本日、5分という短い時間の制約の中でしたが、壇上で行った討論を紹介します。

【討論】
生駒郡選出、日本共産党の宮本次郎です。日本共産党を代表して、議第69号、議第72号、請願7号に対する討論を行います。

 議第69号は、(仮称)国際芸術家村の請負契約に関するものです。総額99憶5千万円のうち、今回は約54億7千万円の契約ですが、今後の運営や事業内容について納得できる説明がありません。事業計画全体につても、複合施設ということだけが決まっており、あとは本当に必要なものなのか不明であり賛成できません。

 議第72号と、請願第7号は、県立高校適正化に関するものですが、計画発表直後から県民の中で急速に反対世論が高まっており、計画の見直しや学校の存続を求める署名は2万6千筆をこえました。どしゃ降りの雨の中を懸命に署名に取り組む現役高校生の姿、日夜分かたず奮闘する卒業生や保護者の姿に、私はたいへん強く胸を打たれました。

 第一に、県民の声に耳を傾けない姿勢への反発です。校名を伏せたまま行った3月の意見公募で92通もの意見が寄せられ、その多くが反対意見だったにもかかわらず、今回の校名公表後は一切意見をきかない。このような、当事者を置き去りにする姿勢でいいのでしょうか。また、議会請願の締め切りだった6月15日の朝、請願者である平城高校PTA会長宅に、教育長が公用車で訪問したことは、請願への圧力ともとれるものです。決して認められるものではありません。

 第二に、平城高校を閉校させ、その跡地に、奈良高校がそのまま移転し使用するという前代未聞の手法への反発です。奈良高校の耐震化は重要な課題ですが、今回の再編成とは別の課題。これを放置してきた責任こそ問われるべきです。中学校や塾で机を並べて学んできた生徒同士を分断する、こんな悲しい手法は見直すべきではありませんか。

 第三に、県産業界の要請にこたえた「人材づくり」すなわち、実業教育にシフトすることへの反発です。これは教育基本法第一条が定める教育の目的「人格の形成」から逸脱し公教育の役割を投げ捨てるものです。さらに、教育内容を学校名に示すことから「登美ケ丘」は「国際」に、「西の京」は「県立大付属」に、「高円」は「芸術」に、「奈良朱雀」は「奈良商工」に、と県民が親しんできた校名を奪う、この事への反発が広がっています。学校の名前は10年20年と続けば、それは一つのブランドとなり、卒業生にとってはアイデンティティ、自分の歴史の一部となります。これを断ち切ることは許されません。

 奈良県の県立高校は、人口規模が同程度の県に比べて極端に少なく、これ以上の学校削減は、子どもたちから進路選択肢を奪い、地域からは防災や社会活動の拠点を奪うことになります。生徒数減少を言うのであれば、学校を減らすのではなく、学級数等で調整するべきです。

 教育予算を確保し、奈良高校の耐震化をいそぐとともに、県民の願いにこたえた教育行政への転換を強く求めるものです。

 以上、議第72号・県立高校適正化実施計画には反対。同議案の議決延期を求める請願7号は、県民の思いにこたえて採択するべきである、このことを訴えまして、討論といたします。