君を描いてく2 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


上・中・下、位の短いつもりだったのに
まさかのボリュームになって泣いてる。笑














「…俺と、組まない…?」


………は?


突拍子のない言葉にぱちっと目を開く。


やっぱり顔が近くて、こんな近くに他人の顔があることに酷くドギマギする。


パーソナルスペースっちゅうやつ。


ぐいっと肩を押して、距離をとる。


「な、何の話?」


「あ、ごめん。…緊張して話前後しちゃったわ。大野くんて絵上手いじゃん?」


肯定するのも気が引けるけど、確かに絵は好きだ。


ていうか緊張?


何でお前がするんだよ??


曖昧に首を傾げる。


「この前見ちゃったんだ。大野くん、体育の授業サボって教室で寝てたでしょ。で、俺もサボりで保健室行くふりして教室抜け出したら…隣のクラスに寝てる人がいて。近づいてみたら、ノートが開きっぱなしで。…こっそり拝見しちゃってさ。」


てへ、って顔でおいらを見てくるけど、勝手に見るなよ!


人のノート!!


「でも絵がめっちゃ上手いし、理想的な…俺のイメージする絵だから、嬉しくって!暫くどんな人か観察…っつーと印象悪いかな、なるべく教室の前通る時とか見るようにしてたし雅紀と仲良いみたいだから無駄に話し掛けたりしてたんだけど…気付かなかった?(笑)」


基本休み時間とか絵を描いてるし、全然知らなかった。


相葉ちゃんは勝手に話しかけてくれるから、おいらから話しかけることってそんなにないし。。


「てか…イメージする…絵?」


ますます意味がわからず、更に首を傾げる。


「俺さ。…漫画が好きで、漫画家になりたくて。でも…」


鞄から出てきたノートには、コマ割りされた絵が描いてあって。


……漫画……と呼ぶには、少々……


いや、だいぶ………個性的だけど。


「絵が苦手なんだ。」



……だろうね。



という言葉を出しかけて、何とか飲み込む。


「でもさ、プロットとか考えるのは多分、得意な方で。絵が上手い人で、口の固い人探してたんだよ。」


「はぁ…。」


櫻井くんが俺にノートを渡す。


口が固いも何も、話す相手がいないだけだけど。


にしても、あの櫻井翔が漫画?


偉人の伝記とかエッセイとか愛読してそうなのに。


しかもこの絵の仕上がりなの?


イメージ無さすぎる。


だけど…


ページをめくる手が止まらない。


絵が伝えるものはさっぱりわからないしクオリティに笑っちゃいそうになるけど、会話から分かる何となくのストーリーだけで引き込まれるし、続きが気になって仕方ない。


「これ…面白い…。」


「本当?!マジ嬉しい!ありがとう!」


ぱあっと華やぐ櫻井くんの顔にドキッとする。


慌ててノートに目を移す。


「ね、大野くんさ、この辺描いてみてよ。」


指さされた部分をじっと見つめる。


「…えーと…キノコ?」


「女の子だっつの!💢」


えぇ~?!


難しすぎるだろ、何だこの謎解きみたいなネームは~!!!


仕方なく自分のノートを出して、コマ割りなどを少し直しつつ、色々聞き出しつつ…清書していく。(あまりに元と違うため、清書という表現が正しいのかどうかはわからない)


「…これでいい?」


1ページ分、ざっくり描けたものを手渡す。


「……マジかっけぇ……!!!そう!こういうのをイメージして描いてたんだよ俺は!!俺のネームの通り!!すごいね大野くん!!!」


え…ネームの通り?嘘でしょ?


という本音も、ぐっと飲み込む。


ほーっとノートを見つめる櫻井くんは、目をまんまるにして食い入るように見つめてくれて。


…ちょっと恥ずかしいくらい。


「小説家…とかじゃダメなの?」


無理に絵をつける必要も無いだろう。


それくらいストーリーはしっかりしてる。


「絶対嫌!漫画って決めてたんだ。老若男女に愛されるのは、小説よりも漫画でしょ?」


そういうもんなのかは分からないけど、まぁ気持ちは分かる。


おいら小説は眠くなるから読まないし。


「だからさ、」


櫻井くんはにっこり笑う。


「ストーリー担当とイラスト担当でさ、漫画家目指そうよ。俺らなら…やれると思うんだよね!」



今、漫画家よりイラストレーターを目指してて。


それはストーリーとか考えるのが苦手だからであって、漫画家が嫌とかそういうんじゃなくって、


別に絵を描いていけるなら、その形は何だっていいわけで……。


結局何が言いたいのかって


あの天下の櫻井翔に手を取られ、キラキラした目で見つめられて、一緒に夢を叶えようと言われて、


「やりたくない」と断れる人間は多分、この世に存在しないと思う…ってこと。



「…分かりました…。」


「…え、うそ、マジでっ?!ありがとうっ!!!!」



思い切りハグされて、ビックリして慌てて押し返す。


「ちょっ…ち、近いっっっ!」


「あ、ごめんごめん!嬉しくてつい!俺の事は翔って呼んで?」


「しょっ…?!よ、呼べるわけねぇし!」


「その内慣れるでしょ!俺は智くんって呼ぶね?」


「何そのイントネーション?!」



この奇っ怪な出会いで、奇しくもおいら達は共通の夢に向かうことになった。