君だけの音を聞かせて4 | 1年だけ先輩。(基本お山)

1年だけ先輩。(基本お山)

やま。いちご。そうぶせん。

理解した方だけしか読まないでください(笑)
ごにんに心奪われ続け、眠る身体も起き出す状態です。

脳内妄想を吐き出す場として利用しようかなと思ってます。
ご気分害されたらごめんなさい。
※主軸は21です!

※妄想のお話です!ご注意ください。


















【Side 二宮】




あーマジで意味わかんない。


何なのあの人?


髪の毛明るくて軽そうな態度でオシャレな服着て、何で俺なんかに話しかけてくるわけ?


しかも赤い実はじけたって、何?


昔の国語の教科書に出てきた、『恋に落ちた』の表現のやつだよね?


俺、男なんですけど。


すんごい嬉しそうな顔してさ。


くるくる表情変わってさ。


…意味わかんない。ほんとに。


俺は…俺は…




「俺は魚屋の息子じゃねぇ!!」


「ニノ?」


顔を覗き込まれて、ハッとする。


「あ、ごめん、何?」


「魚屋…?ね、大丈夫?さっきからずっと顔赤いけど。」


「は?!あ、赤くなるわけないでしょ!?」


「そうか?酔いすぎんなよ、おいら介抱しないかんな。」


「わーってるよ!」


あぁ、くそ!


何で俺があんな奴のこと考えないといけないんだよ!


悔しいと共に情けない。


そもそも恋愛経験が無いから、変に意識してしまうだけなんだけど。


ああいう輩のとる言動なんて気にしてたらキリがないんだ。きっと。


どーせ地味な男がいるなって面白がってからかったんだろ。


…あーっ!モヤモヤする!


「……踊るよ!智!」


「ええー…やだよこんな所で…」


「バカ、踊る場所なんだよ!」


無理矢理智の腕を引っ張る。


「レッスンだと出来ない自由なの、かましてやろーぜ!」


不満そうな顔が一瞬、ほんの一瞬輝いた。





俺らのダンスレッスンのバイトは絶対的に自由がない。


子どもに基礎を淡々と教える日々。


メインの楽しいダンスはインストラクターの先生の仕事だから。


智はあまりやる気がない。


リズム感良さそうなのに、本気で踊るところなんて誰も見たことがない。


俺はダンサーになるのが夢だから、インストラクターの資格を取るために猛練習中だ。


しかし智は絶対に練習はしなかった。


『おいらの夢は別にあるから』と言っていたから、ダンスに興味が無いのかもしれない。


じゃ何でダンスレッスンのバイトなんてしてんだって話なんだけど、そこまで興味もなくて聞いていない。





ホールへ連れ出すと、どこぞのポップな洋楽に合わせて皆揺れていて。


がっしり掴んでた智の腕を離す。


「踊ろ!」


こんな所で踊るのは初めてだけど、音に合わせて身体を動かすのは心地良い。


変な動きとかしてふざけた顔をして誘えば、智が思わず吹き出す。


目を見開いて顎を突き出し、手を上下に交互に動かしてみたりして。


周りの目なんて気にならないね!


身体を動かすのって楽しい。


2人でおかしなダンスを繰り広げ、夢中で動いていると、いつの間にか曲調が変わった。


激しめのダンスナンバーだ。


ふと見るとDJブースで潤くんがこちらを見てウィンクしている。


俺の好きな曲調でストレス発散させてくれるってこと?


サンキュ!と投げキッスを返してお互い笑顔だけで会話し、隣を見ると智がいない。


探しかけて、少し先ですぐ見つけた。


だって、別世界だったから。


纏っている空気が、他とは全く違ったから。


暫く呆然と見つめる。


「………お前、誰だよ……」


思わずそう呟いてしまう位に、その男は俺の知っている智と別人だった。






『赤い実はじけた』

小学校の国語の教科書で出てきたお話です。

主人公の女の子が苦手な魚屋の息子に恋する話。

パチン!と胸の赤い実がはじけて初恋するのです。


と注意書きしておかないとわかんない人いるかもと

不安になりました。(笑)