「え?何で?」
「何でも。いい?好みのカップリング決まってない客には、必ず今日のディズニーの写真をデートしてきたよーって見せるんだよ?」
「…うん…???」
智くんが首を傾げながらも、了承してくれる。
これでよし…と。
あとは餌に魚がかかるだけだ。
「うお、智めっちゃ似合うな!」
潤の声がロッカールームに響く。
「そぉ?えへへ、ありがとう。」
智くんが照れくさそうに笑う。
「アンタそういうの似合うよね。いや、逆に運動系が似合わないのか。一番運動神経いいのに(笑)」
ニノがぴらりと智くんの裾を引っ張る。
「ふふ、可愛い~♡脱がせ たくなっちゃうなぁ♡あ~れ~!ってやつ!」
雅紀が帯にに手をかける。
「やめてよー、自分で着るの大変なんだから!(笑)」
智くんが慌てて身を守る。
今日はイベントデーだ。
それぞれ部活動のコスチュームを身にまとっている。
潤はテニス部。
ニノは野球部。
雅紀はバスケ部。
俺は…稽古があって遅くなったから残りもの。
(本当はサッカー部がよかったけど、昨日手越が閉店後着たらしく、しかもあの野郎、小山とじゃれてて酒零しやがったからクリーニング出すハメになって着れねぇっていう。)
そして、智くんは。
「わー、茶道部?」
「モスグリーンの着物!かっこいいー♡」
「んふふ、本当?ありがと。自分で着たの。」
「すごっ!!!」
そう。
茶道部だ。
深い緑の布に包まれた智くんは、普段髪の毛をふわっとセットしてるのに、今日は着物に合わせてぺたんと下ろしたまま。
それがまた着物と似合い過ぎて、幼さを増長させて…やばい。
ボケっとしてるのに着付けの資格あるとかマジで神。
俺もお揃いの着物を着付けて欲しかった。。
俺、何でこんな格好しなくちゃいけねぇんだ…。
とカウンターの中で自分の格好を見つめてため息ついてたら、
「みてみてー。この前デートしてきたの。」
テーブルから聞こえる智くんの声に耳がダンボになる。(ディズニーだけにな!)
うんうん、智くんGJ!!
「えっ、誰と?!見たい!!」
客は案の定食いつく。
あのテーブルは初めて見る客だ。
何故か全員青い服を身にまとっている。
しかしメンバーズカードをテーブルに出しているということは新規ではない。
「ほら、これー。」
智くんが業務用の携帯を見せる。
ディスプレイには、恐らく2人ぴったりとくっついた写真が映し出されているはず。
「えー!仲良し!!」
「どこ行ったの?…あ、この背景はディズニー?」
…よくわかったな、アトラクションでも背景でもない壁を背にしてるのに。
あの女、探偵か何かか?
「…ナイショ♡」
「えー!(笑)」
「デートだからね♡」
くーーーーーーっ
何だよその小悪魔?!
いたずらっぽく笑うその顔、ずるくね?!
ずるいよな?!
「で…、その子はどこ?」
「何部なの?」
げ、やっべ!
慌ててバックヤードに入る。
ずっと観察してたことはバレたくない。(主に智くんに)
「えっとねー、どこかなー…なんか…A V男優みたいな格好してる(笑)」
「何それww」
微かに聞こえる声に自分の格好を見下ろす。
くっそぉ…。
バレー部のコスチューム、まさかこんな短いとは。
この真っ赤な短パン、無駄に筋肉質な俺の腿がびちっハマってて異様に恥ずかしい…。(色んな奴に笑われた)
「ねー松潤、翔くん知らない?」
「あー…っと。あれ?さっきカウンターにいたんだけどな…翔くーん!」
あ、呼ばれた。
「? 呼んだ?」
さも何も知りません、みたいにひょこっと顔を出す。
「呼んだ!こっち来てー!」
ちょいちょいと手招きする智くんの無防備さ。
あー可愛い。
なになに~?とニコニコ近付く。
松本が嫌な顔しながらすっと離れる。
んだよ、その顔は。
「この人が翔くん!」
「どうも~。2年の櫻井翔です。皆、今日は初登校?」
「ううん、2回目だけど…初めて見たかも。」
「そっか、俺結構レアキャラだからね(笑)」
2回目!
いい~ねぇ~。←
固定のお気に入りはまだ出来てないんじゃね?
「智くん、何の話してたの?」
「この前遊びに行った話!」
「あはは、あれね。楽しかったよね、せーんぱい?♡」
スっと下半身 の合わせに手を入れる。
「!!///」
案の定、客は反応するわけで。
横目で確認し、ニヤリと笑いそうになるのを堪える。
さわさわと 腿を 撫でると、智くんが身を攀じる。
「んふふ、くすぐったい(笑)」
「いーじゃん別に。いつもやってんだし?」
「い…いつもって…仲良いんだね…。」
真っ赤になった客が割って入る。
そうだ、俺らのことどんどん聞いてこい!
「まぁね。結構遊んでるよね、智くん?」
「んー、そうだねぇ。家行ったりね。」
「何で?何で2人なの?彼の何がいいの??」
帽子を被った客が強めに聞いてくる。
いいね、その調子でガンガン突っ込んでくれ。
それで俺らにハマれ!!推せ!!!
「そりゃ…身体の相性?」
智くんがちらりと俺を見る。
げほっ!!!
咳き込んだのは客と…俺。
「大事だよ?」
きょとんと首を傾げる智くん。
いやわかってる、大事なのは分かってんだよ?
でも智くん、その純粋な顔で突然仕事をまっとうすんのやめてくんねぇかな、マジで焦るから!!
急にスイッチ入れないで!!
「智~!チェキ入ったよ~!」
「あ、はーい!ニノに呼ばれた、ちょっと行ってくるね。」
「行ってらっしゃい!」
智くんはひょこひょこ奥へと向かう。
くっそ…もう少しだったのに~…。
「あの……」
客が呟く。
「ん?」
「翔…くん…は、何が得意なの?」
「俺は日本舞踊かな。でも筋肉質でさぁ。あんま着物似合わないんだよ、智くんに着付けしてもらったことはあるんだけど(笑)まぁ…着てもすぐ脱いじゃうけどね?」
ニッと笑ったら、客は赤く染った顔を見合せ、頷き、そして…
「智くんと翔くんで…ポッキー…お願いします……。」
「お!まいどありぃ♪」
見事、俺の罠にかかったことに、バレないように小さく笑った。
だいぶ脚色やら妄想付け足してますが、
基本の流れはこんな感じで行ってきました。
ていうレポ。(ほんと恥ずかしい。)
次のは限定にすべきか悩んでる…
内容はそうでも無いけど、
ポッキーゲームの詳細を載せると
万一本人達の目に触れたら…
身バレする…:( ; ´꒳` ;):ガタガタ