近代医療が発達する以前、乳幼児の死亡率は高かったのです。
そのため、子供が無事に誕生し、育つように、様々な儀礼が
行われてきました。例えば、妊娠五ヵ月目の戌の日には「帯
祝い」が行われます。妊婦の下腹部にお祓いをしたさらし木綿
の岩田帯をまく習慣です。これは胎児の位置を安定させたり、
その霊魂を安定させるためのものです。
また子供が誕生して七日目を迎えると、家族や親戚が集まり
「お七夜」を行います。生まれた子供の名前を半紙に書いて
神棚に垂らし、新しい家族が加わったことを神に報告し、その
加護を祈ります。一ヵ月ほどたつと「初宮参り」を行います。
氏神神社に参詣し健やかな成長を願います。生後百日から百
二十日目に「お喰い初め」を行います。一汁一菜の祝い膳を
用意し、邪気を払う白木の箸で、初めて飯を食べさせる真似
をすることで「一生食べることに困らぬ」との願いを込めた
儀式です。また生まれて初めて迎える節句を「初節句」といい
男の子は5月5日、女の子は3月3日にお祝いし、母方の
祖父母から、鯉のぼりやひな人形が送られます。子供が無事
に成長するようにとの願いが込められた縁起ものです。