『1兆円を稼いだ男の仕事術』 夏野剛 | kottsunのLogノート

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iモードを世間に広め、現在はニコニコ動画も扱うドワンゴの取締役であり「黒字化担当」でもある夏野さんが、今までの仕事を振り返り、思ったことや感じたことなどを綴った本です。

タイトルに「仕事術」と付いていますが、具体的な仕事のやり方などのハック的なことが書かれているわけではありません。

最初タイトルをみて「なんてキザなやつ けっ!!」と思いましたが、読んでみるとすごくいい!!。
ヒットを生み出すにはどうすればよいか? 人脈つくりの大切さ、会社の社会的意義、そして経営者としてどうあるべきか?
などが書かれているのですが、とても共感できました。こういった人の下で働けばとても楽しいだろうなぁと思います。

あとこの本のなかでは、NTTドコモ時代にあったエピソードなども、ふんだんに散りばめられているのですが、一番おもしろかったのが、iモードプロジェクトを立ち上げたときのこと。
iモード立ち上げ時には、夏野さんや松永さん、榎さんなどのチームに加えて、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーも関わっていたそうです。
そしてドコモの利益の上げ方で、マッキンゼー側と対立。
マッキンゼー側はドコモが家賃をとるビジネスモデル。
一方の夏野さんは今のドコモがやっているコンテンツの料金回収をするビジネスモデル
を主張していました。
最終的には夏野さんのビジネスモデルが取り入れられ、ドコモは成功しますが、その時マッキンゼー側の責任者が、現在モバゲータウンで有名なDeNAの南場智子さんだったそうです。
ただこの後、南場さんはマッキンゼーがリアルビジネスを理解していなかったという夏野さんの意見を「経営者になった今なら、100%理解できる」と素直に認め、それ以降、南場さんは夏野さんのことを「秘密の師匠」と呼んでいるそうです。

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目次

まえがき―会社は「道具」、「目的」にあらず

第1章 今できることだけを全部やりきる
ベンチャー企業での失敗から始まる
「iモード」を生んだ一大転機
ビジネスの一寸先は「真っ暗闇」
あらゆる状況はつねに変化し続ける
「今やっておくべきことは何か」をつねに
チャンスの女神の前髪をつかむには
全身が震えるような出会いを大切に
自分が置かれている状況を享受すると
英語下手な留学生に教えられたこと
成功に導く「運」を引き寄せるには
失敗の受け止め方は三種類ある
人脈と「運」の不思議な関係
とことんやり抜くと違う世界が見えてくる
後悔のない毎日をすごす秘訣
仕事のなかにある「最上の喜び」とは
私が「マグロ」と呼ばれる理由
何のために働き続けるのかを考えてみると
人生の最期で言い残したい言葉
年を取って忙しくなる人とヒマになる人の差
日本の会社制度の問題点


第2章 「個人の信念」だけが商品価値を決める
IT革命と消費活動の変化を知る
消費者の目はあざむけない時代に
これまでの日本式の商品開発はもはや限界
「個人の信念」が生みだすもの
「iPhone」の魂に学ぶべきこと
リーダーに必要な「時代を読むセンス」とは何か
リーダーの判断がすべてを決める時代に
マーケティング・リサーチの落とし穴
魂の乗り移った商品のパワー
自信を持って物事に取り組むコツ
中小企業こそ海外で成功する理由
自分自身で限界を定めることの愚
「親バカ」から生まれたヒット商品
自分と世間のズレを認識すると
利益を生む適材適所の人材登用とは


第3章 ビジネスは「仁義と任侠」だけで進める
中間管理職の意義を変えたIT革命
決断を助けるもの
Win-Winの関係は「仁義と任侠」から
年齢差を無視した人脈作りを心がけると
新規事業成功のためにはなぜ外部の頭脳が必要か
自由に人材を集めるメリット
マッキンゼー vs iモード・トリオ
「秘密の師匠」と呼ばれるわけ
小さな個人のネットワークが社会を変える
「仁義と任侠」を知る人は裏切れない
壁に突き当たったときに生きてくるもの
人脈を作る「チャンピオン」を探せ
クセのある人間との付き合い方
ネットワーク作りは何歳から始めるか


