コウチ・ジョー -2ページ目

コウチ・ジョー

   ★★★★★★★★★

予定していたより速く船が着いた。


もう何も恐れることはない。

右手に繋いだこう君の手をしっかり繋ぎ直し、俺たちはこう君の実家に向かった。


こう君の家は、ごく普通の民家で、
ここに何かを隠しているとは信じられなかった。

「中に入りましょう」

こう君につづいて中に入った。

部屋の中には、家具が置かれたままだったが、生活感が全く感じられなかった。

「ここ数年実家は誰も使ってないはずだから、埃がひどいですね」

俺は母親から渡されたメモを改めて見直した。
この家の地図とB1と書かれている。

「こう君、この家には地下はある?」

「地下は聞いたことがありません。
ただ、父さんに絶対開いたら駄目だって言われていた扉があるんです」

ゆうに会うこと不安になった。

船を操縦する手に自然と力が入った。

すると横からさっきまでしゃくる練習をしていたこう君が俺の服の裾をギュッと握りしめ

何がそんなに不安なんですか?
と俺以上に不安そうに聞いてきた

なんでもないよ

俺はゆうに会うのが怖いなんて情けなくて言えなかった

僕は不安です。
真実を知ることもそうですが、何よりもヨシオさんの心がゆうに奪われてしまうことが不安です。こんなこと実の兄向ける嫉妬なんて恥ずかしいですけど、僕は不安なんです。

そう素直に思いを伝えてくるこう君に俺は絶対にこう君を離さない。何があっても、この子を悲しませたくないと思った


馬鹿だな。
こう君、大好きだよ、君意外にもぅ心は動かないよ

俺はしっかりと自分の気持ちを伝えると不思議と不安が消えた。

横でこう君も嬉しそうに笑っていた

俺たちは短い時間で深い絆で結ばれていることを実感した


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長老とグチアゴに別れを告げ、俺たちは船を出した。


船の速さは思ったより速かった。
この調子で行けば、こう君の家まで約2日で行けるだろう。


俺は舵をとりながら、航路を確認していた。
そういえば、船の乗りかたもゆうに教わったんだったな。


ゆう・・・会いたい。


ふと、こう君を見てみると、甲板で春の陽射しの中、しゃくれの練習をしているようだった。


あぁ可愛いな。
このままこう君を永遠に見ていたい。

だけど・・・

俺はゆうに会ってもいいのだろうか。
ありがとう恩に着る。

俺は礼を言い横にいるこう君をふっとみるとなぜか顎をしゃくっていた。

そんな姿も可愛い

こう君の顎にそっと触れ、どうして顎だしてるの?と聞くと

こう君は顔を真っ赤にして

な、なんでもないです…

と抱き締めたくなるほど可愛い顔で言った

するとその光景を見てたグチアゴが、

お前も幸せを見つけたんだなと少し上から目線で言ってきた

その子はヤキモチ焼いてるんだよ。だから顎をだして俺たちの真似しててたんだよ

グチアゴの指摘にこう君はさらに顔を真っ赤にした。

はい。可愛い。



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「久しぶりです」


長老の顎は相変わらず長く、山芋を連想させた。


「ああ。

君の活躍は聞いているよ。

本も読ませてもらった。大変な恋をしたようだね」



長老の隣にはグチアゴがいた。

グチアゴは腕を長老の腕に絡ませるように立っていた。


グチアゴは久しぶりの俺の出現に気づかないほど、長老に夢中になっているようだ。


時々、グチアゴが長老の頬にキスをしている姿をみて、少し羨ましく感じていた。


俺もこう君と・・・・



「それで急にどうしたんだ?」


長老の声に妄想から現実にかえらされた俺は、船を貸してほしいことを長老に伝えた。


「・・・わかった。

君には、恩がある。

君がいなければ、わしの本当の気持ち・・・グチアゴに対する愛を気づくことができなかった。」


それを聞いたグチアゴは、頬を赤らめ恥ずかしそうにした。


「船を貸そう」

もちろんだよ

俺たちは手を取り合って歩きだした

地図に書かれた場所を目指して

目的地まで行くには船が必要だった。

俺は船を貸してくれそうな人物に心当たりがあった

俺は少し不安があったがきっと力になってくれるだろと思い、こう君とあの顎長族の村を訪ねた。



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母親から渡されたメモには、簡単な地図とその横に『B1』と書かれていた。


