ボク、運命の人です。24 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

中途半端な話を何とかせねば…
目標、2周年迎えるまでに3つの話を終わらせる!

というのも、何故かこの数ヶ月、この話の問合せが何度かあったので…
重い腰を上げた次第ですが、私自身存在を忘れてたような話です。(おいこら)
何でや?再放送でもしてたんでしょうか?

山のお話ですよ~。
流れはドラマに忠実に沿ってやってるけど、結構設定を変えて遊んでおります。
男女じゃないしね、一応色々考えてから始めてますのでそこんとこはご安心ください(?)













「…頼む!」


きょとんとする元ライバル・松本に頭を下げるのは癪だ、と櫻井は考える。


しかし窮地に立たされている櫻井にとっては藁をもすがる思いだった。


思い起こすは昨夜、一通り自分で筋トレを終えて汗だくになってからのこと。





『こ、これをマグロ解体ショーの日まで毎日続ければ…!ゲーム、勝てる、かなっ…ゼーハー』


『あのさぁ~。素人が適当に練習したって駄目なのよね。』


『…はい?』


神は笑いを堪えるように片手で口を隠し、目を細めた。


『勝ちたけりゃちゃんとプロに頼ることですね。翔ちゃんがやってることって、ダンス未経験者のくせにきちんと習おうともせずただ柔軟体操だけして、プロのバレエダンサーに勝負挑もうとするようなもんですから。』


『ゼエ、ゼエ…そんな、言う?一応サッカー部だったんだし、学生時代鍛えてたけど!?ていうかそれ筋トレ一通り終わってから言うか普通!?!』


ただでさえ新陳代謝の良い櫻井。


調子に乗り張り切って約1時間筋トレを行ったせいで、汗が滝のように噴き出している。


『あのねぇ、鍛える筋肉とか、目的によって全然違うでしょうが。今回は釣りのゲームなわけ。


ちょっと小学生時代大野智にダンス教えてもらったからって、あれヒップホップ的な感じでしょ?バレエ全く関係ないでしょうが、わかんないの?


