蠢くカオスの中で20 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です。














【Side 和】


「…智っ、大丈夫?!遅いし返信もねぇから心配したっつの!」


『あ…ごめん。その…家がゴタゴタしちゃって。落ち着いたらまた連絡するけど、今は…行けそうにねぇや。夜少し顔出していい?』


「…わかった。無理すんなよ?」


『うん…ありがと。ごめんな。』


赤い受話器マークをタップせず、智が切るのを待つ。


少しして通話の画面は消えた。


…家のゴタゴタ?


今日はお前の親、いねぇはずだろ。


てことは、潤?


何となく嫌な予感がして、俺は智の家へ向かった。




「…和…どうしたの。」


出迎えたのは潤だけで。


「智は?」


「………。」


俯く顔に後悔の色が残っている。


「…何した。」


「………。」


「智はそこにいんのかよ?」


「…いない…。」


カッと胸に怒りの炎が燃える。


「…何したんだよッ!!」


「やめて!!」


胸ぐらを掴みかかると、雅紀が飛び出してきた。


まさか雅紀がここに居るとは露ほども思っていなかった俺は、面食らった。


「潤を責めないで…!」


「雅紀、いいから。」


「でも…っ」


何が起こっているのか分からないけど、雅紀が必死に潤を庇おうとしてることだけはわかる。



俺はそれを見て


何とも思わなかった。




ああ、やっぱりか。




俺は………。








翔ちゃんの家のドアを、ドンドン!と強めにノックする。


「翔ちゃん。俺。……『俺の』智、いるんでしょ。」


分かってんですよ。


智の声の調子で、何となく。


少しして、ガチャ、と開けたのはやっぱり智で。


「……何で俺がここにいるって分かったんだよ?」


「そりゃわかりますよ。好きな人のこと位。」


「……それは……」


後ろを気にして小声になる智。


狂言でしょ、と言いたいんだろ?


「翔ちゃん。智連れて帰りますよ。」


智の背後の翔ちゃんに向かって声を掛ける。


「………わかった。」


案外聞き分けのいい翔ちゃんに、もしかして、と思った。



やっと


自分の気持ち、わかった?



なら


これで俺も





戦える。






「翔ちゃん。いいこと教えてあげる。


俺ね、智と付き合ってないよ。」



「えっ、和…?」


「…は?何だよそれ」


二人とも驚いた顔で俺を見る。


「俺…嘘ついたんだよ。翔ちゃんがあまりに鈍感だから。」


「…ど…は?何の話だよ?」


「和…?」


え、嘘でしょ?


まだなの?


どんだけ鈍いんだよ……。


なら、仕方ない。


一歩踏み込んで、ドアを閉める。



「智。」


ごめん。


「ん?……っ?!」


智の両頬を挟み、キスをした。


チラリと翔ちゃんを見ると、目を真ん丸にして呆然としている。


智もただただ驚いている。


3秒ほどだろうか。


我に返った翔ちゃんが俺を突き飛ばした。


ガタンとドアに背をぶつける。


「和!お前っ…何を……っ!!」


「な、な、何っ…」


真っ赤になった智がどもりながら聞く。


「ここから、本音ね。俺さ、アンタのこと好きなのよ。」


は?!と智。


翔ちゃんは…付き合ってると思ってるから怪訝な顔。


「だって…まー君……」


「昔ね。今は…アンタなの。」



そう。


俺は雅紀から逃げ出した。


今でも笑顔を見る度癒されるし元気が出るのは本当。


でも、恋心かと聞かれれば答えはNoだ。


最初、潤に惹かれている雅紀を見てるのは単純に辛かった。


高校が同じで、楽しそうにしてる二人も見たくなかった。


でもその間、ずっと隣に居てくれたのは。


俺を励まし続けてくれたのは。



智だった。



その智の置かれてる状況にも気付けず、辛い思いをさせてたけど。


俺はもう、翔ちゃんと戦うって決めたんだよ。



「…翔ちゃん。こっからは本気で行くよ。」


「………」


「俺ね、不戦勝は嬉しくないのよ。ちゃんと自分に向き合って、智のこと奪いたいなら本気で反省して本気で智に優しくなんな。」


「…和…?どういう……」


「ここ出るまで…智を連れて社宅を出て行くまで、黙ってるつもりだったけど。」


「………」


「もう、いいでしょう。どーせ翔ちゃんが好き勝手やってたんだから。」


「………」


「俺はね。智のことが好きだよ。」


「か、ず……」


「翔ちゃんは…どうなの?」


「………」


「まだ混乱中、か。いいよ。翔ちゃんが認めないなら、俺は先に進むまでだよ。」


俺は戸惑う智の手を取って翔ちゃんの部屋を後にした。