ボクシング世界戦 | 写真家 武藤弘司のFACE ASIA

ボクシング世界戦

先週、土日のボクシング世界戦は興味深かった。

地上波放送で見られたのみだが、

井上選手、比嘉選手、田中選手、拳四朗選手、村田選手、

内容や、最終的な結果も含めて、

左から順番に良かったと思う。

 

井上選手は、完成度が増していて、安心して見られた。

日本の軽量級の選手では、全てにおいて頭一つ抜けている。

田中選手や井岡選手が階級を上げたら、

それぞれ対戦して欲しいカードだ。

純粋に、誰が上手く強いのか興味がある。

 

井上選手がバンタムに階級を上げたら、

山中選手との試合も見てみたい。

 

スーパーフライ級のままなら、

ローマンゴンザレスとの試合が見てみたい。

井上選手が超一流選手との試合で、

どんな試合をするのか興味深い。

将来的に怪我さえしなければ、

パウンドフォーパウンドになる可能性は十分にある。

 

比嘉選手の試合は、ボクシングスタイルを初めて見たが、

パンチが重たそうで、防御も思っていた以上に上手かった。

相手のエルナンデスは調整に失敗したからか、

体が重たそうだったが、スイッチを繰り返し、

やりにくい相手だったと思う。

比嘉選手の追いかけ方、詰めが見事だった。

セコンドの指示や、

トレーナーの鍛え方も優秀なのだろう。

まだ21歳と若く、これからの成長次第では、

井上選手を脅かすぐらいの逸材だと思う。

一発のパンチの重たさは井上選手よりも

重いように感じられた。

 

最後に、その判定から世間が騒いでいる

村田選手の内容だ。

個人的には、

村田選手が一度ダウンを奪ったこと、

日本での世界戦で判定までもつれたこと、

両者の戦いぶり、ポイント、ダメージ・疲労具合などを

見ると、村田選手が勝っていたように思った。

やはり、判定で負けた瞬間は意外だった。

 

ただ、3人の内の2人のジャッジが、

エンダム選手を指示したということは

紛れもない事実だ。

2人の見え方や言い分が聞いてみたい。

 

マスコミや周りが騒いでいるだけで、

村田選手自身はとても冷静だ。

どういう風に見えたかや、

どこが悪かったのかも把握していると思うし、

次に同じ相手と再戦したら、

修正しているだろう。

 

結果論だが、

1Rでガードを固めて、全く手を出さずに

様子を見るなら、

早いラウンドか、中盤ラウンドで

仕留めるぐらいの詰めが必要だったと思う。

 

判定までもつれることも考えて、

見栄えをよくしたり、

右をもっと生かすには、

特にジャブをもっと出すべきだったと思う。

 

エンダム選手がパンチを放つ時に

ガードだけで守ったり、圧力をかけるだけでなく、

パーリー、ジャブをもっとテンポ良く放ったり、

ジャブを上下に散らしたり、

頭を振ったりとかのダッキング等の防御も、

結果論だと必要だったように感じられた。

 

村田選手はガードが固く上手く、

一番無難だが、

結果論だと、

それ故の判定だった印象もある。

 

ただ、村田選手のボクシングスタイルを

このまま貫く、磨くという方法もあるし、

相手をKOさせれば、このスタイルは生きて来る。

 

後、気になるのは、

左で少し抑え気味で

右を放つことが多いことだ。

右が武器の選手によくあることで、

狙いを定めたり、

反動が付いて、より強烈になる。

 

ボクシングでは暗黙の了解で、

両手で相手を明らかに抑えればホールディングの

反則になるが、

 

片手で一瞬なら、

ジャブから繋げているようにも捉えられるし、

反則を取る審判はあまりいないように感じられる。

 

そこの塩梅が、

ボクシング技術の一つであるし、

 

ごくたまに出し、

それで相手を倒せばそれで良いのだが、

判定までもつれると、

見栄えはあまり良くない。

基本は、

リズミカルなジャブで試合をコントロールし、

ジャブを制する者は、

世界を制する。

 

長くなってしまったが、

村田選手は、

日本の重量級の星である。

 

ゴロフキンとの試合が

いつか見てみたい。

 

村田選手のこれからの成長度合いでは、

決して勝てない相手ではない。

 

ただ、今のガードのみの防御だけだと、

ゴロフキン選手だと

どこまで通用するのか疑問がある。

 

ガードの上からでも

ダメージを与えるハードパンチャーだと、

難しい相手だ。

 

どこまで村田選手のガードや、

攻撃が通用するのかも

興味深い。