ああわかんないのか、翔ちゃんて頭固いもんね。脳みそカチコチだもんね、その無駄な筋肉と一緒で。豆腐を見習いなさいよ。』


『と、豆腐を見習うって…!』


『豆腐サンね?翔ちゃんに豆腐を呼び捨てにする権利なんて今んとこないから。豆腐以下よ。わかる?大豆を敬いなさい。』


どうやら神は、ゲームの見えない糸を切られたのを根に持っているようだ。


面倒な仕返しをしてしまったと、櫻井は眉をぽりぽりと掻いて先程の自分の行動を後悔する。


『…とにかくどうすりゃいいんだよ!釣りのプロに弟子入りか!?どこにいんだよ!海か?!』


『いいえ。釣りは釣りでも…女を釣り上げるプロにです。』


『…は?』





神の言うことは絶対


…とまではいかないが、神に言われるがままここまで来たのだ。


今更疑ったってしょうがない。


『神』から、松本にみっちり仕込んでもらうように司令が下ったのだ。


プライドをぐっと抑え込み、指示された通りにするしかない。


そう思い、松本に意を決して頭を下げたのだが。



「いいよ!じゃ明日から毎日仕事終わりにそこのジムで待ち合わせしよっか?」



すんなりとOKされて面くらった櫻井。


「…あの…理由とか聞かないの?マグロ釣るゲーム勝ちたいなんて、そんなわけわかんないこと…」


「男が鍛えたいって言ってんだもん。理由聞くなんて野暮だし、そもそも愚問でしょ?」


ウィンクする松本に、ありがたいと思いつつ同時に寒気を覚える櫻井だった。




それから毎日、手首強化の特訓が始まった。


スカッシュ、エアロビ、柱へ自身を手首のみで引き寄せる筋トレ。


なるほど、これは確かに自分だけでやるのとは発想が違う、と納得せざるを得ないプラン内容だった。


しかし、予想外だったのは何も鍛え方の話だけではない。


「ヘイヘイ!もーちょい!まだやれるよ!いけるよ!」


「いい顔してるよ!頑張れ!もう少し!」


「幸せを掴んで!引き寄せる!!」


「その手は絶対!離さない!!!」


「あと10秒!20秒!30秒!!」


「休まないよ!はいあとスリーセット!ゴーゴーゴーゴー!!」


松本は心底楽しそうな笑顔で追い込みをかける。


かけ続ける。


くどい顔で、くどい追い込みを。


「何っっっだこのテンション…」


櫻井は筋トレではなく、松本のテンションに疲弊している。


「はい、翔くん!一緒に口にして!」


「うっ…」


「幸せを?」


「つ、掴んで…」


「大きな声で!幸せをー?」


「…掴んで、引き寄せる!」


「その手は絶対?」


「離さないっ!!!」


櫻井の大きな声に、他のジム会員がちらちらと見ている。


やけくそである。


「いーーねぇーーーー。」


松本が不敵に笑って親指を向ける。


「それ!なんか!!何となく、俺の台詞!!何となく!!!」


「はい次!片腕立て伏せ200回!」


「にひゃっ?!?」


「智のこと手に入れたい奴put your hands up!」


「Yeah, yeah, yeah, yeah.ってだからそれもなんか俺の台詞っぽい!よくわかんねぇけど!!」


松本はパンパンと手を叩きながら櫻井を律する。


「翔くん!本気で智を手に入れたいんなら、時間ないよ?!相手はプロなんでしょう?!」


「うっ…」


「幸せを?」


「つ…掴んで、引き寄せる!!!」


「その手は絶対?」

 

「離さない!!!!!」


「Good job!」


相変わらず人にペースを乱され続ける櫻井だった。






 

「これがその解体ショーのイベント招待のハガキ。昨日届いたの。」


大野と相葉がランチに来たのは、いつものスイーツバイキングの店。


会社のすぐ近くにあり、バイキングと言えど安いのでよく二人でスイーツ部の活動(?)をしている。


「へ~!楽しそう!…ああ、このホテル有名だよね!」


相葉が大野に渡されたハガキを片手に、もぐもぐと濃厚なチョコレートケーキを頬張っている。


「そうなんかな?何かうちのとーちゃんとかーちゃんが結婚式したとこらしくって。かーちゃんが懐かしがってた。このホテルの近くの橋の上で、初めてちゅーしたの~とか言って。


おまじないっちゅーの?違うか、えーとほら、伝説…?橋がなんか、カップルに有名みたいで。」


「え~!すごいじゃん!」


「うーん…うん、まぁ…。」


大野は曖昧に首を捻る。


何がすごいのかはよくわからなくとも、両親の思い出の場所に偶然櫻井と行くことになったとなれば少なからず縁は感じる。



「…ねぇ、もう翔ちゃんでいいんじゃない?デートじゃん、こんなん!」


「やだよ。だって、まだわかんないもん。自分の気持ち。」


大野はライチを手に取る。


スイーツ部の対象は、果物も含まれている。


「くふふ、そういうのはねぇ、たまには任せてみるのもいいんだよ?」


「任せる?」


「うん!引っ張られたら、任せてついてくの!そしたら幸せになれることもあるかもよ♪これねえ~相手が女の子だったら逆だから!相手が男ならではの利点だよ♡身を委ねられる!


…まっ、男相手でも引っ張ってく場合もあるんだけど…おーちゃんはきっと、『ついてこい!』ってゆーテイシュカンパクみたいな感じじゃなくて、寧ろそれに『引っ張って~助かるわ~』ってのっかる受け身なイメージだもん♪(笑)」


「…そういうもんかなぁ?」


バイである相葉ならではの意見に、大野は苦笑する。


ぽいと口に放り込んだライチは、少し酸味が強く感じた。