
「欧」を書いてみた!——楷書・行書・草書・隷書で楽しむ一文字
今日は、大字源をパラリと開いたときに目に飛び込んできた漢字「欧(おう)」をテーマにしてみました。思い立ったが吉日、楷書・行書・草書・隷書の四体でさっそく書いてみたところ、書き応えがあって楽しい一字でした。
■ 「欧」という漢字について
「欧」は音読みで「オウ」、訓読みでは「うた(う)」と読むこともあります(ただし現代日本語では「欧=うたう」と読む機会は稀です)。常用漢字にも含まれています。
口を大きく開いた形の「欠」と、音符の区ク→オウ(息を吐くときの擬声音)から成って、口を開いて「オウ」といって吐く意。
古くは「吐く」「うなる」という意味を持ち、後に「西洋(ヨーロッパ)」の意味でも使われるようになりました。
■ 使用例・熟語いろいろ
欧州 ヨーロッパ。欧羅巴(オウロッパ)の略。
西欧 西ヨーロッパ。文化や政治的文脈でもよく用いる。
北欧 北ヨーロッパ。スカンジナビア半島など。
南欧 南ヨーロッパ。イタリアやスペインなど。
中欧 中央ヨーロッパ。ドイツやポーランドなどを含む。
「欧米」「日欧関係」「欧風料理」など、現代日本語でも日常的によく見かける言葉に使われていますね。
書道に於いては、「欧虞」といえば、欧陽詢と虞世南。「欧褚」といえば、欧陽詢と褚遂良を指しますね。
その他は、吐くとかたたくの意味で使われて、ご紹介するほどの熟語はありませんね…。
■ 最後に
「欧」という一文字には、地名としての現代的意味と、古代の身体表現にまつわる原義の両方が息づいています。こうした背景を知ると、書く楽しさがぐっと広がりますね。
今日のように、ふと目にした一文字を書いてみるのも、書道の楽しみの一つ。「意味を知って書く」と「ただ書く」とでは、筆の運びも気持ちもまったく違ってきます。
みなさんも、たまには大字源や字典をパラパラとめくって、出会った一文字を書いてみませんか?