6月17日(月)のブログ記事「依頼」の続き。
「今日は何か、ご用件ですか?」
女の先生と、話がしたいと思って。
「女の先生?」
ミヨコ先生です。
「あ、加藤ミヨコ先生ですね?」
多分。
「ちょっと待っていてください」
男性教諭が職員室の方向に走って行ったので、早速、稲村さんに話しかけて情報収集。
さっきの先生、手話ができるんだね。
「うん、息子の担任の仙市先生」
もしかして、有資格の手話通訳者?
「いや、簡単な会話ができる程度」
そっか。
「でも、仙市先生は自信を持っている」
そうか。
「先生の手話、半分ぐらいしか、わからない」
そうなんだ・・・
「先生のプライドを傷つけないように、上手にフォローしてね」
了解です。
まもなく、仙市先生と年配の女性教諭が現れて、そのまま別室に案内された。
仙市先生は若いが、女性教諭は年配で、校内での地位は高いようだ。
仙市先生はほとんど発言せず、女性教諭と稲村さんの会話となった。
「学年主任の加藤です」
アポなしで来てしまって、すみません。
「何か、私の言動が、しまじろう君を傷つけてしまうようなことがありましたか?」
火曜日、しまじろうが、泣いて帰ってきたんです。
「火曜日というと、三日前ですね」
そうです。
「しまじろう君に注意したことがありました。あのことでしょうね」
そうだと思います。先生がいきなりランドセルを強く引っ張って、とても怖かった、と泣きました。
「いえ、引っ張ったのではなく、しまじろう君に立ち止まって聞いて欲しかったんです」
状況を説明していただけますか?
「お友達と大きな声を出してふざけていたので、注意しました」
しまじろうは、加藤先生がいきなりランドセルを引っ張って、怖かったと言っています。
「いえ、ちょっと止まって話を聞いて欲しいと思い、ランドセルを軽く押さえただけです」
あの・・・失礼ですが、息子が悪いかもしれないけど、注意する時は、まず、声をかけてください。
「・・・・」
いきなりランドセルを引っ張られたら、子どもは恐怖を感じます。
「引っ張ったのではなく、軽く押さえただけですが、もし、しまじろう君が恐怖を感じたなら、改めてしまじろう君に謝ります。申し訳ありません」
そうなんですね。わかりました。
「・・・・」
どんな状況だったのか直接聞きたいと思って、アポなしできてしまって、すみませんでした。
「こちらこそ、ご心配おかけして申し訳ありませんでした」
先生方に挨拶して、稲村さんと一緒に校門を出ると、稲村さんが話しかけてきた。
<つづく>