「遅いよ。」70 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


最終話。
70話、キリよくて良かった!(笑)
山の方がロマンチックなので、
ハードル下げて進んでくださいませ。(笑)
でもどうしてもこっちを最後にしたかったんだ。








「次は君の番。約束守ってよ。」


「俺…?」


「忘れちゃったのー?酷いなぁ(笑)…君の前なら、俺は…無理して笑わなくても、泣いてもいいんでしょ?」



──俺の前では…無理して、笑わなくていいから。


──笑うのに疲れたら、俺のとこ来て泣いていいから…。



智の身体で言った、俺の言葉。


相葉ちゃんの目には…初めて見る涙。


パレードの光を受けて、キラキラと輝く。


…俺の涙も、そんな風にあなたに映っているのだろうか。


ぼんやり働かない頭で考える。


「本当の俺は…短気で、結構嫉妬深くて、蛇みたいにしつこくて、めっちゃくちゃ意地っ張りで、結構煩くて鬱陶しいと思うけど。それでも、本当の自分を君の前でさらけ出していい?」


…何、それ、キモ。


すげー怖いんですけど。


…って、憎まれ口を叩きたいのに、嗚咽を飲み込むのに必死で何も出ない。


何なの、それ。



いいかな、なんて


聞くまでもないだろ。


…この馬鹿っ!



返事を口にすることなく、ぎゅうっと目の前の人を抱き締める。


伝わってよ。


伝えきれるわけがない程の感謝の気持ちを。


受け取ってよ。


形になんて、口になんて出来るはずのない位 重たい俺の大きすぎる想いを。



「ねぇ…もう1つ約束、覚えてる?」


「……。」


「俺さ、誕生日なんだ、今日。」



── 誕生日…約束。一緒に行こう。ポップコーン持って、また耳もつけてさ。


──…今度は二人きりで。ね?



知ってる。そんなこと。


だから入ってるんだ。


あなたを感じたこの場所に。


あなたと過ごしたこの場所に。


きっと隣に綺麗な恋人を連れてくるって、覚悟してたけど。



『メリー、クリスマース!』


ネズミのキャラクターの乗ったフロートが通り、その声が周囲に響く。


思わず相葉ちゃんと振り返る。


客席を…たまたま俺らの方を指さし、手でハートマークを作ってる。


相葉ちゃんが嬉しそうにぶんぶんと手を振る。



「くふふ…。ずっと探してた好きな子を、自分の誕生日、クリスマスイブに、しかも雪が降ってる中見つけられるなんて…俺ら超ロマンチックじゃない?!ミッ〇ーまで祝福してくれてるし!」


相葉ちゃんがあの頃と寸分たがわぬ無邪気な笑顔を向ける。


寒さと涙で真っ赤な、トナカイみたいな鼻で。


「…バカじゃないの。」


涙を拭うのも忘れ、思わず笑う。


おそらく俺も…トナカイみたいな鼻で。



ああ、何も変わってない。


ほんとに。


9年だよ?


お前26でしょ?


俺の1個上なんでしょ?


でも…



そういうとこ、やっぱたまらなく好き。


大好きだわ。



「ね、プレゼントくれる?」


「…まさか、会えるなんて…思ってなくて…。何も…用意、してねぇもん……」


鼻を啜りながら、後悔する。


会いたいとは、そりゃ思ってたけど


こんなの予想してなかった。


奇跡が起こることを望んでたくせに、そっちの覚悟は出来てなかった。


「用意なんて要らないよ。俺の欲しいものは決まってんの!ね、いっこ、聞きたいことあるの。」


通りをゆっくりと走る、色とりどりのパレードのフロートが目に入る。


そこには、オレンジ色の魚。




──ニノっ!




奇跡から始まった友情。


奇跡で生まれた恋心。


奇跡で…いや。



相葉ちゃんの努力で。


風間の優しさで。


智の気持ちで。



やっと出会えた、愛する人。





真っ暗だった。



夢なんてものも、希望なんてものも。


俺の人生にはなかった。



ただ、毎日目の前のことに必死でしがみついて生きていた。


身寄りのない俺に残された道は、そもそも選べるものでもなかったから。


死ぬ勇気も無ければ、いっそ楽しもうというポジティブな転換も出来ない。


ただ、漠然と生きるだけだった。




だけど、その先には



智がいた。


風間がいた。



そして、あなたがいた。



暗闇に突然現れた一筋の光は


やがて2つ、3つと雲の割れ目から太陽が射し込むように


いつの間にか真っ暗だった俺だけの世界に、燦々と降り注いだ。



あなたがいない間だって、不安はあったけど、ずっと寂しくなんてなかったよ。



だって俺は太陽を知ったから。



愛を、知ったから。




ああ、


やっとスタートラインに立てた。


あなたとの関係の。



なぁ、智は?



愛する人に、会えた?


気持ちを、伝えられた?




…俺はまだだよ。


何にも言えてない。



俺の想いの何億分の一も、伝えられてないよ。



でもさ。


見つけてくれたから。


約束通り、探してくれたから。




今からでも、遅いなんてことはないよね?




どんな関係でもいい。



あなたと一緒なら。




「聞きたい、こと…?」


「もうね、ず~~~っと知りたかったの。」



相葉ちゃんは少ししゃがみ、


俺の顔を真正面から覗き込み、


俺の目尻の涙を拭いながら優しく笑う。





「──君の名は?」





さぁ、始めよう。



今、ここから。



END




ご愛読、ありがとうございましたー♡

あとがきをまた後でアップしまーす!