『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ
外食チェーン店のサイゼリアの創業者である正垣さんが、日経レストランに載せた記事をまとめた本。
かといって外食産業に関係無いのには関心の無い内容か? といえば全くそんなことはなく、一般のビジネス書としても十分に学ぶべきところが多い内容になっています。
特に「コスト削減」について徹底したこだわりを感じ、この考えはトヨタのカイゼンに近いものがあると感じました。
その「コスト削減」にかんして、読んでいてチェックした言葉が以下。
「ムダを無くすのに、一番効果があるのは、何かを改善しようと考えるのではなく、今までやっていたことをやめることだ」
この言葉を読んで思い出したのがドラッカーがよく言う「選択と集中」でした。
強みでない部分、つまり「ムダ」に関してはカイゼンしようとするのではなくやめてしまい、強みの部分、つまり「自分的に価値ある部分」に集中するという部分に通じるものがあるように思います。
さぁ~て、明日の昼食はサイゼリアだな。
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目次
■第1章 :「客数増」がすべて --お客様本位の物の見方とは
・給料を削ってでも核商品を作れ
・求められる「おいしさ」は店によって違う
・物事をありのままに見る方法
・お客様に安心感を与える値付けとは
・品揃えは3タイプを意識せよ
・マクドナルドは気付きの宝庫 ---店舗視察のコツ
・ヒットメニューを生む2つの大原則
・「安売り」と「お値打ち」は違う
・大商圏向きと小商圏向きの味がある
・流行の料理が売れるとは限らない
■付録1 :サイゼリヤ流のカイゼンを徹底解剖
■第2章 :十分な利益を確保するには --大切なのは儲かる仕組みづくり
・最も大切な指標「人時生産性」
・儲かる店を作る財務の大原則
・仕入れは価格より、品質を重視せよ
・経営計画を作る目的は責任者をはっきりさせること
・値下げの限界点を見極めよ
・原価率は40%以上あっていい
・地方都市で成功する秘訣
・震災という「異常事態」
・多店舗化のポイント「立地創造」
・海外進出の注意点
■付録2 :サイゼリヤ農場が被災でも絶望などしていられない
■第3章 :リーダーと組織の在り方 --人が頑張れるのは誰かの役に立つからだ
・リーダーならビジョンを持て
・人のために・正しく・仲良く
・ビジネスとは心を磨く修業の場
・失敗からしか学べない
・能力を左右するのは「経験」
・週に1度は商圏内の調査を
・商売の原点を忘れないために
・大切なのは公正な評価
・数値目標は1つに絞れ
■あとがきにかえて --有力経営者が語る「正垣泰彦」
ニトリホールディングス社長 似鳥昭雄
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「自分の店の料理はうまい」と思ってはいけない。それことそが悲劇の始まりだと私は思っている。なぜなら、「自分の店の料理はうまいと思ってしまったら、売れないのはお客が悪い。景気が悪い」と考えるしかなくなってしまうからだ。
ムダを無くすのに、一番効果があるのは、何かを改善しようと考えるのではなく、今までやっていたことをやめることだ
(無駄をそぎ落とすことで、お値打ちな商品になるから、お客様に喜ばれて売上も最終的に増えるのであって、初めに安売りありきではないのだ)
何らかの事象を観察するときは「なぜ、そうしたことが起きているのか?」と考えるだけでなく、「なぜ自分はそう思うのか?」と何回も自問すること。そうすることで、『売れないのは立地が悪い』→『自分は売上不振を立地のせいにしていないか?』→『悪立地でも繁盛している同規模の店を調べてみよう』という行動につながり、正しい経営判断を導けるようになる。
消費者がストレスを感じずに払える金額は朝昼夜で異なる。比率は朝昼夜の順で1:2:4
コスト削減というと、ある支出の中のムダを見つけて、それを減らしていくというパターンが多いが、それよりも支出額を決めて、それ以上は絶対に使わないようにした方が、コスト削減は進む。
みなさんには金儲けとか私利私欲ではなく仲間を幸せにするとか、社会に貢献するような目標を持つことを勧めたい。そして、自分が描くビジョンを照れずに言い続けることだ。長年一緒にいる奥さんから「この人、急に変になったの!?」と心配されるくらい大きな目標を持つのが、丁度よいと思う。そうすれば、自分より優秀な人材が、あなたや仲間の夢をかなえるために力を貸してくれるはずだ。
みんなの心を一つにする方法は、決まっている。それは「社会に貢献する」「人のために役立つ」という、経営者の志を明確に示すことだ。
世の中すべての結果には、当然ながら原因がある。原因は自分の中にあるという前提で実験を行うほうが、成功する可能性は高くなるはずだ。
(なお、あらゆる「実験」は、なんのためにそうするのか、なぜそれをすべてきだと思ったのか、という前提条件を自分で文章にまとめて、ポイントを整理しながら進めていくとよい)
できなことを叱るより、なぜできないのかを考え、従業員ができない作業を減らすべきだ。
おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ
外食産業ということでは、こちらの本もなかなか良かった
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