修行について その37 御真殿堂行 | 修行僧の涙目な日々

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祈祷中、施主側から見て右端手前に座っているお坊さん。
それが御真殿堂行という役職です。

やることは御真殿朝課中または祈祷中、鐘を鳴らして回向を読む。
法堂朝課の堂行と維那が合わさったようなものですね。

朝課と祈祷では唱えるお経が少し異なりますが、やることはほぼ同じです。
始まったら導師に合わせて小磬(しょうけい=小さい磬子)を鳴らし、礼拝の合図をします。
これは法堂で副堂がやっていたのと同様です。

そして導師が座ったら大磬(大きい磬子)を3回鳴らし、大磬をガツと叩きつつ押さえつけます。
その後、お経のタイトルを読み上げ、大磬を鳴らしてお経スタート。
お経中も法堂堂行と同じように、各ポイントで大磬・小磬を鳴らします。
御真殿は木魚の変わりに太鼓のリズムでお経を読むため、スピードが速く、とても忙しいです。

そして、法堂との最大の違いは、大般若転読(だいはんにゃてんどく)があることです。
これは、大般若経という経典を修行僧が読み上げる儀式なのですが、
600巻にもおよぶ長い長い経典でして、長すぎてとても読みきれません。
ですので、転読(頭上に掲げてパラパラ落としつつ捲って読む)という手法を使います。

この転読、全員が同じタイミングでいっせいにパラパラとやると非常に迫力があります。
そこで、タイミングを合わせるための合図が必要なわけです。
その合図を送るのが御真殿堂行の役割。
タイミング良く大磬を鳴らして、修行僧の転読がキレイに揃うように仕向けるのです。

その後、いくつかのお経をやって回向を読み、導師に合わせて終わりの礼拝合図。
これで終わりです。
なお、この役職で一番難しいのはお経中の大磬・小磬です。
なにせお経が早いので遅れがちになりやすいので・・・。