四季折々に様々な年中行事が行われています。その多くは
季節の変わり目に行われます。季節の節目には万物の魂が
不安定になり、様々な魔や邪気が入り込む危険があります。
この節目に農耕神である年神にお供えをして、無病息災と
五穀豊穣を祈りました。これが節句の起源です。
年中行事が生まれたのは、生命のサイクルを一年単位で考える
日本古来の考え方があります。神道では、時間は繰り返し
循環するものとされました。
正月になると、年が一つ増えるのではなく、一巡して最初の
時点に戻り、新しい年が生まれるのです。そして、巡りくる年には
新しい魂が宿る。一年経つと、古い年の魂は古びて活力を失い
ますが、これを丁重に年神様にお返しすれば、年神様は新しい
生命力に満ちた新たなる年の魂を授けてくださいます。人々は
そう考え、新年を盛大に祝いました。こうした生命観は、稲作民族
である日本人に顕著にみられるものです。春に田植えをした稲は
秋に収穫し、冬枯れの時を経て、春には再び発芽し田植えの
季節を迎えます。つまり稲の枯死は終わりを意味するのでなく、
翌年に再び甦る命の前触れでありました。稲の語源は生命の根源
(イノチノネ)と言われるほどに、日本人の生命と稲の生育サイクル
は切っても切り離せないものなのです。新嘗祭・鎮魂祭・などは
魂の再生を願うためと言われています。