです。」

編集「中学の時からそんなことに気づいていたというのは、とても、怖いお話ですね。」

島村「そうですね。似たようなことを子供の頃から、周囲から言われていたので、私は学校の成績は悪かったけど、塾や全国模試の成績は良かったです。簡単に言えば、先を読んで勉強をしたということです。中学では内申書がありますから学校の成績を良くすることにそこそこ苦労しましたし、クラスでは苛められっ子の方に属しましたので、中3の担任は、かなり私に対してひどい仕打ちをしましたね。それ以来、先生に対して不信感を持ちました。それでもその中学の先生も、私が文部省のキャリア官僚の親類であることを知って手のひらを返すように対応が変わりました。余計不信感が増えましたが、まあ、教師なんてその程度だろうとも思いました。いずれにしても、中学までは学校で習うことは実社会では重要なこと、必要なことが沢山あるので、教科書通りに勉強することは重要だと、社会に出て思いましたし、また、校則が厳しいのも大切なことだと思いました。しかし、受験勉強について言えば、全く学校の成績は反映されないのだということを中2から痛感していました。それは中学2年から3年までの国語の成績です。中間試験では当時の業者テストがそのまま使われて行われたので、ほとんど満点でした。しかし、期末試験は先生の自作の試験だったので、半分も取れませんでした。だから成績は3か良くて4。でも模試では英数国が満点なので全国1位。「二重の基準」ということを体感した中学時代でしたね。それ以来、東大合格まで、私の国語の成績は模試ではトップレベルですが、学校の成績は中の中から中の下でした。客観的に立証できる根拠があるものを正解にするという、半官半民の業者テストの出題と比べて、学校教育では教員の私見も含めたものが「正解」とされるので、子供としては戸惑うのは当然だと思います。勿論正解が1つでないということを教えるのは大切です。しかし、外国のように複数の正解があるという教え方を日本はしていませんので、正解が事実上二種類あるという感覚に陥る子供は多いのではないかと思います。どちらも正解だし、どちらも正解ではない。学校ではこれが正解。でも模試ではそれは正解ではない。それを受け入れるのが受験勉強ですね(笑) そもそも、正解と言う概念自体が数学や物理などの自然科学的なもので、人文、社会には不適な概念なのに、それを使って教えるのはどうかと思います。いずれにしても、私の受験での成功は学校教育と受験勉強を峻別したことにあり、そして受験勉強における第一志望の医学部に進めなかった理由は、過去問学習と、予備校学習を峻別しなかったことにあります。結果的に、受験勉強は受ける試験の過去問だけで勉強するのがベストで、かつ、超難関試験に合格するには、過去問の範囲を逸脱しないで、その範囲を完全にマスターする。それ以外に方法がない(地方上級のように過去問が公開されていなければ、それに類する東京都や特別区の過去問だけを勉強する)と思います。それが私が中学以来、『公的試験』について対策を立てる際の原則になったのです。」

編集「つまり、勉強する範囲も、また、その課題も、すべて過去問で限定してしまうのが良いということですね。しかし、それでは勉強量が不足するのではないでしょうか?例えば10年分くらいの過去問をやっても実力が付かないような気がしますが?」

島村「そもそも、実力なんて概念が不適切です。『万能の能力』的な解釈をしているようですが、オリンピック選手だって一つの競技しかできませんし、スポーツをやっていれば勉強はできない、数学ができても英語はできない。などなど、多種の種目や科目をマスターすること等できないのです。だから、最初から、その科目の中で出題される問題だけをマスターするという学習法を取らないと何十年も浪人することになります。皆さん、自分を過大評価しすぎです。」

