平成28年4月

成年後見制度の利用の促進に関する法律が公布され、有識者の委員会が立ち上げられたそうだ。

https://www.huffingtonpost.jp/fukushi-shimbun/alzheimers-help_b_12382942.html?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter

 

制度そのものが周知されていないために利用率が低いということもあり、様々な促進活動が行われてきている。

紙芝居、漫才まで、、、

私は人形劇を見た。

 

促進に関する法律が公布されて2年半ほど、

市町村長による申立ても増えているよう。

 

すでに利用している立場からすると後見制度は随分浸透したと感じている。

4年前、市役所、銀行、郵便局等で任意後見人である事を告げ手続きを行おうとすると

「コーケーニン、、、ですか。。。

聞いた事のあるような言葉だが、どうしたら良いのやら、、、」

大抵の窓口担当者は奥に引っ込み、上司らしき人物との相談が始まる。

電話会議に及ぶことも珍しくなく、30分待った末にご自身にいらして頂かないとどうしても無理と言われることも、、、、

「本人が来れないので私が任意後見人としてまいりました。どうしても本人に会う必要があるのであれば、施設までご同行願えないでしょうか?」

キレそうになったのはマイナンバーカードの受取りであっただろうか、、、

後見人として仕事は時間の余裕を持ってイライラせぬよう。自分に言い聞かせた。

ところがここ最近はだいたいの機関でスムーズに対応して頂ける。

銀行は任意後見人の登録を伝えれば、身分証の確認ですむ。

市役所で若干古い登記事項証明書を見せた所、

「後見人さんということであれば。」

と、書類を入手する事が出来た。

後見制度は対応側には浸透したように思う。

 

けれど肝心の制度利用は伸び悩んでいるらしい。

ニーズはあるのに使ってもらえていないということだろう。

https://news.yahoo.co.jp/feature/1122

『利用率の低さはどこに原因が?』

「市民後見人養成講座」を運営する一般社団法人地域後見推進センターのプロジェクトに携わっている特任助教の飯間さん

『ひとことで言えば、面倒臭いからじゃないですかね。』

とある。

説明がなされているけれど、何だか回りくどい。

 

利用率の低さの原因は面倒臭いからなのかな???

 

母と私が任意後見契約の書類を作成した4年程前、後見制度に関する情報は本当に少なかった。

今、制度の利用を検討する側はデメリットも含め様々な情報知ることが出来る。

特に家族信託の宣伝はダイレクトに制度のリスクを伝えている。

https://trinity-group.jp/kazokusinntaku/seinenkouken/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_term=%2B後見&utm_campaign=y_kazokushintaku&utm_content=kouken_1go

 

朝日新聞にて、弁護士の河村さんは

『お隣 手助けする気軽さを』

と後見制度をお勧めしている。

読売新聞にて、司法書士の稲岡さんは

『成年後見制度は車椅子やつえと一緒。判断能力の補助手段として気軽に利用してもいいものだと伝えたかった。』

と後見制度をお勧めしている。

 

車椅子や“つえ”のように判断能力の補助手段として気軽に利用できるような制度があればいいと思う。

車椅子や“つえ”を手にいれたことで転ぶことを防いだり、

行きたかった所に行けたり、

会いたかった人に会えたり、

安心して買いたい物を買うことが出来たり、

後見制度がなければ見ることのできなかった未来を見ることが出来たらどんなにいいだろうと思う。

 

しかし、

後見制度、

こんな“つえ”だ。

 

利用費用はだいたい月額2万円くらいからなんですけど、

使ってみないとはっきりは分かりません。

一応希望は聞きますが、どの“つえ”になるかはこちらで決めますから文句は言わないで下さいね。

気に入らなくても交換は出来ませんよ。

一人でスイスイ歩けるようになるまで、一生使い続けて下さい。

“つえ”は絶対です。

“つえ”を勧めるよう言われています。

“つえ”があると助かると思いますから、、、

是非使って下さい!

 

この“つえ”をお隣に手助けを求めるような気軽さで使えるだろうか?

 

“つえ”が合わないために転んでしまった人もいる。

本人の行動を遮るための“つえ”を持たされている人もいる。

この“つえ”は親族を追い払うことにも使われる。

本人の望まない所に連れていく車椅子や、

動かない車椅子もある。

 

後見制度という“つえ”を使うとしたら

①“つえ”について良く知らなかった。

②箸でも棒でも、“つえ”ならなお結構。

何かつっかえ棒を使わないと壊れてしまう。

③“つえ”を用意するから、私にはあまり頼らないでほしい。

④魔法の“つえ”を持たせましょう!と弁護士から提案された。

 

そんな感じではないかな、、、

 

車椅子や“つえ”を必要としている人はいる。

これからどんどん増える。

私の周りにもいる。

後見制度に関心を持っている人も。

後見制度を使いたがっている人も。

後見制度を使えばいいのにと思う人も。

後見制度を使うことになりそうな人も。

後見制度を使ってほしい人も。

そんな人達に私は制度のデメリットを説明する。

大抵はびっくりなさる。

 

この制度で本当に面倒くさがられているのは、

制度の問題点を利用者側に説明する事や、

専門家が個人として問題に対峙することや、

制度の中心に昔からいる人達が根本を見直すことだったりしないかな?

 

後見制度の利用率の低さの原因は

ひとことで言えば、

利用者や利用させたい人が

使いたいと思うような制度ではない

からではないかな、、、

 

 

私の母には後見人が必要だ。

後見制度があって良かったと思う。

私が後見人であることで母も兄弟も安心していると思う。

それでも私は後見制度は使わないですむのであれば、使わない方が良いと思う。

この制度は構築過程で不安定だ。

高く安全な場所にいる人達が、家族の歴史や本人の個性や現場にいる人間の思いも知らず正義を盾に人を代理・管理する恐怖を見聞き実感している。

そして現行の制度で士業と親族が手をつなぎ本人を支えることは難しいと思う。

何より法定後見において被後見人となるという事は、法律上の意思が葬り去られる事をも意味している。

後見制度は重い制度だ。

 

 

親族にとっての後見制度、

姥捨山のような場所になってしまわないかな、、、