「遅いよ。」2/14 上 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。

あーーよかった、間に合った!
バレンタイン何も考えてなくて、
風間ぽんの書きたいとこ絡めるのに丁度いいと思いついたのが夕飯作ってる時。
息子寝かしつけてから慌てて書きました(笑)
息子には工事現場風のチョコケーキ作って消毒したトミカで崩しながら食べるようにしたら喜んでました(o・v・)♪










俺はいつだって地味な傍観者だ

主人公は必ず他にいる

卑屈とかじゃなくて

大切な周りの友人が上手くいくのであれば、

それでいいと思っていた

幸福の手伝いになるのであれば、

それが一番なんだと本気で思っていた


だけど、いつからだろう

奇跡を次々起こす友人達に触発されて

自分にも奇跡が起こるかもしれないなどと

少しだけキラキラした未来を、

期待するようになったのは







-the 14th February in Japan-

「チョコレートぉ?」


「……おう。」


物欲のない奴が珍しく買い物付き合ってくれとか言うから何かと思えば。


まさかの目的に思わず噴き出す。


「ふっ…そっか、そういうことか!(笑)」


「笑うなよっ!」


耳まで真っ赤なニノが俺を睨みつける。


「いや…あはは、いいね(笑)喜ぶよ、相葉ちゃん。」


「…ほんと?甘い物好きかな?」


「めちゃめちゃ好きよ。高三の時大ちゃんとスイーツ部って同盟組んでたくらい。」


「何だそれ?」


「さぁ(笑)」


フランスのバレンタインってどんななのかな。


今度何したか聞いてみよう、などと思いながら、少し高級なスーパーのバレンタインフェアの一角に来た。


デパートのチョコレート売り場は恥ずかしいらしい。

(一緒じゃない?わかんないわー、その微妙な男心。)


ニノは恥ずかしそうだけど、めちゃめちゃ幸せそうにコーナーの中で高めのチョコを吟味している。


街には確かにハートマークが多く、男も女も浮き足立っているように見える。


ま、俺には関係ないけど。



「…いや…俺も買おうかな…」


とあるチョコレートが目につき、ぽつりと呟く。


「えっ。誰に?!」


何だよそのリアクションは(笑)


自分はちょっと恋人が出来たからって…失礼だな。


俺だって……


いや、恋人は…全然いないけど……


本命チョコを貰える予定も予感も……皆無だけど……。


「えーと…お世話になった人に、ね。」


「……松本さんとか?」


ニノの目が光った気がしたのは気の所為だよね?


「まぁ…俺社内でも転々としてたし、社長には色々お世話になってるから。あーでも、松本さんこそいろんな人から貰ってそうだからなぁ。」


「いや…喜ぶよ。あの人、女からのチョコは受け取ってないから。」


「そうなの?」


「うん。期待を持たせたくないんだってさ。変なとこで誠実さ出してくんだよなぁ。」


「変なとこってなんだよ?」


「いや……あの見た目でってこと。」


「ほんと失礼な奴だな!どう見ても誠実だろ!」


ニノが少し驚いた後、ふーん、ってニヤニヤしてくる。


何だよ!


「ところでずっと気になってたんだけど、その服何よ。」


「へ?あぁ…やっぱ変?」


「うーん。変じゃないけど派手。お前のキャラと合ってない。」


「ですよねぇ~…。」


多分、あの人なら着こなしてしまう服を


奇しくもクリスマスにプレゼントされた日のことを思い出す。







「今日は連れ回してごめんな。大変だったろ。2日連続、ミッ〇ーの中入ってて。イブとクリスマスはどうしても人少なくて…助かったよ。運動神経のいい奴じゃないとダメだし、身長制限もあるからね。」


「いえ、楽しかったです。それに…いいもの見れたんで。パレード中、嬉し過ぎてフロートから落ちそうになる位。」


「…?」


「というかこちらこそすみません!俺のために選んで頂くどころか、あんな高い服買って頂いて…」


「俺の趣味押し付けただけだから気にすんな。」


「嬉しいですよ。…自分では絶対選べない服ですけど…。」


松本さんがふっと笑い、カランとグラスを傾ける。


横目で盗み見ると、その仕草が何だか物凄く大人で。


色気…っていうのかな。

 

まつ毛が長く、緩やかなカーブを描いてて。


その彫刻のような美しさに思わずドキッとしてしまった。


「まぁ、休みの日にでも着てよ。」


「あ、はい!ありがとうございます!」


確かに、仕事の日に着ていく感じではない。


足元に置いた有名ブランドの紙袋をちらりと見る。


…会計はいつの間にか済まされていたけど、手に取った服はどれもいつも買うものよりゼロが多かった。


ほんと、何をさせてもスマートだと感心する。


「ここは俺が出しますね!」


「何でだよ!(笑)一応俺社長よ?部下に払わせるわけにはいかねーって。」


「でも、服まで…」


「これは俺のプライドの問題!奢らせてよ、ね?…風間に奢りたいんだ。」


優しく頭に手を置かれて、カァッと顔に熱が集まるのを感じた。


松本さん、すげぇぇぇ。


男の俺ですらこんなドキドキするなんて…!



「こちら、クリスマスのサービスです。」


カウンター越しのマスターらしき人に差し出されたのは、生ハムとモッツァレラチーズ、バジルソースでクリスマス用に装飾されたひと皿。


飾りに置かれたモミの葉っぱは、プラスチックでできているようだ。


「ドーモ。良かったら一緒につつかない?」


「ありがとうございます。」


…そうだよ。


更には、今日はクリスマスなんだよ。



『松本さん、今度風間にいい服見立ててやってくださいよ。地味顔にも似合う服。あと小洒落たBARとかも知らない侘しい奴なんで社会見学だと思って連れってやってください。』


『ば、バカニノ!お忙しい松本さんになんつーことを…!』


『あ…別に、風間が良ければ休みの日… 別に明日仕事終わりにでも…いや、勿論暇なら、だけど…。』


『え…いいんですか?明日夜は暇です!めっちゃ嬉しいです!!』



あの時。


普通にお願いしてしまったけど、よく考えたらクリスマス当日っていう。


あーもう、俺めちゃめちゃバカなんだけど!


松本さんみたいな人がクリスマス暇なわけないじゃん!!


「あの…すみませんでした。」


「へ?何が?」


「いや…今日クリスマスで…俺、すっかり忘れてて…」


松本さんが、ああ、と笑う。


「…俺も。忘れてたし、一緒に過ごす人もいないから大丈夫。」


「そ…う、なんですか?意外…。」


「意外?(笑)」


「意外ですよ!モテモテで女の人達放っとかないでしょう?」


「あー…」


松本さんが苦笑する。


あれ、俺何か変なこと言ったかな…?