先日放映されたEテレのETV特集のタイトルです。
テレビの番組表で、初めてこの句を見て心をつかまれました。
アゲハでもモンシロチョウでもなく、なぜシジミチョウ?
渋い、渋すぎる。
しかも少年俳人
番組を見たあとは、もうすっかり作者の小林凛君に心を奪われていました。
この句は5歳で句作を始めた作者が、11歳の時に詠んだ句です。
「いじめられて心が荒れまくっている時に、こんなボロボロの心でも蝶にいやしてほしいという心境の句」だそうです。
学校には行けなかった(いや、行かなかった)けれど、小学生の時には句集「ランドセル俳人の五・七・五~いじめられ行きたし行けぬ春の雨」を出版。
早速買った最新刊の「生きる」。あとの2冊は図書館へ走って借りてきた。
「春の虫踏むなせっかく生きてきた」
「捨てられし菜のはな瓶でよみがえり」
「田に帰す小さき命やちび蛙」
「抜け殻や声なき蝉の贈りもの」
「苦境でも力いっぱい姫女苑」
苦しみを潜り抜けたからこそ生まれた、ぬくもりのある俳句ばかりです。
私の好きな句は、「蟻の道シルクロードのごとつづく」(11歳)。
どこにでもいる小さな蟻の行列を、はるばるとシルクロードを行く駱駝に見立てる想像力のなんと豊かなことか
「俳句が光だった。嫌なものも俳句にしてしまえば嫌でなくなる」という凛くん。
俳句を生きる希望とし、深い絶望の淵から這い上がってきました。
日野原重明さんやいろんな人々との出会いがあり、
「春風に背中押されて高校生」
「熟れ柘榴割れて魂解き放つ」
現在は新進気鋭の俳人として、高校生活を満喫しながら俳句を作り続けています。
俳聖芭蕉のふるさと伊賀では、小中学生は夏休みには俳句を作る課題があります。
私も毎年苦しみながら10句をひねりだしたものです。
そのせいか今まで俳句は「作らされるもの」(伊賀人あるある?)でした。
けれど日野原先生は「九十八歳の時、やったことのない新しいことを創めようと思い、俳句を作る決心をしました」と凛君との往復書簡に書かれています。
また「創めることを忘れない限り、人はいつまでも若くいられる」とも。
九十歳も年の違う二人を繋いだのも俳句。
「老犬の居たあとぬくし星月夜」小林凛(11歳)
凛君の真似をして、私も一句詠みたくなってきました。
「老犬の昼寝線香点けてやり」
どうかな・・・
やっぱり凛君、すごいです。