1969(昭和44)年、財団法人全日本ろうあ連盟が「わたしたちの手話」を発行した。
それほど遠い昔ではない。
そうなのだ。本当に、勉強したくても教材がなかったんだ。
今では手話教材なんて腐るほどあるが、わしらの時代は、「わたしたちの手話」と、マルさんの本しかなかった。
最近、勉強を始めた人たちは恵まれている。
教材はたくさんある。
動画もたくさんある。
標準手話とは、全日本ろうあ連盟が定めた手話の標準語である。
手話学習の現場で時々、「正しい手話」という言葉が使われる。
「ちょっとあなた、今の表現はダメ。正しい手話を使いなさい」
なんて感じで。
これ、抵抗があるんだよなあ。
明らかに間違っている表現を指摘してあげるのはよい。
しかし、「正しい手話」という言い方を好む人で、ちゃんとした技術を持った人には会ったことがない。
ひどい人になると、
「一つの日本語に対応するのは、一つの手話しかない」
と思い込んでいる場合もある。
あのねえ・・・
手話はモールス信号じゃないよ。