「遅いよ。」6/17(AN&山)5 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

にのみあさん。
お誕生日おめでとう♡
お祝いの言葉は改めて書くけど、やっぱタイミングよく言いたいよね♡
書きたいのがいっぱいあるから誕生日には終わらないけど
6/17に…この話を持ってきたかった!
















一番奥の準備室の扉が開く。


櫻井さんに肩を抱かれ、そっと顔を見せたのは。



鏡や写真でしか見たことのない


一度も出会ったことのない


親友。



いつの間にか年齢を抜かされていた、だけど昔と変わらずあどけなく


昔みたいに俯いて生きてなんていないであろう、満ち足りた、優しく穏やかな顔で……。


智の瞳は既に涙で揺れている。


やっぱり、泣き虫はお前だろ?


そんな風に思う俺の視界もゆらっゆらだ。



「…ニノ。遅くなって、ごめんね。」


何度も耳に聞いた柔らかい声。


だけど、やっぱ


自分の耳で聞くのとそうでないのは結構違うし、言い方とか間合いとかも個性があって…


「…おいら、ずっとニノに…会いたかっ……」


お互い、必死で堰き止めていた涙が、ぶわっと溢れ出す。


隣の櫻井さんが、優しく智の背中を押す。


相葉ちゃんを見上げると、優しい涙を浮かべた笑顔で頷き、俺の背中をそっと押す。



たっ…

 


お互い、短い距離をもたつく脚で駆け寄る。


たくさん喋ったし互いの裸まで知ってんのに、どれだけ遠かったか。


時間も、距離も………!



美術室の真ん中で、智を両腕に思い切り閉じ込めた。


ぎゅうっと痛いくらいの力で抱き締め合う。



「ニノ…っ」


「…っ、うう、泣くなバカさとし…うーーー…っ


「1個、下なのに、生意気…うわーーーーーん!」



今度こそ、無理だった。


嗚咽する程泣きじゃくる。


2人分の泣き声は、人の目やら体裁なんてどこ吹く風で。


溜まりに溜まった涙が、今だと言わんばかりにとめどなく溢れる。



ああ、会いたかった。


誰よりも。


こんなこと言うと機嫌悪くさせちゃうかもしれないけど、相葉ちゃんよりもだよ。


本当に。



ねぇ。


夢みたいだよ。


お前と会える日が来るなんて。


年月はかかったけど。


忘れたことなんてなかったよ。



ずっと。


ずっと、気がかりだったんだ。


どうしてるか。


幸せにしてるか。


元気でやってるか。


櫻井さんに想いを伝えられたのか……。



「おま…今フランスじゃ…っ」


「…そう…でも、親友の誕生日位、帰国しなきゃ…でしょ?」


智は涙でぐしゃぐしゃの顔でにっこり笑う。


「…バカじゃねぇの…ただの誕生日に…」


風間だって誕生日のくせに、俺のためにこんなことしてるし。


相葉ちゃんは大事な仕事を中断して変な指輪作ってるし。


智も櫻井さんも、フライト時間や金がすげぇかかんのにこんな遠い所まで来るし。


意味わかんないよ。


ただのつまんない人間が1人、生まれた日じゃねぇかよ。


「バカだねぇ、ニノは。」


智がぐす、と俺の頭を撫でる。



「自分の大好きな人が生まれた日は、その人が思う以上に幸せなんだよ。


…ニノもよく知ってるでしょう?それとおんなじだよ。」



…クリスマス、イブ。


振り返ると、相葉ちゃんが鼻水でろっでろの汚い顔のままニカッと笑う。


ああ、そうだね。


そうだった。


大切な、大好きな人の誕生日は…何より特別だ。


そしてそれを俺の誕生日に感じてくれている…って、こと?


ここにいる、皆が…?


……何よ、それ。


やめてよ。


俺、これから先幸せなことひとつもなくなるじゃん。


だって、採算合わないもん。


一生分以上の幸せを貰っちゃってるんだもん。


幸せ過ぎて怖い、なんて。


そんな陳腐な歌詞、鼻で笑ってたのに。


…怖いよ。


何だよ、これ……。



「はい、ストーップ。…二宮、元気そうで安心したよ。けど顔ちけぇ。」


櫻井さんが突然智を背後から抱き締めて引き剥がす。


と、俺の身体も相葉ちゃんによって智から引き離される。


「もうこれ以上はだめー!そろそろ妬いちゃうから!!」


俺と智の目が合って、ふはって笑う。


もう、どんだけ。


この人達は、本当に!


空気読めよ!


「それに…次のプレゼントがまだ控えてるから!」


嘘でしょ?と目を丸くする。


ねぇ、悪いけど流石にもうこれ以上はないよ。


クライマックスじゃん。


どう考えてもこれ最終回でしょうが。


順番間違っちゃってんのよ、残念ながら。


何か知らないけど。



「智…待ってるから。」


櫻井さんが普通にちゅっと唇に当てる。


「ん。」


智がにっこり応える。


めっちゃ自然だな?!


欧米か!!!


ここ日本なんすけど!!


「ずるーい!俺も!カズ、待ってるからね♡」


「っ!!!」


お、同じようにぶちゅっとされた!


「…見てらんねーわ…。」


か、か、か、風間の前で~!!!!


最悪~~~っ!!!!!!


存在忘れてた~~~~~っ!!!←


「じゃぁ2人とも、着替えといてね!」


「後でね。待ってるから。」


「気持ちは分かるけど、思い出話に浸るのは後にしてよね!」


相葉ちゃんと櫻井さんと風間が美術室を出ていく。


「え、着替え…って?」


「んふふ。準備室にあるよ。」


智は、涙を拭いながら俺の手を引いた。


その手はとても温かく、見た目よりも大きくて


長い指には恐らくこの絵を描き上げるために出来たであろうタコができていて、


悔しいけれど男らしかった。