「遅いよ。」15 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


点滴したり寝転がって過ごしたりしてようやく普通の人間らしくなってきました(それまで何だったんだ)
息子曰く
「まま、あたまわゆいの、たわしょーねぇ」
(ママ頭悪いの可哀想ね)

頭痛い、ね。
頭悪くて可哀想だとまた違うやつになるからね。ほんと。










-A-


この時はまだ


『自分』に帰ってきた朝に


安心してた。



いつからだろう。



『自分』だと認識した時に


無意識に肩を落とすようになったのは。








目を覚ますと、また真っ白な天井が視界に飛び込んだ。


…櫻井邸だ。


あのやろ、家に帰んなかったのか…


ぼんやりした頭で考える。


てことは、上手く仕事出来たってことか?


ふらりと上半身を起こすと、丁度櫻井さんが寝室前を通るところで、少し開いたドアの隙間から目が合った。


「…遅いよ。」


寝室のドアを開けて入ってくるなりそう言われ、慌てて時計を探す。


「え、あ、すんません。今何時っすか?」


「…いや、いいんだ。二宮、これ昨日の分。」


パサりと封筒を放られ、ベッドの上に落ちる。


「あ…昨日…俺、もらってない…?」


「うん、渡してねぇよ。」


「あの…ちょっと寝ぼけてて記憶が曖昧で…昨日って俺、ちゃんと…ヤリましたっけ…?」


失礼をしてたらその分金返さねぇと。


探り探り聞くと、櫻井さんがふっと優しく笑う。


「…しっかり。こなしてたよ。」


「そ…、か。」


智…


お前、やるな!


てっきり童貞処女だと思ってたのに。


…いや、それでも頑張ったとか…?


まぁ何でもいい、一番のハードルはクリア出来てるってことだ。


こっそり安堵の息をつく。


そういや、と櫻井さんが何かを取りに部屋を出て行く。


その間に自分のケツを確認する。


…流石に挿 れてはなさそうだな。


櫻井さんはフェ ラ だけなんてよくあるし、多分それだ。


いや、でもゆっくり解せばそんなに痛みは翌日に残らないし、口だけだとは限んねーか。


何にせよ智が何かしら残してくれてれば…


などと思っていると、櫻井さんが紙ペラを手に戻ってきてニッと笑いながら俺の前にピラリと翳す。



「とりあえずお前のこと、1ヶ月分買わせて。」



は?


と思いながら渡された紙に目を通すと、30で割るよりも日当が少し高く、高額な金額で俺のことを囲う内容の契約書だった。


俺は基本、客とは、契約書を元に値上げしないことや暴力を振るわないこと、体調によっては断ることなど予めルールを決めている。


その契約書を真似て作ったものだろう。


条件もしっかり引き継がれており、自由に外出していいとか食費は別途出すとか、なんつーか至れり尽くせり。


1日1回奉仕するとかそういうんじゃなくて、櫻井さんがお願いした時だけ。


それなのに1ヶ月買う??


初めての提案に首を傾げる。


「あの…何で?」


「…まぁ…えーと…卒論の実験みたいなもんだよ。…お前と昨日話したろ?」


「あ…そうでした…ね?ははは…」


卒論の実験に俺を1ヶ月飼う(買う)ってどんな会話したんだよ智?!


くそ、早くメモを確認したい!


流石に何か書いてあるよな?


「…無理か?」


「いや…あー、数日他の客の日があるけど…」


松本さんから毎週水曜に予約をもらっている。


それにいつもプラスで突発的な電話がかかってくるのだ。


名前を伏せてそれを説明すると、櫻井さんがそうか…と呟く。


「…断れ…ねぇ?」


「流石に予約貰った分は無理ですよ。どうしたんすか、マジで。」


櫻井さんが眉をひそめる。


「…わかった。じゃぁ、必ず俺ん家で寝て起きる、って条件つけらんねぇかな?頼むよ。交通費もちゃんと出すから。」


な、何だこの必死な感じ?


