No control159 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


ごめんなさい、2日間親とずっと一緒で書けず…(T-T)
プチ旅行、めっちゃ楽しかったです(*^^*)

時系列全然進まないけど、
櫻井視点はどうしても書きたくて…
あ、あと、これ金曜日だった!!!
次の日仕事無かった!!!爆
数話前、少し直しました、ほんとごめんなさーい!m(_ _)m










【Side 櫻井】


「はぁ、はぁ、はぁ…っ」


暫くは言葉が出なかった。


大野さんの荒い息と速い鼓動を俺の上に感じながら、指一本も動かない。


そんな時間がどれくらい続いたのか。


熱も出し切って、息も落ち着いた頃に大野さんがハッとして身体を起こす。


ごろんと隣に寝転び俺の方を向く大野さんの目がごめん、って言ってるから、全然重くないよ、って言いたいのに、言葉が出ない。


萎 んだそれを温かい中から抜く喪失感より、大野さんとの感覚が共有されたことでの充足感の方が上だった。



「………」



何か、言おうかと思ったけど。


何も、言う必要が無いような気がした。


お互い横向きでじっと見つめ合う。


大野さんの目には頬には涙の跡。


どちらともなくぎゅっと抱き合えば、じんわりと体温が混ざる。



身体という入れ物は間違いなく邪魔ではあるけれど


魂が混ざり合って、溶けてるみたいな。


2人を隔てるものが、何も無いような。


そんな、不思議な感覚だ。



──ようやく、繋がれた。



身体は何度も重ねた。


だけど、今までは本当の意味で繋がっていなかったように思う。


大野さんは、俺のモノ。


そして俺は…大野さんの、モノ。


そう、堂々と刻まれたシルシ──。


そっと大野さんの項に手を当てる。


触れただけで分かるほどに熱を持ったそこは、俺の歯型に窪んでいる。


「…痛い…?」


「…ううん…じんじんするけど、気持ちいい…かな。」


「…良かった。」


ふっと笑ったら、大野さんも同じように笑う。



一方的な…いや、多分、共通の感覚なんじゃねぇかなって思うんだけど


大野さんの身体を、俺の…アルファとしての特別な体液か何かが細胞の一部として入り込んだ、みたいな。


アルファとオメガの番になるまでの詳しい仕組みは、まだ解明されていない。


だから、これは俺の感覚に過ぎないけれど。


噛んだことによって、俺の一部が、感覚が…大野さんの中に巡った感じ。



そして、同様に俺の中に…なんて言えばいいのかな。


血液の中?…心の中?


ここにいる、みたいな。


俺の身体なんだけどこれは大野さんで、だけど大野さんの中にも俺がいるような…。


なんて表現したらいいのかわからないけど、


過去感じたことの無い幸せな気持ちであることは間違いない。



番になる行為っていうのは、オメガばかりの変化だと思ってた。


実際アルファは番を複数持てるわけで。


だけど、運命の番だからかな。


お互いの全てが繋がったような感じがする。


大野さんの考えていることが分かる訳では無いけど


大野さんの感じていることは、何となく、分かる。



── オメガをバカにしないで何をバカにすりゃいーんだよ。あぁ?お前も大野さんにフェロモン撒き散らしてヨガって番という名の首輪を手に入れたんだろーが。それで満足してるような奴は底辺中の底辺だろ。


松本に言ったセリフ。


── 低俗だって思うだろ?アイツら俺らの番狙いでフェロモンぶちまいてくるだけの種族じゃん。


ニノに言ったセリフ。


── 悪いけど、大っ嫌いだよ。フェロモン撒き散らして迷惑なんだよ。滅びりゃいいのにって思ってる。


棚田に言ったセリフ。


── 人間は人間同士。猿は猿同士。そっちのがよっぽどお似合いじゃないですか?


…大野さんに言ったセリフ。



俺はなんて視野が狭かったんだろう。


俺はなんて愚かだったんだろう。


たくさんの人を傷付けた。


たくさんの人を悲しませた。



だけど今、わかるのは。


どの口がって感じではあるけど…



属性なんて、関係ないってこと。



俺が信じていたアルファという盾は


何の意味もなかったんだ。


アルファも、ベータも、オメガも。


肌の色や、性別や、生まれ落ちた土地だって。


皆、横一線に並んでいて、そこに差異なんてない。


優劣とか、役割とか、希少とか…馬鹿らしい。


その人はその人でしかない。


そしてそれ以上に大切な判断基準は存在しない。


自分は優秀だと自負しておいて、そんな簡単なことにも気付けなかった。



この人に出会うまで。




「…大野さん。」


「…何…?」


大野さんが優しい声で小さく呟く。



「…貴方を、愛してます。この先もずっと…。」



大野さんが、少し驚いた顔をして


すぐにふにゃっと笑って、



「俺も。」



と掠れた声で言ってくれた。



何故だか、自然に涙が零れて。


大野さんがまた驚いて、だけど、瞼にキスを落としてくれた。




愛してる。


一生。


ほんと、何の根拠もないけどさ


この気持ちだけは変わらない自信があるんだ。



俺はアルファだから、他のオメガのヒートに惹き付けられてしまうことがあるかもしれないけど


ニノがそうしたように、絶対に他の奴とは繋がらない。


死ぬ気で守る。


棚田が死を覚悟してまで生きてきたように


大野さんが副作用が出るまでして必死で守ってきたように。


アルファだって、ベータだって。


守りたいもののために、己と、もしくはその状況と、戦わなくてはならない。


皆一緒なんだ。



間もなくして、大野さんの静かな寝息が聞こえてきて。


そっと身体を起こして項を見ると、そこには強く噛んだ証と、その強さを遥かに超える強い意志。



──死が2人を別つまで、貴方を守り抜く。



明確な形となって現れたそれに


暫く涙が溢れて、寝付けなかった。