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大暴れをしてお母さんに叱られ、ゆうごはん抜きで寝室へ閉じ込められた主人公・マックス。すると寝室ににょきりにょきりと木が生え、壁が消えて海が広がり、マックスは船で繰り出していく。
1年と1日航海を続け、着いたところは「かいじゅうたちのいるところ」。そこでマックスはかいじゅうたちに立ち向かい、彼らの王様になり、かいじゅうおどりをはじめて遊ぶ。
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『かいじゅうたちのいるところ』(原題:「Where the Wild Things Are」)はモーリス・センダック作、1963年初版発行。翌1964年、コルデコット賞を受賞。日本では『いるいるおばけがすんでいる』(1966年初版)として出版されたのちに、神宮輝夫が新たな訳をつけた『かいじゅうたちのいるところ』(1975年初版)が親しまれている。
この作品においては「子どもが心の中に抱えている問題をどのように解決するか」が大きなテーマである。物語の表現においても、このテーマをベースにさまざまな工夫が凝らされている。
例えば、作中のマックスの感情の高ぶりや内的世界の変化に伴い、物語が進むにつれ絵の大きさがだんだんと大きくなっていくという手法は、幼い読者が感情移入しやすいように配慮して描写されたセンダックの緻密な計算によるものである。
また、クライマックスともいえる「かいじゅうおどり」のシーンは言葉のない見開き3場面で描かれ、ここをどう読むかは読者の感性に自由に委ねられている。
そしてこの後、マックスはおかあさんが恋しくなり、あたたかいゆうごはんの待つ愛情いっぱいの我が家に戻る、という「行って帰る」物語として構成されており、その表現もテーマに対応している。
作品を通しての単語数は決して多くはないものの、そこから読者に伝わる世界は奥深い。
現実と空想の世界が織りなす大冒険の物語を自らの経験を基に描き、子どもの心理の深いところを表現したセンダック。
『かいじゅうたちのいるところ』から発せられるメッセージは発表から42年を迎える現在もなお、子どもたちの心を捉えて離さない普遍的な力を持っている。
【書誌情報】
タイトル: 『かいじゅうたちのいるところ』
著者: モーリス・センダック作,じんぐうてるお訳
出版社: 冨山房
出版年: 1975初版
価格: 1400円+税