1)血液検査の異常値
2)編集後記
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こんばんは。古舘 健です。
今日もご訪問いただき、ありがとうございます!!
前回は「初診時の3ステップ診断」についてお話ししましたね。
「初診時の3ステップ診断」とは、決定的な所見を探し、予想診断 ⇒ 臨床診断(治療方針)⇒ 確定診断と進んでいくのでしたね。
さて本日は「血液検査の異常値」について一緒に考えていきましょう!
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1)血液検査の異常値
小手術の前に血液検査するとき。
どんなことに注意しますか。
なんとなく、いつもの検査を眺めていませんか。
術前の血液検査でチェックするポイントは3つです。
① 感染症がないか。
② 腎機能・肝機能の低下はないか。
③ 異常値はないか
1つ目の「感染症がないか」についてです。白血球の上昇やCRPの上昇があれば細菌の感染を疑います。B型やC型肝炎ウイルス(Hepatitis B or C virus)、梅毒トレポネーマによる感染症にも注意します。
2つ目の「腎機能・肝機能の低下はないか」についてです。腎機能は、血清クレアチニン(Cr)と尿素窒素(BUN)をみます。CrやBUNが見かけ上は正常でも、加齢によって腎機能が低下していることはあります。
下記サイトで、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを計算できます。
やってみてください。
腎機能をチェックしましょう - 日本慢性腎臓病対策協議会
肝機能は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、γ‐GTP(γ―グルタミルトランスペプチダーゼ)でみます。
肝機能障害患者様には小手術に際して5つのリスクがあります。
1.凝固因子(Ⅱ,Ⅸ,Ⅶ,Ⅹ)の欠乏による出血傾向
2.タンパク質生成低下(低アルブミン血症)による創傷治癒の遅延
3.免疫力低下による易感染性
4.代謝・排泄能の低下による抗菌薬・解熱抗炎症薬の選択
5.肝炎ウイルスに感染しているリスク
鼻周囲の末梢血管拡張がある場合。
皮膚のクモ状血管腫(血中エストロゲンを肝臓で処理できない)を認める場合。
肝硬変に特徴的な口腔外所見です。
確認のために採血を忘れないようにしましょうね。
3つ目の「異常値はないか」についてです。
患者様は元気に見えるのに。
「この異常な値はなんだろう?」と思うことはありませんか。
異常値の前に。
まず基準値について考えてみましょう。
基準値とはなんでしょうか?
基準値は、健康な成人の検査値を集め、平均値から95%の範囲を抜き出したものです。
各施設の検査部が、施設ごとに基準値をつくります。各施設の機器や試薬によって若干の差があります。
基準値は、健康な成人の検査値から作成されています。
小児や高齢者は、基準値の決定に必要な健康な人を集めるのが難しく。
その時の全身状態や年齢によっては基準値があてはまらないことがあります。
例えば、CPKやALPの異常値があります。
「あれ!?CPKが高いぞ・・・」 「ん?ALPが異常に高いな」
こんな経験はないですか?
CPKやALPは何でしょうか。
CPK(クレアチニンキナーゼ)
骨格筋、心筋、平滑筋に存在する酵素。筋細胞のエネルギー代謝に関わっています。
CPKの上昇は、運動量・運動習慣で決まります。
運動習慣のない人は、運動負荷後のCPKの上昇が大きい。
明らかに健康そうな人がCPKが高値の場合。
3日以内の運動歴をチェックしましょう。
運動していないのにCPKが高値の場合。
急性心筋梗塞や筋ジストロフィーを見逃さないでくださいね。
CK-MB、ミオグロビンの検査が必要です。
ALP(アルカリフォスファターゼ)
ALPは骨の新生状態を反映します。
1歳から思春期前期までは成人の3~4倍になりますので覚えておいてください。
成人の5倍以上は一過性かどうか1ヶ月後に確認してください。
まとめます!術前の血液検査でチェックするポイントは3つです。
①感染症がないか。
②腎機能・肝機能の低下はないか。
③異常値はないか
採血することで、患者様が自覚していない疾患が明らかになることがあります。
内科をはじめ、他科に頼診することで、全身のリスクを減らした小手術ができるといいですね。
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2) 編集後記
昨日(2014年9月18日)は、当直でした。
落ち着いた当直でよかったです。
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【参考文献・サイト】
異常値の出るメカニズム 第5版医学書院
腎臓の働きと検査
http://home.hiroshima-u.ac.jp/expertpt/jinzounohatarakitokensa.html
腎機能をチェックしましょう(GFR値の自動換算)
http://j-ckdi.jp/ckd/check.html
3.高齢者における抗菌薬の考え方,使い方 点滴薬編 山本 舜 日本老年医学会雑誌 48巻 5 号(2011:9)