編集「でも、それで合格できるのでしょうか?」

島村「それは本校の合格実績が証明しています。それに、そもそも、過去に出た問題が完全に、瞬間に、正解できない人間が、未知の問題に正解できるという論理的な根拠がありません。過去問を完全にマスターしてみて、初めて、来年出題される問題に適切に対応できるという証明の、基礎的な論証になる程度です。しかし、皆さんは「万能の実力」を付けられる、また付ければ受かる、なんて、勘違いして、そもそも万能の実力、多数の科目も教えられない単科講師の教える予備校に通っている。それは完全な論理矛盾ですよね。愚者を多数集めれば英知が得られると思っているのは、民主主義が絶対に間違いを起こさないと信じるのと同じです。それなら、出題範囲について精査し、熟知して、あなたの個人的な能力を良く分析し、伸ばすことができる熟練のコーチに習えば済むと思う方が、より合理的な判断だと思います。そして、本校の教材は『使えばすぐ痩せる』『反復すれば英語が上達する』という商品と同じく、それを信じて、使いこなせば必ず結果が得られるが、結果が得られないのは、努力するということが欠けているからでしょう。」

編集「なるほど、なんとなく、説得されてしまいました。では、話を最初に戻しますが、学習法として、まず、教材の箱を開けて最初にやることは問題冊子を模試的にどんどんやることですね。そして、得点を見る。10点、8点、15点などいろいろになると思いますが、例えば10年分をやった後ではどうした良いのでしょう。」

島村「1年分をやった後、解説を見て自分のできないところだけを先に確認します。知識をマーカーなどでチェックします。暗記するのはまだ先です。チェックに要する時間を1時間と決めましょう。とにかく、間違えた知識をチェックする。そして正解を確認する。そして、次の年の問題をやる、同じことを繰り返します。3年くらいやると、同じタイプの問題、同じ知識問題が繰り返し出てきて、正解を知っているので得点できるようになります。これで、正解を知っているだけで得点が上がることを実体験できます。さらに、数的なども考え方の入り口がわかり、4年目くらいから得点が伸びるようになります。さらに、アヤフヤな知識にマークして間違うことを繰り返すと、デタラメな知識が多いことに気づきます。難しそうな言葉や、言い回しは、受験者を混乱させるためだけであることにも気づきます。また、政治学・行政学・財政学・経営学・社会学など学説に統一が取れていない学問では、Aという学者に対する記述とBという学者に対する記述が逆になっている場合があります。これはどちらも試験として正解としている知識で、市販の参考書には載っていません。こういう「入れ替え知識」を正解の知識として暗記することで、参考書よりも遥かに精度の高い知識を集めて暗記することができます。出題者は「民間的知識」に対抗するために知識問題では様々な工夫を凝らしていますが、これも過去問を全文勉強しないとわからないでしょう。過去問には試験主宰者の苦労がにじみ出ていると言って良いと思います。そうした工夫を読み解いて、知識を整理し、解法や適切な知識の解釈を伝えるのが授業動画と必勝合格パックの動画です。勉強の6割は過去問と解説ですが、高得点を上げるため、合格点以上を取るためには授業動画と必勝合格パック動画、そして必勝合格パックのレジメが必須になります。これも過去問を実践した後に学習するのが効果的です。いずれにしても、教材を駆使して過去問を精査する勉強を10年分くらいやると、単に正解をしてているだけで、その学問の深い所を勉強しなくても正解できることがわかります。これで、勉強の方針が「わかる」から「覚える」に変わるはずです。そして、勉強時間は非常に短縮できます。」

編集「なんとなく、専門や知識問題の勉強方法のように思うのですが、数的処理や文章理解についても同じですか?」

島村「文章理解は、公務員としての考え方をマスターするための科目です。言ってみれば『道徳』ですから、そもそも、考え方が合わない人は正解できないようになっています。地方上級や警察官ではこの傾向は強くなっています。国家総合職もです。しかし国家一般や国税は、そすいた職業倫理的なものは必要とされませんので、そうした傾向よりも間違い探し的な問題になっています。その違いがわからないと正解は難しいです。文章理解については動画授業でしっかり勉強する必要がありますね。」

編集「数的処理はどうですか?」

島村「数的処理は、先ほどの学習法と同じで、同じタイプの問題が何度も出ますので、その中でそれほど難しくないものだけを解けば17問中で8~9点は取れることに気付くはずです。そうなれば、解かない問題は勉強しないという方針が立ちます。これで時間節約になります。」

編集「結局、本番の問題の出題傾向をしっかり確認することで、出来る問題、努力してやらなければならない問題、難しいからやらなくても良い問題の3つに分けて学習することができるということですね。」

