猿が宇宙旅行行くようなモン。(土)② | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


タイミングだいぶミスった、ごめんなさい、お風呂上がり慌ててしやがれ見る前に予約投稿したつもりが、後で確認したらしやがれやってる時間に投稿してあってビックリ。(笑)

てぃーーーしゃーーーーつーーーーーーー。・゚・(*ノД`*)・゚・。

泣きながら見たのでまた親に白い目で見られました、今年は過去一欲しいと思ったな。


期待させてごめんなさい、限定じゃないっす!(笑)

















「……ん……。」



驚いたし、心臓破裂しそうだし。


変な汗かくし。

 

だけど

 

何か、自然なことみたいに感じたんだ。

 

目を瞑るのが。

 

握られた手を、キュッと返すのが…。

 

 

翔くんの手はピクリとしたけど、更に強く返されて。


それだけのことで、胸の奥の奥がきゅーーーっと締めつけられる。

 

唇 はゆっくり角度 を変えて何度も何度も押し当てられて。

 

その圧に仰け反ってしまったら、翔くんの左手が俺の背に回って、ゆっくりと押し 倒される。

 

優しくついた背後から、古びたい草の感触と匂い。

 

指を絡めたくて開いたら、翔くんの指がそれを悟ったのか同じように開いてくれて。

 

その間も唇 は相変わらずゆっくりと角度を変えてお互いの 柔らかさを堪能する。

 

やがて食 むような動きに変り、俺も自然とそれに応える。

 

一瞬離れる瞬間、唇 同士が離れがたそうにリ ップ音 を奏でるのが妙に煽られて。


「んっ…」

 

身体の中心をぞくりとしたものが駆け抜ける。

 

頭はぼーっとして、上手く物事を考えられない。

 

 

だけど、唯一思うのは

 

隙間なくピッタリと合わさらない指が異様にもどかしくって。

 

翔くんもそう思ってるのか、お互い何度も手を握り返す。

 

いっそ一緒に溶けてなくなってしまえばいいのに。

 

そんな馬鹿なこと考えては、甘く 焦れったいような キスに思考を阻まれる。

 

スリ、と意志に反して 当たったお互いの モノ が、存在感を主張してて、硬くて。


思わず 腰が 浮く。

 

俺は完全にノーマルだ。

 

男を好きになったことなんて一度もない。

 

 

だけど

 

じわりと腹の奥が熱く感じるのは何故だろう…。


受け入れたことのないものを、待ち侘びてしまう感覚になるのは何故だろう……。

 

 

ハ、と小さく漏らした 吐息。

 

翔くんはゆっくりと離れ、切なそうな顔で蛍光灯の光を背負って俺を見下ろす。

 

その顔にもやっぱりドキンとして。

 

「…こんなこと、信じてもらえないかもしれないけど…」

 

ようやく口を開いた翔くんは、困った表情で視線を泳がせる。

 

「俺、出会ったその日に、こんなことしたこと…ない…」

 

こくり、と頷くだけで同意をする。

 

俺も同じだ、と。

 

何となく、それで通じる気がして。

 

「だけど…あなたには、何故か惹かれてしまう……何故か…もっと、って……男なの分かってんのに……こんなことって……。」

 

翔くん…も……?

 

そんなバカな

 

こんなイケメンがこんな冴えない俺を、

 

って思うけど、体内はドクドクと血液がお祭り状態で。

 

 

「……いい……?」

 

「っ」

 

 

Tシャツの隙間に、妙に熱い翔くんの手が滑り込まされ、身体がびくりと跳ねる。

 

俺の答えを待つようにその手は脇腹で止まっている。

 

掌がしっとりと湿っているのは、翔くんも緊張してるから?なんて都合よく思ってしまう。

 

目が潤み、不安気な翔くんがゆらりと揺れる。

 

ねぇ。


翔くん。


分かってるでしょう?


