伊藤若冲筆《月に叭々鳥図》岡田美術館【生誕300年を祝う 若冲と蕪村展】❸ | 骨董水妖◇美術品は美術館で見るよりおうちで使う方がずっと楽しい!◇

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江戸時代の古伊万里、超絶技巧の時代蒔絵の重箱、美術館で見た有名な絵師の絵画など、ハイクラスの古美術品が、とってもリーズナブルに買えるお店です。

この岡田美術館の展示も、いよいよ今週末までです。

この記事は、10月2日の記事の再投稿です。


 

 

 

伊藤若冲筆 月に叭々鳥図

 

 

18世紀後半

紙本墨画

102.5㎝ ×29.1㎝

 

 

なんて顔!

 

 

 

 

 

 

月を背に、真っ逆さまに落ちる鳥(ははちょう)。

 

《外隈/そとぐま》という、輪郭を塗り残すことで形を表す技法で

大きな月が描かれます。

作品の右上の方です。ご覧になれますか?

 

 

左下半分しか描かれていないのに、この大きさですから

とっても大きな月ですね。

 

 

淡墨の水平な筆跡を重ねて空を描いています。

清々しい夜空です。

 

 

叭々鳥はおめでたい鳥なんですが

なんで真っ逆さまに落ちているのでしょう。

「おーちーるー!」

って叭々鳥クンの声が聞こえてきそうな顔。

 

まん丸に見開いた眼と、ピン!と張った嘴先の毛のタッチに加えて、

ちょっとだけで出た舌が、緊張感を露わにしています。

 

一発勝負の筆致。

 

 

日本画は、油絵と違って一度描いた筆致を描き直すことはできません。

一発勝負。自分との勝負です。

 

 

若冲さんの素晴らしいデッサン力と表現力が

このシンプルな絵に凝縮されています。

 

 

月と叭々鳥しか描かれていない、大胆な構図。

 

 

小林先生のおっしゃる通り、若冲さんは絵に遊んでいます。

私には、若冲さんが自分との勝負を楽しんでいるように思えるんです。

 

 

同じフロアーに、俵屋宗達のカラスの図が展示されています。

同じスピリットを感じます。

 

宗達さんは、《ダミ》っていう水分をたっぷり含んだ墨で、カラスの羽根の美しさを描いています。

縦に細長い掛け軸の、一番下に

カラスが一羽描かれていて、縦の空間にはひたすら空白があるんです。

 

 

日本人に生まれてきた幸せを感じます。

 

 

 

岡田美術館【生誕300を祝う 若冲と蕪村展】

12月18日(日)まで

仔細は岡田美術館のHP →こちらをご覧ください。

 

 

画像は全て美術館の図録より。

美術館関係者の許可をいただいてあります。 

 

 

骨董水妖

店主 白井澄子

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