島村「その通りです。そして、難しくやらない問題というのは、人によって違います。できる問題も、同じで、高校までの学習内容によって全く違いますから、私立高校か、県立、都立高校か、国立高校かによって分かれますので、こちらで、この問題は難しい、と言っても得意な人もいます。今の出版物は、高校、大学受験の参考書と同じで、私立高校出身者向けになっていますので、国公立の高校出身者には不向きです。そういう出版業界の事情で受験生に、勝手に『難問』という概念を押し付けても仕方ありません。だから、過去問を自分でやって体得するのが最も適していることになるのです。そしてそういう問題を理解するために授業動画があります。これは経済や民法も同じです。」

編集「つくづく、受験業界の出版物が、害があるように思えてきてしまいますが、本当にそうなんでしょうか?」

島村「『害』という表現は適切ではありません。書店に並んでいるものは、あくまでエントリー用の教材です。公務員を目指す最初の入り口として書店に行けば、それなりに勉強ができて、合格できるという環境があることは大切です。公務員関連の書籍が多いことは公務員試験主宰者としては歓迎すべきことですし、その教材の正確性は、あくまでエントリー用と考えれば、妥当なものだと思います。主宰者の考えはあくまで受験者の増加、拡大ですから、書籍の目的としてはそれで足りると思います。勿論、書籍だけで受かる学生は多いと思います。基礎学力の高い学生には、書店だけで公務員になれるだけの基礎的な情報はそろっている。ただ、「『書籍だけで短期間で合格できる』というものではないだけです。書店で書けるコストは数千円から数万円ですから、そこに合格可能性が高いモノを求めること自体が『ないものねだり』ということになります。誰でも買える物、買える価格のもので、誰でも短期合格できるわけないでしょう。それなりにコストを掛けても得るリターンが大きいのですから、書店だけでは無理と思うべきです。生涯賃金が2億数千万円で、さらにリストラもされないのですから、数十万円のコストを掛けるのが当然です。ただ、数十万円のコストを掛ける予備校に、リターンを期待できないかどうかを考えるべきでしょうね。弊社では昨年までは25万円前後で必勝合格パックを販売していましたが、受験生を拡大するという目的で中程度の価格帯での販売に踏み切りました。それは、公務員離れという現象に対応しているだけですので、受講生が増える時期には価格帯は上げていきます。しかし、今年は例年の数倍の受講生が集まりましたので、中価格帯での販売がより魅力的であることは立証できたかなと思います。」

編集「よくわかりました。先生の教材は、価格だけではなく、過去問をどんどんやるだけで自然に合格力が付くという素晴らしいものだということがわかりました。そして重要なのは、本番の時間通りにどんどん繰り返しやるということなんですね。参考書のように丁寧にやるものではないということでしょうか?」

島村「そうです。速いスピードで反復することによって、余計な雑音が消えて重要なものが浮き彫りになってきます。それが脳の持っている能力を活用して短期間で合格するコツだと言って良いでしょう。本来2時間でやる過去問を何時間もかけて解くというのは間違いです。どんどん過去問をやり潰してください。反復回数が合格の決め手です。」

編集「お話を伺っていると、普通の予備校でも過去問利用をしていけば同じ結果になるような気がしますが、その点はどのようにお考えですか?」

島村「(笑) まず、コストが違います。予備校で同じことを従来の授業に付加して実施したとしても、弊社の必勝合格パックの3~5倍のコストになります。そして、予備校の受講費用の大半が固定費、つまり、教室や自習室の維持費に使われているのですから、受験生の大半が自習室利用費を負担しています。自習室が合格に必須のものではないので、カフェや図書館で勉強すれば良いのを予備校に支払っているのですから、そもそもそのような考え方に行きつかないことも問題です。さらに、必勝合格パックに附随した講義動画の内容を真似ることができませ。そもそも、解法や知識の整理は講師一人一人で違います。全科目を教えることによって科目間での理解が統一的になることで受験生の皆さんに無用の負担を強いることから軽減します。まあ、いろいろ言っても、所詮は講師の違いとコストの違いです。それをどう判断するかは受験生の皆さんにお任せします。」

編集「今日は貴重なお話をありがとうございました。また次回を期待しています。」

島村「ありがとうございました。」