 

…聞くまでもないよ。

 

 

「…う、」

 

 

言いかけた言葉を引っ込めたのは、翔くんの携帯のアラーム音がどこかで鳴ったから。

 

反射的に壁時計を見ると午前3時。

 

こんな夜中に?と思ったけど、翔くんは壁にかかった時計を見て青ざめる。

 

「やっっべ、仕事…!!!ここから〇〇町までどれくらいかかる?!」

 

「えっ…と、電車だと40分くらい…」

 

「うわギリだな、いけっかな…!タクりゃちょっとは早く行けるかな!?」

 

翔くんが慌てて部屋着を脱ぐ。

 

緊急事態だということくらいわかるのに、今更見える肌の色に頬が高揚してしまう。

 

しっかりしろ、俺!

 

「な、何すればいい?」

 

「ごめん、ワイシャツ乾いてる?」

 

「持ってくる!」

 

「ありがと!あ、すみませんタクシーを1台…あ、ええと場所はー…」

 

携帯を耳に当てちらりと俺を見るから、

 

「あ、東京都…、」

 

と慌ただしく対応し風呂場へと向かう。

 

うん、扇風機は思ってた以上の仕事をしたらしく、結構いい感じで乾いてる。

 

しかし。

 

「翔くん、靴下がまだ濡れてる!ごめん、そんなすぐ出ると思わなくて…!」

 

「あー大丈夫、裸足で行くよ!どっかのタイミングで買う!」

 

「あ、なら…これ履いてないから良かったら。」

 

新品のものを出して手渡すと、いいの?と聞かれる。

 

頷くと、くしゃっと笑顔に変わる。

 

「何から何までごめん、助かるよ!」

 

しかし案外不器用なのか、靴下を上手く履けずに片足でケンケンしだして、そのままガタンと転ぶ。

 

「だ、大丈夫?!」

 

「大丈夫、ごめんこの…画材?ひっくり返しちゃった!」

 

慌てて翔くんが拾うけど、「そんなん後でやるから!」と止める。

 

「ごめん、ほんとごめん!」

 

バタバタ準備を済まし、そのまま急いで玄関を抜ける。

 

俺も見送るために靴のかかとを踏みつけて身体半分外に出す。

 

「…また!」

 

翔くんが小声で叫ぶ。

 

深夜3時の外は、いつもよりとても真っ暗で、しんとしていて、まるで東京じゃないみたい。

 

ボロいアパートの前で、タクシーのオレンジ色のハザードがチカチカと忙しなく動いているのが異様に目立つ気がする。

 

「…また!」

 

同じように返すのが精一杯だった。


バタンと自動で閉じるタクシーのドアの音が異様に闇夜に響く。


やがてタクシーは見えなくなった。


 

…また、だなんて


期待しちゃいけない。

 

だって、俺は翔くんの連絡先なんて知らなくて。

 

家を知ってるのも翔くんで。

 

それに…

 

 

きっと、正気になれば俺の事なんて相手にするわけない。

 

ましてや男同士。

 

 

熱に浮かされただけ。

 

気の迷い。

 

きっとそうだ。

 

 

じゃないと…説明がつかない。

 

あんなにキラキラした人との、こんな有り得ない状況。

 

 

「…片付けよ。」

 

扉を閉めて呟いた独り言は、しんとした部屋で虚しく響く。

 

翔くんの倒した画材セットを一本ずつ拾っていると、

 

「あれ?」

 

一本ボールペンがない。

 

例の俺のイラストを入れたやつだ。

 

「もしかして、もってっちゃったかな。」

 

…なんか、シンデレラの靴みたい。

 

拾われるんじゃなく、持ってかれるパターンだけど。

 

会える口実が出来た気がして嬉しくなった俺は、相当おめでたい奴だと自嘲した。



かかとを踏んだ靴は、朝を迎えていざイベントのある公園へと出かける時も凹んだままだった。