2ndアルバム『akashic records』の世界について | 北航平_kita kouhei公式ブログ『ホンマ独り言やねん…。』

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音楽家・打楽器奏者・アレイムビラ奏者。アンビエントユニットcoconoe、レーベルneuf、音楽制作studio guzli主宰。愛猫チェロとの日々。

去年発表した初めてのソロアルバムは、自分のパーソナルな状況、深く潜って掘り起こして、地中奥深くに埋めてあったものを表に出す作業が中心やった。幼少の頃の純粋な感情から始まり、学生時代の暗黒時期、大人になってからの人間関係から音楽業界へのジレンマなど、まあ言うたら基本的にはネガティブな物事を中心に構築された作品やったわけなんです。ものすごくめんどくさく、あるいは結構痛い作業ではあったんやけど、自分的にはとても重要で必要なことやったんです、これが。

今回の2ndアルバムはそんなベクトルとは一転して、もっと広いものを表現しようと思った。
不思議なもので、地中深くに眠っていた黒いものも一度掘り返して太陽の光に当てたら、もうどうでもよくなったと言うか、色々と成仏してくれたみたいにスゥ~っと昇華していってくれるもんなのです。

なので、今回の作品は、ごく個人的ではあるけれど、小さな箱庭的な宇宙を作りたいな、と。その小さな世界の中には前後する膨大な時間の流れもあり、場所の移動もあり、生命も誕生し、進化し、その生命のひとつひとつが喜び・悲しみ・楽しみ・嫉妬・痛み・矛盾・美しさなどの感情を持ち、それの集合体によってまた小さな世界を構築し、やがては滅びて、そしてまた新しく文明が始まる、というものを表現したかった。

僕が一番尊敬するアーティストは実は音楽家でもなんでもなく、漫画家の手塚治虫やったりするのですが、その代表作のひとつ『火の鳥』の世界観に共通する概念を、100分の1でもいいので「音」で表現できないものか、とアホみたいな顔して模索して出来上がったのが本作なんです。栄華の限りを尽くして滅びた遥か未来の先で、また新しく芽生えた文明の息吹が、実は今の世界の黎明期だった、というようなニュアンスを10曲の中に箱庭的に詰め込んでいます。それぞれの楽曲の世界観に関しては、聴いた人がそれぞれ好きなように解釈して想像して楽しんでもらえたらいいと思います。

さて、次はどんな世界に行こうかな。
今は全く真っ白な状態なんですが、その時期も楽しいもんです。

ホンマ独り言やけど…。

https://naturebliss.bandcamp.com/album/akashic-records-lant019