蠢くカオスの中で21 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。


遅くなってごめんなさい~(´;ω;`)
言い訳していいですか…!
私、書く時って、その人の気持ちになって
集中して何思うのか考えて書くんですけど…
今、集中出来る時間が全然なくて。
(悪いのは全てうちの旦那ですほんとムカつく←)
ノロノロでごめんなさい~m(_ _)m










【Side 智】


憎しみを携えた目をした潤も


嘘をついたと自分を責めるまー君も


何だか調子の狂う態度の翔くんも


そして……和の告白も。



意味が全く分からなかった。


今日は状況が理解出来ないことだらけだ。



閉まるドアから見える翔くんは、こっちを…何ていうか、切ない目で見ていて。


「……っ」


最後、手を伸ばして何か言いかけた気がしたけどパタンと静かに遮断される。




「……何でアンタ靴履いてないのよ。」


和が俺の足元を見て笑う。


「あー…抱えられてきたから。」


「どういう状況なワケ、それ。」


「俺が聞きたいわ。」


色々、意味わかんねぇんだよ。


頭パンクしそう。


とにかくずっとここにいるわけにもいかない。


靴下のまま歩き出した。


エレベーターとは逆の、非常階段の方。


和の家は2つ下だから。



あーぁ…靴下、かーちゃんに怒られんな。


今日は居ないから、浸け置きして汚れ落としとこう。



…俺は何を考えてんだろ?


考えないといけないことがあり過ぎて、そんなどうでもいいことを優先的に考えてしまう自分の脳に苦笑するしかない。



「…抱えてあげらんなくて悪いね。翔ちゃんと違って非力なもんで。」


突然、和が少し拗ねたようにそっぽを向く。


何だよ、まさか…



「妬いてんの?」



はぁっ?!と耳真っ赤にして怒る和に笑いが漏れる。


全然信じられなかったけど


もしかして、さっきの本当なんかなって


ちょっと期待してしまう。


「…言っとくけどさ。」


和が非常階段を降りながら俺に言う。



「本気、だから。」



俺の思考、漏れてた?


目を見開くと、和が笑う。


「でも、返事はまだ聞かないよ。」


「なん…で?俺は……」


「まだ言っちゃダメ。」


唇に和の指を押し付けられ、制される。


俺の好きな人は、和なんだから。


もういつだって言えるのに。


そう言いたかったけど、飲み込んで次の言葉を待つ。


「翔ちゃんが…リングに上がってないから。」


「リング…?」


さっきから和が何を言いたいのかわからない。


翔ちゃんの話をよく出すけど、何で?


和の気持ちには関係ねぇはずなのに。



「俺はさ。智がホントは、翔ちゃんのこと……。


…いや、いいや。何でもない。」



何かを飲み込んで和は苦笑する。


「とにかくね、ちゃんと見極めて欲しい。智には。付き合うとかってさ、こんな狭い中で、簡単な事じゃないよ。


例えいくら好き合ってても、要塞みたいなココで…あまり胸を張れない恋愛なわけだから。覚悟がいるわけでしょ。」


和は階段の踊り場で立ち止まり、真っ直ぐ空を見上げた。


夜と夕方の、境目。


橙が紺色に飲まれ始めたような色だ。


一番星が低い位置で輝いている。



「…それでも智が、もし俺を選んでくれたらさ」


和は視線を自分の手に移す。


「俺、医者になるから。稼ぐから。…ここから出て、一緒に暮らそ。」



何か


プロポーズみたいだ


って思った。







「…やっぱ一緒に…」


「いーって。俺んちの問題だから。」


和の家で、断ったのに余ってるスリッパを貸してくれた。


「…心配で胃に穴開くから、今度はすぐ連絡してよ。30分以内に電話なかったら俺お前ん家押しかけるからな。マジでタイマーかけるからな。」


「分かったって(笑)」


心配性の和にどこか救われているのは事実。


そして、そういうところを俺は好きになったんだ。



「……ありがと。」


和が、ん?と視線を俺に向ける。


「気持ち。嬉しかった。」


奥の部屋にいるおばさんには聞こえないように、小さく呟く。


「あぁ。ったくさぁ、お前全然気付かないんだもん。まぁここ出るまでは黙っとくつもりだったからさ。前倒しになっちゃったけど。」


和が俺の手を両手で握る。


「……ちゃんと。正直に。決めなさいよ。恩を感じて無理して俺を選ばなくていいから。」


「…何だよ、それ。」


そんなんなくても、俺は……。


「…ま、とにかく。連絡してよね。」


じゃねぇと俺、エアガン持って突撃すっから。


と全く笑わずに言う和。


ほ、ほんとにしそうだな…。


「分かったってば。じゃぁね。」


「おう。また明日。」


片手を上げる和に、何度も振り返って手を振った。


エレベーターなんて来なきゃいいのに、なんて


ボタンを押して呼んだくせに、そう思った。