その色は赤黒く、誰かの血痕を想像させた。



「この地図で表しているのは僕の実家です。

・・・このメモは、僕の両親のどちらかが死ぬ前に遺した物なんですね」


こう君はメモを握りしめ、泣きながら地面にうずくまった。


そんなこう君に俺は後ろから抱きしめることしかできなかった。



「こう君の両親が最期に教えてくれたもの・・・

もし、そうだったとしたら、こう君はこのメモの意味を知る必要があるんじゃないかな」


こう君は、泣くのを止め、俺の手を強く握った。

「僕は知りたい。

ヨシオさん、一緒に手伝ってくれませんか」

でも、僕の両親は殺されました。
両親は僕とゆうのために組織に従っていました。
それなのに、ある日、僕が帰ると父と母は…。

だから錬金術師は僕しか残っていません。
しかも、組織は両親の死から僕に関わらなくなりました。
そしてその頃ゆうも僕の前から姿を消しました。

僕は知りたい。組織を裏切ってない両親がなぜ殺されたのか。なぜゆうが組織の幹部なのか。

こう君は涙こらえ、まっすぐな目で俺と母をみた。

俺もだ。あの島でゆうと出逢ったのは仕組まれたことだったのか、ゆうの気持ちもすべて本当のことが知りたい。

母は俺たちの真摯な態度に手がかりとなる一つのメモを渡してきた。

これは1年前に手に入れた情報よ。でも内容は極めて危険。だから私はどうすることもできなかった。このメモを貴女達に託すわ。


そういって母は去っていった。


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俺もこう君と同様、信じることができなかった。


「母さん、ゆうのこと、kのこと教えてくれないか」


母は、少し考え込む様子だったが、ゆっくり話し始めた。


「・・・あなたたちの言う通り

ゆう君は、kの幹部よ。

だけど、一族を滅ぼしてはいないわ」


1000年ほど前から、錬金術師は世界各地に存在していた。

その多くは、人のため、国のためを思い、その力を利用していた。


しかし、あまりにも都合のいい力のため、悪用する人も少なくなかった。

次第に、錬金術師による事件も増え、理不尽にその力で殺される人もいた。


「そこで現れたのが、組織kよ。

kは、錬金術師が世界を統べるのではないかと恐れていた。

そして、秘密裏に、善人・悪人関わらず、錬金術師を消していったの。

ある一族を除いてね」


こう君はずっと下を向いている。


「こう君、って言ったかしら?

あなたはこのこと知っているわね」


「はい

両親から聞かされています。

・・・その一族が僕の先祖だってことも」


こう君はゆっくり話し始めた。


組織kは、世界を自分たちのものにしたいと考えていた。

しかし、それには力が必要となる。

そこで目を付けたのが、その一族だった。


kは、その一族を滅ぼさないことを条件に、一族全員をkに入るよう強要した。


「それは今の僕たちにも受け継がれている、組織kとの約束です。

僕たちがそれを破ると、kは僕らを殺すはずです」

母の言葉に
俺たちは驚いた。

ゆうが生きている。

確かにゆうが死んだのを俺は目の前でみた

でも、ゆうはあの時カイワレを抜いてない。
先端を切っただけだ。

いや、最初の死は俺が抜いたはず。

なぜ?
ゆうは最初の死から生き返ったのか
あの時疑問思うべきだった。

まさか…

いや、そんなはずない。

俺は頭に浮かんだ最悪の事実を消そうとした。


ヨシオ。貴女はもう気づいてるんじゃないの?ゆうが何者なのか?

母の言葉に俺は目眩がした。

そんな…

絶句した。

俺と母の不穏な会話にこう君はどういうことですか!?
兄が何なんですか?

と不安そうに聞いてきた。

俺は頭に浮かんだ一つの可能性について話した。
口に出すのはつらい話したくない内容だった。

ゆうは組織kなのかもしれない。いゃ、もしかしたら組織の幹部だったのかも。

俺の話しにこう君は

そんなはずない!兄さんが組織のわけない!兄さんが僕達一族を…そんなはず…

最後のほうは言葉にならずこう君はその場に泣き崩れた。

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