第4章 「仕事」×「情熱」=「社会の発展」を目指す
自分がやるべき仕事に気づくとき
「インフラ」ビジネスとは何か
社会にとって何が有益かを視野に入れると
酒の席で生まれる大きなビジネスチャンス
良いものを開発すれば売れるのか
社会を快適にするという強い思いを持つと
新参者が直面する「村の掟」とは
既得権しか頭にない相手とは徹底的に戦う
やるべき仕事がなくなったら次に進む
短期的な利益ではなく消費者を第一に考えると
世界を支配する「複雑系」の理論とは何か
大ピンチのときこそできることは
皆が同じ方向に進んでいるときにすべきこと
勝てるケンカのための三条件
とことんケンカしたあとに生まれる関係とは
部下に言い訳をさせない環境を作る方法
代替案を用意して反論すると
成功するためには「金」よりも「社会への影響力」を選ぶ
目の前にある仕事と一〇〇年後の日本を考えると


第5章 会社は目的達成のための「道具」である
会社は社会を変えるプラットフォーム
MBAはどうしても必要なのか
人生の「方向感」を持つとどうなる
個性的な人間は迷わず留学すべし
ベンチャー企業と大企業という仕分けはしない
ベンチャー企業の経営者が見失ったもの
高度成長期と不況期で違う企業の形態
年功序列・終身雇用の何が問題なのか
経営者の本来あるべき姿とは
一〇パーセントを外部からの人間にすると
時価総額を否定する経営者は去れ
今こそ国際競争力を強化するチャンス
外国人社員を積極的に採用するとどうなる
日本人が気づいていない優位性
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 1年後といわず、今この瞬間にも状況は変化しているのですから、明日、何が起こるかなども分からないのです。だからこそ、今この瞬間にできることは、すべてやらなければなりません。何ごとも「今しかできない」のですから

 ある商品を開発するのであれば、開発者が新商品にどれほど「思い入れ」があるのか、どれほどの信念を持って新サービス開発に取り組んだのか、それが何より重要になってきます。

 技術の垣根が以前に比べて低くなった今、商品開発に必要なのはやはり信念であり、センスなのです

 新商品の開発で大切なのは、限界を設けず、常識的な思考は捨てて、「どんなことでもできるとしたら、こういう商品を作ろう」という、まっさらな状態からスタートすることです


 もう少し「消費者の視点から状況を見るべき」ということです。これは携帯電話業界に限らず、すべてのビジネスにいえることです。お金を払って商品を買い、サービスを利用してくれるのは消費者でしか無い。短期的な利益の追求だけではなく、消費者を徹底的に重視したビジネスモデルを構築していくべきだと思います

 目立った業績を上げていないのならば、社長の椅子から降ろすべきであり、また自ら身をひくくらいの気構えが必要です。会社は道具ですから、会社という組織を使って何がやりたいのか、社長としてなにをするべきなのか、そういった信念を掲げ、自ら手動して行動できない人間を社長につかせている理由はありません。


◇仕事哲学
・仕事も人生も「一寸先は闇」を肝に銘じる
・目の前の仕事こそが「未来の仕事」を生む
・「柔軟性」を育てるために、あえて厳しい状況変化を求める
・「働く理由」を見つければ仕事力はアップする
・実行力のある人間にしか「運」「人脈」「信頼」は集まらない

・商品への思い入れ、信念、哲学が消費者を動かす
・「現在のニーズ」ではなく「将来のニーズ」を見抜く
・「商品のヒット」=「リーダーのセンス」+「決断力」
・初めに「無理だよね」は絶対に禁句
・世間と自分の「ズレ」をつねに意識してニーズを探す

・「仁義と任侠」の関係がビジネスの基礎
・「運」と「縁」をつねに意識すれば可能性が広がる
・信頼できる人間ならば年齢差など気にしない
・会社の看板に頼らない、個人の人脈こそが大きな力に
・「チャンピオン=真の実力者」との人脈を重視する

・社会への貢献を目指せば、自ずと利益は生まれる
・最優先すべきは「快適な社会」の実現
・変化を恐れる保守的な思考の人間とは徹底的に戦う
・「最大のピンチ=最大のチャンス」のプラス思考を持つ
・「勝てるケンカ」=「社会貢献」+「信念」+「データ」

・会社や資格は「道具」であり「目的」ではない
・「大きな目標」から逆算し、現在の仕事の「目的」を明確に
・迷った時には「大きな目標」に回帰せよ
・「個人の富」を最優先するとロクなことにならない
・経営陣は「業績悪化=クビ」を肝に銘じるべし



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