「あっ…いいですね~!」
室内でもニット帽を被ったカメラマンの声がスタジオ内に響く。
白バックで柔らかい照明。
ゆるやかなスタイリングとニット。
カシャ、カシャ、と軽快に切られていくシャッター音。
現場監督である男が一旦カメラマンとモニター画面でチェックを入れ、その完成度の高さに、表紙で使うことを視野に入れることにすると伝える。
元々表紙はジャケットスタイルのものを使用する予定だった。
しかしニットを着ているためか少しリラックスした5人の表情と雰囲気が、事前に撮影したジャケットのものと引けを取らない、
寧ろこちらの方が『5人らしさ』が出ていて、読者に手に取ってもらいやすいのではないかと判断したのだ。
5人は、ならば、と少しずつ距離を詰める。
中央に寄り、ぎゅっと固まる。
「あ!ありがとうございます!」
カメラマンはその気遣いに礼を言い、再度カメラを構える。
「責任取れないよ~?」
櫻井がニヤリと笑い、大野の肩に腕をかける。
二宮が「何よそれ」と小さく笑う。
相葉がくはっと笑う。
「チャレンジするんだね(笑)」
松本が監督に声をかける。
普通ジャケットや袴などきっちりした服装で年末を締めくくるものなのに、という意味だ。
月刊誌のため、これが2018年…ひいては平成最後の発行となる。
「皆さんの表情が素敵なので」
「俺らはいつ如何なる時でも素敵だよ、ねぇ?」
二宮がふざけて同意を求めるように4人に尋ねる。
そうだそうだ!と笑いながら乗っかる櫻井と松本。
ね~、とくすくす笑う相葉と大野。
「失礼しました(笑)」
カメラマンがシャッターを切る。
カシャ、カシャ、カシャ…。
ズズ……。
大野が徐々に櫻井の方へ頭を傾けていく。
その動きに後段の相葉と松本はちらりと一瞬2人を見るも、すぐにカメラに視線を戻す。
櫻井もカメラを見つめたまま表情を保つ。
大野の頭はついにこてんと櫻井の肩に乗った。
櫻井の肩に大野の頭。
大野が無意識なのか位置が悪かったのか、すり、と櫻井の頬へ擦り寄るような仕草をする。
櫻井の口元が堪えきれずにふふっ…と緩んでいく。
ぷるぷると震え出したことを、大野は勿論皆何となく気付いている。
そしてついにブーッと噴き出し、
「カップルかよ!!!!」
と声を上げる。
皆がそれにつられて笑い出す。
二宮は顔を向け、すぐに事態を把握して「お前ら撮影中に何イチャついてんだよ!」とツッコミを入れる。
「ねー勘弁して!リーダーゆっくり動くから笑いそうになったんだけど!(笑)」
相葉が んははは、と笑い出す。
「はーい、ここに仕事中にイチャつくバカップルがいまーす」
松本は片手を挙げて何故か宣誓するような仕草でカメラマンにアピールする。
大野は柔らかい表情の笑顔を続け、肩に頭を預けたままだった。