別に条件悪くないし、快適な部屋で寝泊まり出来るからいいんだけど…


それに、毎日仕事が入ることは借金返済のゴールまでかなり近付けるってことだ。


俺の仕事は不定期で不安定。


呼ばれなければ一銭も入らないが、客を増やすのはリスクがある。


これが一番理想的といえば理想的。


…勿論、他人の家だから気を使うし窮屈ではあるが。


「分かりました。1ヶ月、世話ンなります。」


ぺこりと頭を下げると、櫻井さんがホッと強ばった顔を緩める。


「良かった。じゃぁ好き勝手過ごして。食いもんはテーブルの上に出前のパンフと金置いてあるから。」


「あ…ありがとう。帰りは?」


「昨日ゼミ休んじまったから今日は遅くなる。先寝てていいから。じゃーな!」


「はぁ…。いってらっしゃい。」


バタバタと出ていく櫻井さんを呆然と見つめる。


え、何?


朝もヤんないし夜も寝てていいの?


何のために俺を1ヶ月…?



はっ…


昨日そんな満足する感じだった…?!


智、めちゃくちゃテクニシャン…とか…?!


くそっ!!!


俺のテクじゃこんな契約してくれなかったのに!!


プライドをズタズタにされた気分だ。


しかし。



「か…快適…」



ぽふり、と大きなベッドに倒れ込む。


高級なスプリングが俺の体重を柔らかく受け止める。


この暮らしを猛暑の時期に1ヶ月…


神か。


不本意ながら、


「サンキュー智…」


思わず呟いた。




そういや、と携帯を探す。


我が物顔で寝室の一番良い位置に差し込まれた俺の充電器。


に繋がる携帯は、ふかふかのクッションの上に置いてある。


携帯のくせに。


智め。


お前はここの家主か。


ったく…。


ぶつぶつ言いながらそれを抜く。


起ち上がった待受画面に出てきたのは、


『メモを見てね♪』


というポップな字体だ。


お気楽か。


能天気か。


まぁメモを残しただけマシか…。


あの智だもんな…。


対面したこともない男への文句が止まらないままメモを開く。



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ニノへ


初めまして!

…なのかな?(笑)


おいらのことも紹介するね!

おいらは大野智!

漁師のじーちゃんと二人暮しで~す!

相葉ちゃんと風間が仲良くしてくれてるよ。

優しい2人だから、ニノも仲良くしてね!

高校2年生、ピッチピチの17歳です☆☆

あとー、何だっけな…

あ、美術部!

絵を描くのが好きで~す!

釣りも好きだよ!

黒いでしょ?


他何書けばいい?

もうわかんないや!

あ、ニノって…

すげぇ白いよね(笑)

今度ニノの時に釣りしたらいいのに!

あれ、東京って…釣り出来んの??


入れ替わりって映画みたいだよね(笑)

でも普通女の子と入れ替わらない?

そこだけ納得いってない!

楽でいいんだけどさ!


まぁいーや!

そんなわけで、智でしたぁ!!

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俺はがっくり項垂れる。


アホか?


こいつはアホなのか?!


いや、間違いないアホだ!!!!


俺が事前にメモで書いたこととほぼ変わりねぇ薄っぺらい情報だけじゃねぇか!!


全部知ってるわ!!!


普通、何があったとかどんな会話したとか残さねぇ?!


櫻井さんとどんな流れでこんなことになったのか全くわかんねぇじゃねーか!!


俺の仕事についても何かしら言われると思ったけどノータッチかよ!!


もーちょい色々聞くことあんだろ?!


意味わかんねぇ!!!



はぁ…と1人広い寝室で盛大な溜息をつく。


まぁいーや。


向こうもきっと、元に戻ってめちゃくちゃ驚いてるはずだから。


クスッと笑って、出前のためにキッチンへ向かった。





結局


櫻井さんは遅くまで帰ってこなかったし、


帰った時起きてたけど求めて来くることはなかった。