例外 | 手話通訳者のブログ

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昨日のブログ記事「空気」の続き。
 

 

座ってニコニコして見ていた中田会長が立ち、正面に出てきて、

「たいしさん、ありがとう!皆さん、心強い仲間が一人加わってくれました。みんなで仲良く、本音で語り合える関係を作っていきましょう。今日の会議は以上です。何か、みなさんに言いたいことや、質問し忘れたことがあれば、どうぞ」

挙手した。みんなの視線が集まった。中田会長が、「たいしさん、どうぞ」と促してくれた。


みなさんに聞きたいことがあって・・・・
俺は、手話通訳者研修は全廃すべきだと思っています。理由は二つです。
まず、守秘義務違反の温床になっていること。手話通訳者が集まって研修を行う。終了後、リラックスした雰囲気の中で、通訳者同士、通訳現場で見聞きしたことを世間話のように話します。この話題の中には、聴こえない人のプライバシーに関わることが含まれています。
もう一つの理由は、一つ目の理由に関係することですが、サウザンド県の手話通訳者研修は、聴者だけが集まって行っていることです。なぜ、当事者であるろう者に参加してもらわないのか。
手話通訳者の中には重大な誤解をしている人が少なくない。有資格の手話通訳者同士での会話なら、ろう者のプライバシーに関わることを話しても構わない、と考えている通訳者がいます。間違いです。
聴者だけで、自己満足研修を続けてきたから、サウザンド県の手話通訳者のレベルは低くなる一方だと思っています。
皆さん、どう思いますか?


一斉に反応が返ってきた。
「賛成!たいしの言う通り!」
「いや、研修をいきなり全廃なんて、極端過ぎるでしょう」
「手話通訳者の中には守秘義務を守っていない人がいるのは事実」
などなど・・・・

中田会長が出てきて、みんなの意見をじっと見ていた。やがて、みんなの視線が中田会長に集まった。

「たいしさん、ご意見ありがとう。皆さんもありがとう。今後、しっかりと議論していくべきことだと思います。でも、今日、たいしさんに来てもらって、みんなと本音で話している様子を見て嬉しく思いました。本音で話し合う関係、とても大切です。これからもいい関係を続けていきましょう。では、今日はこれで解散とします」


今まで・・・・
手話世界は俺にとって地獄だった。
なんで俺はこんな世界にいるんだろう。いつも、そう思っていた。

手話世界で、自分の意見に真剣に耳を傾けてくれる人は、ごく少数の、限られた人だった。
しかし、スバラ市ろう協は全く違った。
みなさんが、真剣に、聞いてくれた。
変な色眼鏡で見てくる人は、一人もいなかった。

「ろう協の組織は腐っている」
今まで、何度もブログ記事に書いてきた。この思いは今も同じ。
でも、スバラ市ろう協のような例外も実在する。