No control102 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


ベイマックスを息子に見せたら、敵ではなくベイマックスのほのぼのしたシーンに恐れおののいて震えていました。
あのマシュマロボディの何が怖いのかしら。(笑)









【Side 櫻井】


『…もしもし…?』


携帯の向こうから聞こえる不審そうな大野さんの声に、思わず笑顔が漏れる。


「あの…俺、です。」


『えっ?!』


驚いた声が鼓膜に反響する。


『あれ、番号…何で?』


「……プライドかなぐり捨てて聞きました。」


『…?』





ヒート施設から出た松本が、伊野尾から俺の番号を聞いたらしく俺にかけてきたから、一応番号は登録してあった。


ということで、大野さんに通じる道は二つ。


伊野尾か松本…



……究極の選択過ぎないか?!



松本には頼りたくない。


つーか、連絡先聞けてないのバレたくない。


とは言え、伊野尾に聞いたら


「えーなんすかなんすか!秘密の話ですかぁ~?明日会えるのにこんな夜中に…?何かやらしくないっすかぁ~エッエッエッエッw」


とか言われそうで…!!!


上手い言い訳も思い浮かばないし、想像の伊野尾に既に腹が立っている。


くそっ…


やっぱり松本しかいねぇ。



『……ハイ?』


数コールの後、訝しげな声で松本が出る。


「悪い、夜中に。あのー…教えて欲しいことがあって。」


『はぁ…何スか。和のこと?』


「いや……その……大野さんの…連絡先……」


電話越しに、えっ、と短い声。


『嘘でしょ、まだ聞いてないんですか?何やってんの天下のアルファ様が(笑)うける(笑)』


「……うるせぇ!バタバタしてたんだよ!」


『一週間一緒にいたのに?てゆーか出会ってどれくらい?よくそんな状態で俺に奪ってやるとか言ってましたね(笑)めちゃくちゃ奥手じゃないですか…くくくく…(笑)』


くっそーーー!


だからこいつには聞きたくなかったんだ!!


「…もういいっ」


『いやいや(笑)教えますよ(笑)電話してやってくださいよ、大野さん絶対喜ぶから!』


最後の一言に切る直前の指がピタリと止まる。


「…喜ぶ、かな。」


『100パー喜びますって。』


松本の揺るぎない言い方に、思わず頬が緩む。


「…家行ったりとかは?お前家知ってる?」


『あー…いや、それは教えません。絶対。』


ぴしゃりと否定されて、ムッとする。


「喜ぶっつったじゃん。」


『電話で十分でしょ。ショートメールで送るんでさっさと電話してあげて下さいよ、大野さん寝ちゃいますよ。』


確かに、と思って、慌てて切った。





「…松本に。」


不服そうな声に気付いたのか、ふふっと笑う。


『ありがとう。後悔してたんだ。聞き損ねたこと。』


「俺も、昨日から後悔してました。」


『うふふ…一緒だね。』


「はい、一緒です。」


タクシーの運転手に次の道を曲がるように伝える。


この先は工事中だ。


『…今どこ?二宮さんちは出たの?』


「ええ。タクシーです。家に着く前に我慢出来ず電話しちゃいました。」


『何それ。』


くすくす笑う声が耳に響いて擽ったい。


「大野さんは?今何してるんですか?」


『ん?俺は…今ソファーだよ。』


電話って偉大だ。


行ったことのない家を想像して、ニヤニヤ出来てしまう。


「何色のソファーです?」


『色?えーとね、…茶色?赤??これ何色だ??』


「知りませんよ。」


今度は俺がくすくす笑う。


「…一気に色々決まりましたね。」


『そーだね…皆のおかげで、行くべき道が急に照らされた感じ。…ありがとう。』


電話してるのに、何となく大野さんが頭を下げてるのがわかる。


「言ったでしょう?あなたの人徳だって。」


『違うよ。皆の優しさと実力。』


「本当に頑固ですね。」


『櫻井さんこそ。』


少しの沈黙の後、どちらともなくふっと笑う。


もっと甘い会話の予定だったのにな。


まぁ、我慢出来ずタクシーでかけてる辺りで間違ってるわけだけど。


「…やっぱ、断れば良かったかな。」


『え?』


「ニノ達。あなたと二人きりでデート出来ると思ってたのに。」


明日からまた仕事。


会えるは会えるけど…


社内恋愛をわざわざ公言する気はないが、松本と番だと思われている大野さんを見るのは辛い…と思う。


『…俺ね、松潤とニノがいた時は別にいいって思ってたんだけど…』


タクシーがカチカチとハザードをたいて路肩に寄せる。


「けど?」


『けど…夜は二人になれるかな、なんて思ってたから…ちょっと…後悔しちゃった。俺とまぁくんの夢の為にいっぱい考えてくれてるのに、失礼だよね。』


カードで払い、レシートを受け取る。


カバンとコートを脇に持ち出るとバタンと自動で閉まる扉。


懐かしいな。


俺が酔いつぶれた時も、大野さんが寝てしまった時も…こうやってタクシーで降りたんだよな。


「失礼じゃないですよ。」


『…そんなことない。俺…本当に失礼なんだ…』


「大野さんが失礼なら二宮はどうなるんですか。アイツほど失礼な奴知りませんよ。」


笑いつつ、カバンの中のキーケースを探りながら、エントランスの自動ドアを通る。



『「…疲れてるのに、急に家に来ても?」』



声が二重に聞こえ、えっ、と顔を上げる。


そこには申し訳なさそうに立つ大野さんがいて…。


思わずカバンを落とす。


『んふふ、マンガみたいなリアクション(笑)』


大野さんが俺を見つめながら電話越しに喋る。


「……え、なにこれ?幻覚?」


目をぱちぱちと瞬きする。


今度は、現実だと信じるため。



『櫻井さんに一個聞きたいこと、あるの。』


大野さんが隣にあるバーガンディ色のソファを指さす。



『このソファって、何色?』



答える間もなく、駆け寄って思い切り大野さんを抱き締めた。