5月22日(水)のブログ記事「通訳依頼」の続き。
室内に入って行くと、老ろう者が椅子に座っていた。俺をちらりと見たが、すぐに視線を逸らしてしまった。
最初に玄関に出てきてくれた女性と話をした。
ここに、座ってもいいですか?
「はい、どうぞ」
ありがとうございます。
「あの、初対面の通訳さんに、こんなこと言うのは失礼かもしれませんが・・・」
何でしょう?
「最近、毎回、通訳者が変わるんですよ」
あー・・・
「通訳さん、同じ人に続けてきてもらった方がいいですよね」
はい、そう思います。
「こんな解りきったこと、福祉課にいちいち連絡しないと解ってもらえないんですか?」
コーディネーターに言っておきます。
「はい、お願いします」
5分ほどすると、40代後半ぐらいと思われる男性が来た。
「こんにちは。ケアマネジャーの栗山と申します」
手話通訳を担当します、たいしと申します。よろしくお願いします。
さらに5分ほどすると、医師と看護師さんが到着した。
俺は通訳に徹しているので、以下は医師と石田氏の会話。
「どうですか?最近は?」
下痢がひどい。
「そうですか・・・」
整腸剤を飲むと、腹が痛くなる。
「うーん・・・」
こんな薬、意味がない!
「うーん・・・」
石田氏は突然怒りを露わにして、薬の袋を壁にたたきつけた。
薬が合わない!薬を飲むと腹が痛くなる。
「うーん・・・」
下痢が治まらない、苦しい、痛みが続いている。
「そうか・・・どうするかなあ・・・」
もう薬なんか飲まない!
「そうですか・・・じゃ、薬なしで様子を見ようか・・・」
それでいい。
「湿布薬は使ってますか?」
使ってます。
「それなら、今日は湿布薬だけ、出しておきます」
それでいい。
医師と看護師が帰ろうとすると、石田氏は再び、怒り始めた。
<つづく>